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番外編:お母さんと僕の初めての大冒険⑩ 〜行きと帰りは天国と地獄ほど違った?〜

お昼を食べてから、僕は宿題を終え、お母さんが帰ってくる時間になったので魔法の大きなタブレットをつないだ。午前中、おじいちゃんたちにネズミーランドへ行った時の話をしたら、「蒸し暑かったけれど楽しかったわね。日本のネズミーランドとは違うところがたくさんあったわ」とお母さんが笑った。そして、今日はお父さんのマンションへ戻る帰路の話をした。

お父さんのマンションへ帰るため、僕たちは昨日と同じくビクトリアンハーバーの景色を眺められるホテルのレストランで朝食を取った。食事を終えるとすぐ、タクシーに乗り込み新幹線が出る香港西九龍駅へと向かった。

予約チケットを取っていなかったから、お父さんは有人の大きな窓口へ並んだ。迷わず家族三人のパスポートを差し出してすぐの便を買おうとしたのだけれど、あいにく満席。数本後の便まで取れなかった。お父さんが「この時期は余裕だよ」なんて言っていたから、僕とお母さんが顔を見合わせて「またヤラカシたね」と遠い目をする。それを聞いたおじいちゃんが「ほらほら、やっぱりね」と苦笑いした。

新幹線に乗るだけなのにパスポートが必要なことに少し驚いたけれど、チケットを買うと、お父さんは情報が記された紙を受け取った。出発までは時間があったけれど、混雑を避けるために早めに改札を抜けることにした。

地下3階まで続く長いエスカレーターはガラス張りで綺麗だったけれど、どこまでも深く続いていくようで少し怖い気がした。地下にたどり着くと、巨大な荷物の赤外線検査と、僕たち三人のセキュリティチェックが行われた。日本を出る時にも経験したけれど、異国の地だとどうも緊張してしまう。ポケットの中身まで全て出すよう言われ、ドキドキしながらクリアした。

次は100万ドルの夜景の国を出る出国審査だ。ここはパスポートをピッと翳し、顔認証でスムーズに通過できた。そして、すぐ隣で行われる入国審査も同じようにピッ!で完了。

おばあちゃんが「こないだの話だと、今の審査ってスマホで簡単にできるって言ってなかったっけ?」とお母さんに尋ねると、「国境を越えて身分を証明するものが必要だから、やっぱりパスポートは絶対よ。言葉が足りなくてごめんなさいね」とお母さんが丁寧に説明していた。

入国審査を終えたら、もうそこは本土だ。フロアのそんなに離れていない場所で、あんなに綺麗だった夜景の国と別れるのが不思議な気分だった。待合コンコースにはカフェや免税店があり、どこか空港のような独特の匂いがした。何本か新幹線を見送らなければならなかったけれど、ここでゆっくりできたのは幸いだった。

ようやく乗車時刻になり、広州北駅まではたったの1時間。すでに審査を終えているから、まるで普通の電車を降りるように改札口を出られた。

「こんなに早くて快適に移動できたんだね」と僕が言うと、「ほんとよね。お父さんは全く……」とお母さんが呆れ気味に笑い、おじいちゃんとおばあちゃんも声を上げて笑った。

荷物も多くて疲れていたから、食事は駅ビルにあるファストフードで済ませ、タクシーでお父さんのマンションへ向かった。たった数日しか住んでいないのに、部屋の鍵を開けて中に入った瞬間、「帰ってきたなぁ」と心からホッとした。僕がそう言うと、お母さんも「ほんとね」と微笑んだ。おじいちゃんも「無事に帰ってこられて本当によかったなぁ」と満足げだった。

夕飯を食べる時間が近づいたので、僕たちはタブレットの電源を切った。


僕たちの冒険は、もう少しだけ続きます。

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