032
んー、早く投稿出来ました!
エスメラルダの口調がおかしいところがあるかもしれませんが…。
今回、ライナス様はほとんど出番ありません。
むしろ、ラガエメです。
ではどうぞ。
悲鳴が聞こえたかと思うと、実技場から、大量の煙と、熱、ところどころから炎の気配がする。
教師陣が、必死に消火活動を行なっているが、元々水の魔法が得意ではないのか、はたまた、王宮の魔術師らでも魔法のレベルはあんなものなのか。
ハーツハルク先輩はどうしていたかと言うと…。
必死に何かを考え込んで…顔を上げた。
生徒の避難を行うのかと思いきや…。
ーーーーー逃げた。
それはもう、全速力で。
駆けつけてきた教師達が、その様子を見て唖然としている。
それはそうであろう。
こんな日に、魔法の授業を任されたと言うことは、そこそこのエリートコースを進んでいたものだと思うから。
…って、そうじゃない。
火、消さなきゃ。
私は、属性に水を持っているので、この程度の火を消す規模の水を出すことは容易い。
魔力持ちが、魔法を使ったとなると、問題になるかもしれないけど。
こうなったらヤケクソだ。
…ーーーっもう、どうにでもなれー!!
「《水の箱庭》」
その言葉と共に、突如として現れた水の宇宙と表現すれば良いのだろうか。
美しく幻想的なそれは、その一瞬で火を鎮火し、また突如として消えていった。
「ーー、い、今の…エスメラルダ様が…?」
隣で、唖然としていたライナス様が私に話しかけてきた。
怖く、無いのかしら…。
そう思って、ライナス様を見ると、小さく震えていた。
…愚問、だったか……。
「…ええ、そうよ。…私、魔力持ちって言うことはこと瞳で分かるでしょう? それで、本を見て学んだから…」
ああー。
こんなことが言いたいんじゃ無い。
魔法を使えるようになった経緯を話してどうするんだろう。
もっと、もっと、別の…。
「ドルベラーネル! 今のは貴様か!!」
…誰?
ゆっくりと振り向くと、そこにはムー二ライト先生、…いや、教官がいた。
額には青筋が立っており、いやでも起こっているのが分かる。
少し挑発したら、爆発してしまいそうなその様子は、まるで、開発当初のダイナマイトのよう。
「…はい」
「なぜ、このようなことをした! 魔力持ちが魔法を使うなど、あってはならぬ! その力は悪魔の力だっ!」
…魔力持ちが使う魔法は、悪魔の力で、あなたが使う魔法は…神の力とでも言うつもりなのだろうか。
滑稽すぎて、笑えてくる。
「申し訳ありません…ムーニライト先生。火の手が上がっておりましたので、消さない方が危険と判断したのです」
「ふん。たわけ! 我が魔法があればあんなもの直ぐに消せたわ! 今回は新米にテストも兼ねてやらせたまでのこと。そんな事も分からんようでは、ドルベラーネル家も落ちたものよ」
…お父様やお母様まで侮辱するなんて。
確かに、学園では生徒の立場は、どうであろうと教官の方が上だ。
教師が平民であろうと、公爵子息でも文句を言えないし、勝てない。
「…さらに、子息、令嬢共々悪魔の力を持った魔力持ちとは。そして、その子息を時期公爵に指名するなどとほざいておる。ーー馬鹿め…」
最後と言葉は小さく、また、口もほとんど動いてはいなかったが、聞こえた。
きこえて、しまった。
…私のことを侮辱するのはいい。
でも、父や母、それにリトまで侮辱するのは許さない。
「…お言葉ですが」
「なんだー?」
「新米のテスト、とおっしゃられましたが、それで怪我人が出たら元も子もありません。あの状況では、少なくともテストをされて良いような時ではありませんでした。もしかしたら、死人が出ていたかもしれないのですよ」
「き、きさまっ!!教師に反抗する気か!!ゆ、許さん、許さんぞぉ!!!」
そう言うと、ムーニライト教官は、顔を真っ赤にし、憤慨した様子で、どこからか出した鞭を私に向かって払ってきた。
その勢いに思わず目を瞑ったが、バシンっという音の後、つまり、次に目を開けた時目にしたのは、鞭を、その身に受け私を庇うラガルハーネル殿下だった。
「…あ、」
へなへなと腰が抜けそうになるのを何とか耐えて、殿下を見る。
腕で受けたのだろう、右手を抑えており、顔は苦痛に歪んでいる。
「ら、ラガルハーネル…さ、ま…」
手当てをしなくちゃ、と思うのに、如何すればいいか分からない。
私の、せいだ。
私があんな事したから。
私が、私が、私がーー!
「エスメラルダ!」
「ラガ…る」
上ずって、上手く声が出ない。
「平気か?……ムーニライト教官。これは些か、処罰が酷すぎると思いますが? 彼女は私の婚約者です。怪我でもしたら如何責任を取ってくれる…!」
殿下が、ラガルハーネル様が怒っている。
怒気を放ち、ただ、無常に教官を圧倒している。
如何して、私を庇ったの?
如何して、私を助けたの?
分からない。
私は、《プラネット》の悪役令嬢で主人公はアカリ様で…。
バッドエンドしかない私は、それを避けようとして。
結局今、何をしている?
分からない。
何がしたいんだろう。
わから、ない。
ーーーーーーーー………。
「エスメラルダ」
「ラガルハーネル様…」
「平気か?」
「はい…そうだ。お怪我を」
「…このくらい、なんて事ない。それより、…怖くは、無かったのか?」
「…っ。平気、です」
「…あまり、追求はしないが、かかえこむことはしないでくれ」
「…殿下。怪我の手当てを致します」
…こういう時は、話を変えるのが一番だ。
無理やり、腫れてきている右腕をとる。
殿下の顔が歪んだのがわかった。
相当痛いのかもしれない。
私はそっと、治癒魔法を全力でかけた。
殿下の顔から脂汗が引き、しかめっ面が幾らか柔らかくなる。
「これはーーー」
魔眼をもつ、殿下には分かっただろう。
私が魔法を使ったことが。
それを分かっていながらに、私は何も言わず立ち上がった。
『ラルダ、行きましょう』
『…みんなの、キオク消さなくてイイの?』
『ええ。というか、現実的に考えて無理よ。ラガルハーネル殿下は魔眼、持ってるもの。バレるわよ』
『…んー、ワカッた。いこ!エメ!』
…どうしてもとなれば邪魔なやつらだけ記憶消そう…。
言葉とは裏腹に、こんな事を考えて居たが、ラルダは気付かずに、ただ、少し不思議そうにクスクスと笑って居た。
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