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番外編:お母さんと僕の初めての大冒険③ 〜お父さんの冒険はハードすぎる!〜

次の日は雨だったので、アイツや仲間たちとは遊べなかった。おかげで今日は、縁側に座って雨に煙る庭と海を眺めながら、おじいちゃんとおばあちゃんと昨日の旅行の話をすることになった。

「お父さんがね、またやらかしたんだよ。海鮮を食べに連れてってくれるって言うから、僕もお母さんも楽しみにしてたのに……」

 僕は話し始めた。お父さんが「僕に現地の人と同じ生活を体験させたい」と言い出して、タクシーじゃなくバスで行こうと提案したのが全ての始まりだった。

「まずバス停でね、暑い中ずっと待たされて。何時に来るか全然わかんないし、人がどんどん増えてくるんだよ。しかも、みんな日本みたいに列を作って並ばないんだ。僕、信じられなくてさ」

 おじいちゃんが「ほう、それは大変だったな。向こうの人は並ぶのが苦手なのかもしれんね」と笑う。おばあちゃんも「昔の駅のホームみたいねぇ。でも、お母さんは大変だったでしょう?」と気遣ってくれた。

「お母さん、だんだん怖い顔になっていって……。お父さんは全然気にしないんだもん。やっと来たバスに、みんなが一斉に駆け込むから、乗れないかと思ったよ。ギュウギュウ詰めで、あんな経験、二度としたくない!」

「そりゃあ、シャワーを浴びたみたいに汗だくになったんじゃない?」とおばあちゃん。その通りだ。混んでいてお水も飲めず、降りる時も一苦労だった。

 レストランでは、たくさんの水槽に魚や貝がいて、好きなのを選べるようになっていた。

「シャコっていうのをね、お父さんが勧めてくれたんだ。ニンニクと醤油ですごく美味しかったけど、殻が硬くて取るのが大変で、それはお父さんに任せたよ。形はちょっと怖いけどね」

 僕がそう言うと、おばあちゃんが目を細めた。「シャコ! 昔はよく浜で獲れたもんよ、最近は見ないねぇ。美味しいのよ、あれは」

 レストランの不思議な文化もたくさんあった。

「店員さんに合図する時、ウーロン茶のポットの蓋をずらしたり、指でテーブルをトントン叩くと、お湯を足しに来てくれるんだよ。びっくりした!」

 ただ、一つだけどうしても忘れられないことがある。

「お店のメニューにね、水Gというものが食材として売ってたんだ。それを見た瞬間、僕は怖くなってその前から走り去っちゃったよ。『絶対あれだけは頼まないで!』ってお願いしたんだ」

 僕が身を震わせると、おばあちゃんは優しく微笑んだ。「世界にはいろんな食べ物があるからね。あなたが苦手なのも無理はないわよ」

 お店では、お母さんはアワビのニンニク炒めでようやく機嫌を直していた。

「三陸の海とは違うから刺身は頼まなかったけど、大きな魚に甘辛いあんかけがドドーンと乗った料理が出てきてね。テーブルの上のティッシュは有料だし、食器はポットのお湯で洗うみたいだし、もうくたくた。結局、現地の言葉は一度も理解できなかったし……」

 帰りはお父さんもようやく反省したのか、タクシーにしてくれた。考えてみたら、この日一番言葉を交わしたのは、空港の入国管理のおじさんだけだったな。

「やれやれ、お父さんの『冒険』に付き合うのも楽じゃないねぇ」とおじいちゃん。

「でも、お父さんなりに、あなたにいろんな景色を見せたかったんでしょうね」とおばあちゃんが付け加えた。

 庭に降る雨の音が、少し優しく聞こえた気がした。


まだまだ家族の冒険は終わらない。

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