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番外編:【私にとっては便利な世の中に…子供にとっては当たり前】〜パスポートを申請するときの話〜

今、子供がスマホに向かって目の前でキリッとした表情を作っている。パスポート用の写真をスマホで撮影しているのだ。

「お母さん、できたよー」

その声に私は「わかった」と答えてスマホを受け取り、手続きを続けた。なんとか、私と子供の分のパスポート申請をオンラインで終えることができた。

私はふと、子供に向かってしみじみと語りかけた。

「ほんと、スマホ1つでパスポート申請ができるなんて、お母さんびっくりだわ」

すると子供は「えっ? 今って何でもかんでもスマホでできるよね?」と、不思議そうな顔で私を見た。私は思わず、昔の申請がいかに大変だったかを子供に語り始めた。

「昔のパスポート申請はね、紙の申請書に手書きで記入しなきゃいけなくて、しかも複写式だったの。絶対に間違えちゃいけないから、一文字書くたびに手が震えるような緊張感でね。もし間違えたら、最初から書き直し。写真だって、写真屋さんで撮ったものでないとダメで、ボックス写真なんかじゃ門前払いだったのよ。せっかくプロに撮ってもらったのに『規格に合わない』って窓口で突き返されることもあったし、マイナンバーカードなんてなかったから、戸籍謄本と住民票を市役所までわざわざ取りに行かなきゃいけなかったの」

今では信じられないくらい厳しかった当時の話をすると、子供は少し驚いたような顔をしていた。

「ほんと、便利な世の中になったわよね。あなたは平日学校があるし、私もパートがあるから、新宿まで申請に行くだけで半日仕事になっちゃう。それが今じゃ、スマホ1つで全部済むんだもの。字を間違えてもその場ですぐ打ち直せばいいだけだし、本当に楽になったわ」

そう言いながらも、私は少し複雑な気持ちを吐露した。

「でもね、その反面、アプリをダウンロードしたり、操作方法を確認したりするのが、お母さんには本当に大変で……。途中で何度も『もう嫌だ!』って泣きそうになったのよ。平日わざわざ窓口に行かなくて済むのは助かるけれど、このスマホ操作の難しさと、昔のアナログ申請での時間のかかり方。どっちがいいのか、お母さんにはまだよくわからないわ」

私の独り言を聞いて、子供はさらりと言った。

「今はコスパだよ、コスパ! スマホでパパッとやっちゃうほうが、結果的にいいに決まってるじゃん」

その言葉を聞いて、私は少し笑ってしまった。時代に置いていかれないように、私ももう少しだけ頑張らなくては。


母子2人の冒険は、もう少しだけ待っていてください。まだまだお話は続きます。

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