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020

20話突入しました!

読者様も増えていって下さって嬉しいです!


これからも読んで下さったら嬉しいです。

話、進むの遅くてすみません…。

 何故でしょう。

 今、私は誘拐されています。

 …何故でしょう。


 食事をするために馬車から降りた瞬間、何か薬品を嗅がされ、そこまま意識を失ったからここがどこかわからない。

 分かる事と言えば、左手に手枷を付けられて牢屋につながれている事ぐらい。

 何故かラルダまでいない。

 意識を失う前までは私の頭の上で寝ていたのに。


 食事は二食運ばれてくる。

 簡易的なスープやシチュー、黒パンだけだけれど。

 …なんでこんなにバリエーションを知っているか?


 もう、三日はここにいるからです。


 あの時、キールは店の席取りに。

 クラリーチェは食事を探しに行っていたから、私は一人だった。

 あんな…王城に行くような格好で一人でいたから、誘拐されたのかも知れない。

 その証拠に、あの紺色のシルクのドレスは脱がされ、今は下着しか着ていない。


 ただ…リトのくれた氷の短剣は、ちゃんとパニエに付いていた。

 …ん?

 この私を誘拐した人たち、私の身分知らないんじゃ…。


 大事なことを忘れていた。

 そうだ。

 あのドレスを見て私を誘拐したのなら、私の身分なんて知るはずがない。

 というか…私が直ぐにでもここを逃げ出せる事を知っているはずがない。

 魔法…の事なんて知っているはずがない。

 たとえ、私のオッドアイを見ていたとしても気にすることはない。

 普通の魔法持ちは、魔法なんて使おうと思わないのだから。


 手枷?魔法を使えば一瞬だ。

 牢屋の鍵も一緒。

 後はリトから貰った短剣で事足りる。



 私は《光線》で手枷を破壊して、《水操》でこの牢屋の鍵を模造して、外へ出た。

 まぁ、外といっても牢屋外、と言うだけだけれど。


 私は短剣片手に廊下を走る。

 感覚的に多分ここは地下だろう。

 その感を信じて上に走る。


 最悪、最上階に出てもこの世界の建物は二、三階までしかない。

 飛び降りても死にはしないだろう。


「お前、どうやって…いや、良い。取り押さえろっ」


「「アイアイサー」」


 途中、私を捕まえたであろう集団に出くわすが魔法は使わず短剣だけで倒して行く。


「…それ、魔剣か」


「たわごとはいいわ。ここはどこ」


 その中で一番偉そうな奴だけ残して、後は昏睡させる。

 …幹部には質問をするが、答えなかった場合は殺さない程度に拷問を軽く行う。


「こ、ここは…ロリゼア街にある酒場の地下3階だっ。た、頼む!殺さないでく」


 言い終わる前に気絶させる。

 さっさと吐けば良かったのにね。

 質問に答えてくれるなら拷問なんてしなかったもの。


 それにしても地下3階、か。

 私は目の前にある階段を見る。


「《探知》」


 トラップが無いかを確認し、後はただ上に向かって走る。

 追っ手が来ても戦える程度に魔力は温存しときたいので、《身体強化》は使わない。

 ガタッと、上にまで続く階段のトラップドアを開ける。


 外だった。


 酒場、は酒場だが、酒場の真ん前に出たのだこの階段は。

 ロリゼア街という事は間違いないだろうが。

 生憎この街はうちの公爵家の領地では無い。

 まぁ、国外に出ていなかっただけ、ましだと思う事にする。


 下着姿なのでジロジロと見られるが、別にブラとパンツだけ、では無いのだ。

 まだ耐えられる。

 これがノーパンなら泣きますけどね。


 この国は、全ての町から城が見えるようになっているので、まぁ、とにかく城に向かって走れば何とかなる。

 途中で衛兵に会えるかも知れないし、もしくは、私を探しているうちの騎士団員に会えるかも知れない。


 淡い期待を抱きながら、私は城に向かって走り出した。

 髪は傷んでいるし、足は裸足なのでボロボロだ。

 他にも所々、運ばれるときに雑にされたのか傷がある。

 とても公爵令嬢には見えないな、と少しおかしくなって笑った。

 まぁ、側から見ればおかしな人だけれど。


 あ、衛兵発見。


「そこの衛兵。止まってくださらない?」


「…何用…だ…エスメラルダ様っ、ご無事でしたか!」


 私のことを知っているらしい。

 探してくれていたのかも知れない。


 衛兵は何やら通信機らしきもので誰かと連絡を取ると、私に「しばらく待っていてください。迎えが来ます」と告げた。


 足が、限界まで疲れて震える。

 安心したら、傷が今になって痛む。

 座り込んでしまいたいが、それでは衛兵にクローエフェアラ家の威厳がなくなってしまうかも知れないと、必死に耐えた。


 それから何分経っただろうか。

 迎えの馬車が到着したらしい。

 遠目に、リトの姿が確認できた。

 多分、キールとクラリーチェも馬車に乗っているだろう。


「お嬢様っ」


 リトが先に走り始めたのに、先に私の元に到着したのはクラリーチェだった。

 前々から思っていたが、クラリーチェは案外にすばしっこい。


 遅れてリトとキールも私に駆け寄って来た。


「エメ姉!無事なのかっ」


「ふふ、心配しなくて大丈夫よ。でも疲れたから馬車まで案内してくださらない?」


「エスメラルダ様、それは私が」


「ありがとう、キール」


 正直、意識が朦朧としていて何を喋っているのかあまり記憶に無い。


 その後、馬車に入った途端に私はリトの肩にもたれかかり、寝入ってしまったらしい。

 これは、後にクラリーチェから聞いた。

 ラルダは私が高まったことをリトに伝えに行こうとして屋敷に戻ったのだが、肝心の私の場所が分からずリトに保護されていたらしかった。

 ラルダは、泣き出しそうな顔で私に向かって飛んで来た。


『エっ、エメ〜〜』


 ラルダは思いっきり魔力を放出して、私の傷と体力を回復してくれる。

 疲れていたのでありがたい。


『ふぅ、大変だったぞ。お前の名が出るだけでも泣きだすのだ。ピクシーと言う自覚を持たんから余計に苦労した』


 と、ファルには文句を言われたが、泣きついてくるラルダは可愛いので少しくらい大目に見てもいいと思う。


「ごめんね、ラルダ。流石に今回のは想定してなかったわ」


「まぁ、頻繁にあられても困るけどな」


「リトも気をつけたほうがいいんじゃ無い?リトはクローエフェアラ公爵家の嫡子。跡取りじゃ無い」


「俺は強いから問題ない」


「あら、私だって問題なかったじゃない」


 すると、リトから哀れみの目を向けられる。


「…エメ姉は、女だろ…?」


「女がどうかしたの?」


 女だったら何かあるのだろうか。

 そりゃ、体力面的にとかは男性のほうが有利かも知れないけれど。


「私、鍛えてるから大丈夫よ」


「そう言う問題じゃないだろ」


「?」


 本当にわからないのだ。

 キョトン、とリトを見ると諦めた顔をされた。

 それから、リトは自分の上着を脱ぐと私に被せる。

 またまた不思議そうに私がリトを見ると、リトは私の服を見るように促した。

 ……下着姿だった事忘れてた。


「わ、忘れてた」


「……寝とけ」


「さっきまで寝てた、のだけど?」


「良いから」


 リトは私の頭を自身の肩に乗っけて、私の視界を手で塞ぐ。

 馬車に揺られるままに、私の意識はいつのまにか夢の世界へと落ちていった。




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