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長くはありませんが、短くもない…と思います。
…小説家様たちはなぜあんなに文章が書けるのか…教えてほしい…。
プラネタリウム学園。
プラネット国が作った初等部から高等部、さらには大学まで揃った施設で、国内最大級の学園でもある。
ちなみにプラネット国と言うのは、この国の略で正式にはプライマリー・ネイルマリア・トランプ国と言う。
ネイルマリアと言うのは初代王の正妻、トランプと言うのは初代王の名らしい。
それで、《プラネット》だ。
なんだか無理矢理感が否めないがそこは…まぁ。
さて、プラネタリウム学園の説明に戻るが、私が入るのは初等部ではなくて中等部だ。
通常、初等部に通うのは平民で、貴族はその範囲を家庭教師に習う。
そして、平民が卒業したところで貴族が入学するのだ。
…初等部から行く貴族も、もしくは中等部にまで進学する平民もいない事は無いけれど。
あ、あとアカリ様たちが乗っている馬車は魔法付与が途中までしかされていないので、もうすこし時間がかかるそうだ。
この世界の学習レベル…主に数学が低いためいつもどの教科もほぼ満点に近い点数を取れるが、歴史だけは高い点数を取れない。
というか、歴史で満点が取れる人はよほど運が強いのだと思う。
何故なら、採点者によって答えが変わるから。
この国の…この世界の歴史はまだ究明されていないところが多く、そのため自身の解釈で説明されていることの方が多いのだ。
だから、採点者の考えを知っているか、採点者と同じ考えを持つ…どちらかでしか満点は取れない。
ただし、完全に分かっている部分もあるので点数は69点とかいう微妙な点になるのだけれど。
「えっと…寮は……」
この学校は全寮制。
私たち入学生はこの広い学園のどこかにある寮から毎日通うことになる。
でも、それでも、どうしても!
…場所がわからない。
男子寮と女子寮は場所が真逆なので殿下とは門徒のところで別れた。
地図もない、コンパスさえない。
無理ゲー!
さっきから寮がありそうな場所を適当に回り歩いているが一向に見当たらない。
まだ社交界デビューもしていないから知り合いなんていない。
ラルダはアカリ様の馬車で見張りを続けているからいない。
魔法で探せばいいかもしれないけど、この学園では魔法も習う。
使ったことがバレてしまうかもしれない。
基本私たち魔力持ちは、垂れ流し状態の魔力を魔力で補って魔法を発動している。
普通の魔法の変形、構築、発動とはわけが違うのだ。
「あーあー。どうしよ」
もちろん、返事をするものなどおらず、声は虚しく溶けて行く…。
「ん…きゃ、ご、ごめんさないっ」
適当に歩いていたら人にぶつかった。
…と言うよりは、寝転がっている人間に躓いた。
こんな森で何しているんだろう。
まぁ、敷地内なのだけれど。
「いや、こちらこそすまない。ここには誰もこないと思っていたものでな」
すくっと起き上がり、髪を手では払いながらその人は起き上がった。
その時、ラルダからテレパシーが届いた。
『エメ、学校ニついたヨー』
私もテレパシーでそれに返す。
『お疲れ様。私、森にいるのだけれど来れる?』
『ウン。だいじょーぶ。行くー』
『オーケー。待ってるわね』
「どうかしたのか?」
さっきの人が話しかけてきた。
茶色の髪、水色の目。
…なんか見覚えが……。
「ああ、自己紹介がまだだったな。…私の名はクロネカル・マナ・ロサ・マリワネットと申します。貴方様のお名前をお伺いしても?」
「…ええ。わたくしは、公爵令嬢が娘エスメラルダ・クローエフェアラ・ウェン・ドルベラーネルと申します。クロネカル様」
雰囲気が違いすぎて分からなかった。
けど、この容姿は確かにクロネカルだ。
実は双子でもう一人同じ顔のヤンデレが居るとか?
でも、それじゃあなんでこっちがここにいるんだろう。
うーん。
謎だ。
と言うか真面目に双子なのかも分からない。
「君、こんなとこまできてどうしたの」
正式な挨拶と口調はやめにしたらしい。
「はい、あの…寮に行きたいのですけれど、迷ってしまって…」
「…え?」
「…?」
「いや、とぼけるにしてももう少しましな…」
「嘘ではございません」
「マジで」
「マジで…ん゛んっ、本当でございますが」
危なかった。
口調が釣られて失礼になったりしたらこまる。
ヤンデレ要素皆無。
容姿端麗で頭も良い。
…モテないわけがない。
ていうか、ヤンデレの時でもかなりモテていたのだから、こんな優良物件モテないはずがない。
「…連れてってあげようか?」
「え、えと」
「あー、大丈夫。中には入らないし」
「…ありがとうございます。…お願いいたします」
「よーし、行こうか」
水色のクリクリとした目が私を見つめる。
今はこんなに優しくても、アカリ様と会ったら私の事など頭の片隅にもいなくなるんだろうな…。
……ちょっとぐらい、いたずらしても良いよね。
「あ、あの……手を…手を繋いでもらってもよろしいでしょうか……ここはその…こ、怖くて……その」
ただ、アカリ様の、姫巫女のセリフを使っただけ。
作中、姫巫女は個々に猫を探しにきて、私と同じような感じでクロネカルと出会う。
もっとも、私がクロネカル様と出会ったのは全くの偶然だったのだけれど。
『「…!…良いよ。…大丈夫。ここには怖いものはいない…いないんだ」』
脳内のセリフとダブって聞こえた。
少し翳っている表情も、トーンを落とした声色も。
似ている、やはり《プラネット》に。
違う、と見切りをつけてもそう感じてしまう。
いっそ夢だったと告げられた方が現実味があるのは、まだ私がこの世界を信じられていないという証拠だろうか。
「さあ、着いたよ」
促されて前を見る。
1番に目に入ったのは薔薇の香りが広がる大きな庭園。
そして、その背後にある真っ白な壁の建物。
おそらくこの建物が寮なのだろう。
「ありがとうございます」
裾をちょん、とつまみお礼を言う。
クロネカル様は微笑を浮かべると「じゃあね」といって走っていってしまった。
もしかしたら、忙しいところを私のために時間を割いてくれていたのかもしれない。
…いや、寝てた……よね…。
目の前に広がる大きな寮。
私は、これまた白いドアに付いている銀色のドアノブを回した。




