番外編:魔法の箱と三陸の家族③ 〜おばあちゃんの進化は続くよ。どこまでも〜
最近、おばあちゃんはすっかり「推し活」にハマっているらしい。僕はおじいちゃんから、近頃のちょっとした愚痴を電話で聞くようになった。
ケーブルテレビで『ローマの休日』を観ていたおばあちゃんが、いつの間にかアイツのお兄さんに教わったのか、ドラマも観るようになったのだ。しかも日本のドラマだけじゃなく、海外のものまで!その中で、ついに運命の「推し」を見つけてしまったらしい。
初めのうちは、お茶飲み友達のアイツの婆ちゃんが家に来て、ぬか漬けをつまみながら二人でテレビに釘付けになっていたそうだ。それがだんだんと人が増えていき、ついにはおじいちゃんの居場所がなくなってしまうほどの熱狂ぶりだという。
毎日若返ったようにワーワー騒いで楽しそうにしているおばあちゃんたちを見て、おじいちゃんは嬉しい反面、少しだけ焼きもちを焼いていた。
ところが最近、様子が少し変わった。
部屋の片隅で、おじいちゃんも一緒に海外ドラマを観ているようなのだ。
ある日の電話で、おじいちゃんが愚痴ではなく、「あのドラマ、面白いな。案外見れるものだなぁ」と、少し照れくさそうに教えてくれた。
夫婦揃って、どんどん生き生きとしていく。魔法の箱が届けてくれたのは、単なる娯楽ではなく、二人の心に灯った新しい好奇心なのかもしれない。
おじいちゃんとおばあちゃん、これからもずっと若々しくいてほしい。僕も、もっともっと二人のそんな姿を見ていたいと思う。
三陸の家で繰り広げられる、賑やかな第二の青春。
家族の小さな物語は、まだまだ番外編として続いていきます。




