閑話 ルリト・クローエフェアラ・ウェン・ドルベラーネルについて
今回は、閑話です。
ルリトについてのお話です。
エスメラルダはルリトに半分依存してますが全然ルリトについての話はかいてなかったので、ここにまとめました。
注意”この話は、本編には関係ありません。
それでも言い方だけは、ご覧ください。
「エメ姉、速い…」
「だって、リトっ!早くしないと遅れちゃうわよ!」
「エメ姉…そんな急がなくても普通に間に合うって…」
俺の名前は、ルリト・クローエフェアラ・ウェン・ドルベラーネル。
クローエフェアラ公爵家子息で、次期、クローエフェアラ公爵でもある。
家族構成は父、母、姉、俺、といたって普通だが、愛人の子である俺は、義母であるフロリディア様とは一切血が繋がっておらず、姉であるエスメラルダとも半分しか血が繋がっていない。
そんな俺が、次期、クローエフェアラ公爵になれたのは、姉であるエスメラルダ…エメ姉のおかげだ。
俺は、とある下町の花屋で産まれた。
母は娼婦をしていて、そこで身篭った俺を花屋で隠れるようにして産んだ。
俺の、ルリトと言う名は、母の好きだった瑠璃という宝石から名付けられたものだった。
俺が産まれてすぐ、母は娼館での仕事をを辞めた。
それから母は、俺を育てるために俺を産んだ花屋で働き始めた。
親子二人での生活は、貧しく、厳しかったけれど、楽しかった。
母は誕生日にはいつも早く帰ってきて、大好きなシチューを作ってくれていて、二人で仲良く一緒に食べた。
「辛くても、苦しくても生きなさい。そうすれば、いつか、綺麗な服着たお貴族様があなたを迎えに来てくれるから」
これが、母の口癖だった。
昔は言っている意味が分からなかったけれど今なら分かる。
母は、俺の父親が、クローエフェアラ公爵だと知っていたんだ。
まぁ、普通に考えればわかる事だ。
俺は、顔立ちはまぁ母に似ているとしても、他のところが父に似過ぎている。
肌の色、体格、瞳の色まで。
だが、母は死んだ。
風邪と過労で肺炎を起こしたにもかかわらず働き続けた母の体調はみるみる悪化し、やがて発作を起こして亡くなった。
絶望した。
これから、どうやって生きれば良いのだろうか。
生きる術を知らぬこんな少年にスラムに近い西町で生きることなどできない。
家の中にいるのだって、借家だから家賃を払わなくてはならない。
食べ物だってすぐに底を着くだろう。
そしてある日、事件が起きた。
俺の魔力が暴走したのだ。
だんだんと理性が失われていき、本能だけで活動する…獣へと変わっていくかのように感じた。
…幸い死人は出なかったけれど、花屋のおじさんとおばさんは重症で、おばさんは、もう歩くことができなくなってしまったらしい。
他にも、たくさんの人が怪我をしたのだと聞かされた。
なぜ、聞かされた、なのかというと、理性を取り戻して目覚めた時俺はクローエフェアラ邸の地下室にいたから。
地下室と言うと牢獄を思い出す人もいるだろうが、全然違う。
普通に、部屋だった。
ただ、窓がない部屋。
トイレやお風呂は用意してあり、従者が居た。
俺はそこにしばらくの間軟禁されることとなった。
食事は誰かがいつの間にか運んできており、着替えもいつの間にか用意してあった。
本はたくさんあったので、暇つぶしにはもってこいだった。
別に、扱いが酷い…というわけでもなく、外に出られないだけで不自由は無かった。
それから一週間ぐらい経っただろうか。
急に、クローエフェアラ公爵との面会が決まったらしい。
湯浴みをして、綺麗で高価そうな服に着替えて姿形を整える。
「こちらでお待ちください」
メイドはそう言って案内が終わるとすぐに出ていってしまった。
面会場所は、クローエフェアラ公爵の執務室で行うことになっているらしい。
きちんと整えられた部屋は、物静かな雰囲気を感じさせ、少し、涼しくも思った。
しばらく待っていたが、クローエフェアラ公爵は来る気配がなかった。
しょうがなく、執務室を物色していると、部屋の外から物音が聞こえた。
コンコン、と部屋にノックをした後に聞こえた「お父様?」という声。
その声色から訪ねて来たのが少女だということがわかった。
しばらくすると声がしなくなったので、どこかへ行ったのか、とホッとしたが、その次の瞬間。
バンっ!
そう、ドアから部屋似まで衝撃が走り、美しく可憐な少女がドアを蹴破って入ってきた。
「…ルリト?」
これが、俺とエメ姉の出会い。
後は、皆さんご存知の通りだ。
そのあと、エメ姉が俺を助けてくれて、俺はエメ姉に惹かれていった。
といっても、当の本人は鈍感鈍感、気付きもしないのだが。
まぁ、けど、フェルにも出会えたし、エメ姉には本当に感謝してる。
感謝しても、しきれない。
「リト!誰に話してるのっ?せっかくキール達を撒いてきたんだもの。楽しまなくっちゃ」
「…怒られないか?」
「…ちょっとくらい…良いでしょ?……やっぱりダメ?」
上目遣いでおねだりしてくる。
反則だ。
…けど、これをしてるとどっちが兄姉かわからなくなってくるな…。
「…半刻だけだぞ」
「うんっ!ほらほら急ぐわよっ、お祭り終わっちゃう」
まぁ、こんな日常も。
「…たまには良いな」
願わくば、この平和な日常が続きますように。
争いに、エメ姉…エメが巻き込まれることがありませんように。
どうか、この祈りを…。




