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番外編:【三陸から伊豆へ、おばあちゃんの見た青い海】

外は雪がチラチラと舞い始めたけれど、僕が入っているこたつはほかほかだ。おばあちゃんの話はまだまだ続いている。

「そういえば、お屋敷で働いていた時のことなんだけどね。旦那様が外国の方だったから、夏になるとしっかり『バケーション』を取るのが方針だったのよ」

普段は忙しくて、なかなか家族とゆっくり交流できないからこそ、夏は数週間休みをとって家族と過ごす。まさに外国人らしい考え方だ。高度経済成長期の日本で「働け、働け」と男性たちが仕事に打ち込んでいた時代、それはとても贅沢で、先駆的な考え方だった。

「それでね、夏になると海や山に連れて行ってもらえたの。私たち屋敷の従業員も家族の一員だと思ってくれていたみたいでね、全員連れて行ってもらえたのよ。もちろん、おばあちゃんもね」

おばあちゃんと、もう一人の姐やは、バケーションの間も旦那様のお子さんと一緒に寝たり行動したりしていたそうだ。見るもの聞くものがすべて新鮮で、とっても楽しかったと目を細める。

「一番初めに連れて行ってもらったのは伊豆の海よ」

おばあちゃんがそう話すと、横で聞いていたおじいちゃんがぼそりとつぶやいた。

「そういえば新婚旅行も、お屋敷のご夫婦がスポンサーで豪勢な旅行をして、熱海に行ったなあ……」

けれど、おばあちゃんは自分の話に夢中で、おじいちゃんの独り言は完全にスルーされていた。

「それがね、おばあちゃん海といったら三陸の海しか知らなかったから、伊豆には本当にびっくりしたわ。白い砂浜がずっと続いていて、目の前には広い太平洋がドーンとあるんだもの!」

僕は、湘南の海しか知らないけれど、逆にその話を聞いてびっくりしてしまった。三陸の海は、後ろが山で前が海、海の向こうにもまた山があるような地形だからだ。僕がそう言うと、おばあちゃんは「ふふふ」と嬉しそうに笑った。

おばあちゃんは15歳で働きに出たから、映画のような青春なんてないと思っていた。でも、今こうして話を聞いていると、人とは違う経験をたくさんして、それなりに充実した青春を送っていたのかもしれない。

中学を卒業してすぐに働きに出たおばあちゃんを、僕は少し可哀想だなと思っていたけれど、この笑顔を見ていたら、なんだか胸がほっとした。

冬の寒さを忘れるような、温かいお正月のひとときだった。


まだまだ続くよ、おばあちゃんの青春回顧録!次はどんな思い出が飛び出すかな?番外編のおばあちゃんの青春物語は、まだまだ終わらないから楽しみにしていてね!

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