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今回のエスメラルダ、なんかいつもと違うかもしれませんが、ちゃんと理由、ありますので大丈夫です〜。(分からない程度です)

 美しい、エメラルドグリーン色のシルクラインドレスに着替える。

 腰には、キツくコルセットを巻きつけ、その上からまた、紐できつく縛り、腰の高い位置にくびれまがいを作る。

 仕上げに、髪を縫い上げて、薄くメイクをし、白銀のティアラをかぶせれば……。


 ほら、完全なる美少女の完成。


 なんて、エスメラルダだから言えるのだけれど。


 ティアラには、大きな100カラットのピンクダイヤが付いており、周りには、ルビー、サファイア、エメラルド、トパーズ、ガーネット、アメジストの飾りが散らばらられている。

 本体にも、細かな装飾がされており、模様はピアスとお揃いのバラ模様。


 空が曇っているのが残念だけれど、今日は新入生歓迎パーティー。


 もう、魔法が使えるのがバレてしまっているのだから、精一杯楽しんでしまおう。

 ワインで酔った生徒に、魔法で余興でもかまして見せようか…。


 そんなことを考えて居たら、殿下の使いが私を呼びにきた。


「時期皇后様、こちらへどうぞ。殿下がお待ちです」


「あなた…」


「…?」


わたくしはまだ婚約者の身。滅多な発言はするものではありませんよ」


 他の人に聞かれて居たらどうなるか…。


「…お心遣い、感謝致します」


 不服そうな殿下の従者に付いて、殿下の元へと向かう。

 殿下と私が会場入りするのは、一番最後。

 そのため、時間には余裕がある。


「殿下、婚約者様をお連れしました」


 …どうしてもエスメラルダとは呼びたくないらしい。

 さっきの事でも、根に持たれたのか…。


「ああ、こちらの準備は出来ている。入れろ、簡単なお茶の準備もしてある」


「失礼いたします。…………アプリコットとアッサムのブレンドですか…? …少し、ラベンダーも入っているのかしら…」


 私が言っているのは、紅茶の種類の事。

 用意されていたお茶は、アッサムをベースにアプリコットジャムと、少量のラベンダーをブレンドしたものだった。


「ああ、そうだ。よく分かったな」


「お茶は好きなので…珍しい組み合わせですね。アッサムとアプリコットは結構ありますが…」


「ラベンダーか。…昔、母上にな、教えてもらったのだ。それ以来、気に入って愛用している」


 へー、皇后様が…。


 私は少し冷ました紅茶に口をつける。

 ほのかに甘くて、心が落ち着く味…美味しい。


「殿下…これ、美味しいです。もう一杯もらってもよろしいですか? 」


「それは良かった。…ミルクを入れても美味しいぞ」


「…! イタダキマス」


 殿下に気を使わせてしまった…。

 このお茶は、一杯飲む程度なら良いが、二杯目となるとなにせ、アプリコットの味が濃い。

 もたれるのだ。

 なのに二杯目を要求する私に、気を遣ってくださったのだろうけれど。


 もう一度、お茶を嚥下する。


 カロリーは高いであろうその紅茶を口に運びながら時間を問う。


「いま、何時ですか?」


「今は午後の四刻。あと半々刻くらいで出発するぞ」


 一刻は二時間。

 半刻は一時間。

 つまり、半々刻は30分という事。


 それまでは殿下と話していよう。

 昔と違って、機械的な会話じゃ無いから話すのが苦では無くなったし。

 ラガルハーネル様となにを話したら良いのか分からないのが難点だけれど。


「…エスメラルダ」


「…? はい」


「エスメラルダは、どの学部に入るつもりなのだ?」


 殿下が聞いているのは、地球で言う、部活やクラブのこと。

 貴族は義務として、政治科を取らなければ行けないが、他は自由。

 学部によって授業も変わることがあるので、皆、慎重に選ぶ。


「…ラガルハーネル様はどうなさるのですか?」


「医学科と錬金術科、それと…ゲーム科だな」


 へー、ゲーム科。


「ゲーム科って珍しいですね」


「あぁ、姉さんにゲーム科に入れと命令されたんだ。相手たちが弱すぎてゲームが面白くないから、強くなってこいと」


「それは…」


 殿下、メラクリエ王女殿下に尻に敷かれているのかしら。

 メラクリエ王女殿下はゲームが凄くお強いらしい。

 私は、会ったこともないし、もちろん、ゲームの相手をしたこともないけれど、相当な腕前らしい。

 それこそ、ゲームの腕だけで、ギャンブラーを叩きのめしてしまうほど。


「エスメラルダはどうだ?」


「私は、薬剤科と体操競技科、天文科に入ろうと思っております」


「星に興味があるのか?」


「はい。星の研究は…兼ねて私の夢でもありますから」


 ダンスに花道、バレーやテニス、王道の部は他にもたくさんあるが、天文科。

 これだけは譲れない。

 私は、幼い頃から星が好きだった。

 独りでいても、星は、私を見てくれた。

 照らしてくれた。

 導いてくれた。


 両親や祖父と祖母にとっては、私は親不孝者だし、邪魔だったかもしれないけれど、それでも、昔、連れて行ってくれたプラネタリウムで見たあの景色が今も忘れられない。

 ずっとずっと、鮮明に覚えている。


 暗闇を照らす…そんな存在に私もなりたいと思った。


 結局は引きこもってしまった私だったけれど。

 それでも星に、憧れた。


「…夢か…頑張れよ」


 小さく、殿下がそんなことをこぼしたが、私の耳に届くまでに消えてしまった。


「あ、それでですねーーー」






 夕焼けが、闇に沈もうとしている、そんな頃。


「お二人様、お時間です」


 おっと、いつのまにか30分経っていたらしい。

 案外短かったけれど、充実していた気がする。

 つまり、…楽しかった。


「…行こう」


「…えぇ」

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