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王族と公爵と侯爵、伯爵限定の一番前のホール席に腰を下ろす。
私は、殿下の隣の紅いフワフワのクッションと、金の装飾を施されている豪華な椅子に腰かけた。
私と殿下は、生徒代表の挨拶がある。
これは、純粋な入学テストによる判別なのだが、流石に幾ら成績が良くても平民は挨拶できないし(国王夫妻も居るし)、結局はツートップがやる事になる。
今回は、私と殿下だったっていうだけで。
基本的に、入学式は日本と変わらず。
校歌を歌い、一人ひとり名前が呼ばれ、在校生代表挨拶、校長挨拶、そして、新入生代表挨拶。
「では、プログラム7番新入生代表挨拶」
私と殿下は順に席を立ち前へと進む。
白い封筒に入れられたその感触がなんだかくすぐったい。
「暖かな春の日差しがーーー」
はじめ、殿下が文章を読み始める。
殿下には、これが次期国王としての最初の仕事とでも思ってくれればいい。
私、は…。
「ーーー思います」
あ、次私だ。
「私達が今日、こうしてーーーー」
ただ、淡々と文章を読み始めるその時間が、なんだかとても長く感じる。
緊張感のあるその体育館の雰囲気に、なんだか馴染めなくて。
それでも噛まないように必死に読む。
「ーーーーーここに、宣言します」
「新入生代表、ラガルハーネル・ザクロ・カーンドラネークル」
「同じく新入生代表、エスメラルダ・クローエフェアラ・ウェン・ドルベラーネル」
パチパチと少しの拍手が起こった後、わぁぁと拍手が起こり、私達は無事に席へ着いた。
次は理事長挨拶、そして最後新入生歓迎会でおわりだ。
寝るわけには行かないので、行く前、ラルダに不眠の魔法をかけてもらってきていた。
ただ、それでも長い長い話は退屈だ。
それは、どこの世界でも変わらないのだな、と思って少し笑みをこぼす。
ふと、殿下を見ると、殿下はほとんど瞬きもせず真剣に聞いていた。
これは、良いことだ。
国王になれば、この様な話を聞く場は沢山あるだろうし、あくびでもすればそれだけで、商談が破談になることもある。
それだけ、態度というものは大事なのだ。
「ー、うむ…これで私の話は終わる」
理事長先生が、一歩下がったところで、私と殿下は二人してパッと立ち上がり一礼した。
それを観て、他の生徒たちも慌てて礼をする。
目上の人に対しては、必ず最後に礼をする。
これは、国王、正妻教育で、叩き込まれてきていたことだ。
他国でもそれが同じかは分からないが、その国の常識を知らなかったりした時には、どうであろうと最上級の礼を。
「淑女としての自覚を持ちなさいませ」と、言われ続けた私だけれど、これくらいは覚えている。
…というか、抜け出し魔の殿下と私が一国の王と正妻候補だなんて…。
大丈夫かしら…色々と。
私は習い事をするたびに「貴女様は時期国王の妻となるのですよ! もっとしっかしなさってください」とか、「手を抜かないで下さいませ。…本当、エスメラルダ様はだらしないですわね」とか言われまくっている。
小さい頃は、前世の記憶もあってか、勉強もなんでも人一倍できて神童と呼ばれたこともあった私だが、何せ、この世界の地理は大の苦手だったのだ。
歴史も苦手だから、ほぼ社会は全滅と言って良い。
…唯一、公民は出来るけれど。
その分、そこを補える様に、と外国語は六カ国はマスター、他の交易を行っている国家の国の言葉も会話程度なら出来るようにした(簡単なだけど)。
10歳児にそれ以上を求めるのは厳しいと思うんだよね…実際。
まぁ…殿下は、前世の記憶も無しに未だに天才なんだけれども。
私の順位は、多分三位だ。
二位は多分テーマス様。
原作がそうだったから多分そうだと思う。
エスメラルダがこの順位に慣れたのは、原作と問題がおんなじだったのと、ただの努力。
多分、原作と問題が同じじゃなかったらアカリ様に抜かれてた。
私とアカリ様は、同着? 三位。
家庭教師や、習い事、その他何も無しでこれなのだから、やはり、天才なのだろう…(前世が天才だったというならばもう知らない)
。
だってそれ、絶対チートだもん。
前世の記憶があって、天才で、ヒロインで、ハッピーエンド確実。
これでチートではないというのならば、何をチートと言うのだろう。
アカリ様…姫巫女と言うのは、誰が付けた名なのだろう。
黒く長い髪に、桃色がかったオッドアイの瞳、童顔でありながらも、どこか儚い雰囲気をまとい、可愛くて愛らしい。
私の知る、巫女というものからかけ離れている気がする。
巫女というのは、清楚で凛としていて黒髪黒目、白い肌に、貞操。
それから……魔を払えること。
美しい神楽を踊り邪気を払う。
まぁ、私のはイメージのそれだけれど。
でも、この《プラネット》のヒロインの場合、巫女よりも、姫要素のほうが格段に高い。
ピンクのフリフリのドレスが似合う…着物であってもどちらかというと派手な…振袖のような着物が似合うのが…姫巫女だ。
まぁ、結局何もしれ来ないなら関係ないか。
「新入生一同、起立…気を付け、礼!」
在校生代表の掛け声で、立ち上がった私達は一斉に礼をする。
「着席…貴族から各自解散して下さい」
貴族から…と言うところが、なんともプラネタリウム学園らしい…。
私と殿下から席を立ち、体育館を出る。
外にはクラリーチェが、ドレスを持って、私を迎えにいていた。
「…クラリーチェ、行きましょう。着替えるから、手伝って下さる?」
「はい。勿論でございます」
「では殿下…また、後ほど、パーティーでお会いしましょう」
「ああ…エスコートする。時間になったら迎えをよこすからな」
「かしこまりました」
じっと頭を下げ、殿下が見えなくなるまで礼をし続ける。
クラリーチェや、他の従者たちは、跪いて決して目を合わすことのないように目を伏せる。
自分よりも身分の高いものに、許可なくて目を合わせただけで、それは、不経済なのだから。
「行くわ」
「はっ……貴方さまの、御心のままに」




