26:六人パーティーを結成して
フライヤを購入した俺たちは六人でまず【デュッセル】の聖教会へと向かった。
まずはエリザとフライヤのステータスを確認しないと話にならない。
ついでにフゥガ、カリン、ネフィリアも確認する。【ベレッサの街】を出る前にネフィリアは見たけどな。
一昨日の夜襲でどれだけ上がったのか、一応確認しておく。金もあるしな。適度に見ておかないと俺が落ち着かない。
「五人も一気に<ディテクト>の宝玉を使うのか? 若そうに見えるのにとんでもない富豪だな、ご主人様は」
「俺は十五歳のDランク冒険者だぞ。ただちょっと金を持っているだけだ」
「フライヤが不思議がる気持ちも分かるが後ほど詳しく説明するから少し待っていてくれ。今は何も言えん」
「ジェイルさんがとんでもない存在なのは間違いないですけどねぇ」
そんなことを話しつつ歩いたが、フライヤはガサツそうに見えて意外とフゥガと気が合いそうに見えた。
誰とでも気兼ねなく接することができると言うか、横柄と言うか、奴隷っぽくないと言うか。
だからこそすぐに馴染めそうだなという雰囲気は感じた。
エリザも聖教会に行けることを喜んでいる。どうやらしょっちゅう足を運んでお祈りをしていたらしい。
拉致されてから行けていなかったし、奴隷となってからは自分の意思で聖教会に行くことなどできないと思っていたそうだ。
俺はそこまで縛るつもりもないし、自由に礼拝してくれと言っておいた。まぁどちらにせよ頻繁にステータス確認に訪れることにはなるんだけどな。
そうして聖教会に着いたのだが、どうやら神官の人もエリザのことを覚えていたらしい。
詳しい事情は伝えられなかったが、今は俺たちのパーティーに入ったことだけ伝えて、女神像にお祈りしていた。
<ディテクトの宝玉>も使わせてもらい、五人分のステータスを俺は紙に書き留める。
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Name:フゥガ 狼獣人
BIL:剣と正義の神
JOB/Lv:ナイト(31)
WEP Skill:スタンス(8)、スラッシュ(8)、ダブルスラッシュ(5)、スウィープソード(5)、スパイラルトラスト(4)、ゾーンアタック(3)、ゾーンスラッシュ(1)
JOB Skill:ガードスタンス(8)、ディフェンススタンス(8)、タウント(6)、シールドバッシュ(3)、ハートオンセイント(2)、リカバリー(2)、ラストスタンド(1)
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Name:カリン 狐獣人
BIL:炎と手工の神
JOB/Lv:マジシャン(31)
WEP Skill:スタッフクラブ(3)、マジックスタンス(8)、マジックアップ(6)、エレメンタルフォース(1)
JOB Skill:ファイアボール(8)、ファイアベール(8)、ファイアランス(8)、ハートオンファイア(6)、ファイアウォール(2)、グランドファイア(1)、ファイアストーム(1)
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Name:ネフィリア エルフ
BIL:森と精霊の神
JOB/Lv:ハンター(30)
WEP Skill:パワーシュート(5)、スパイラルシュート(2)、ダブルシュート(1)、パラライズシュート(2)、トリプルシュート(1)、アローレイン(1)
JOB Skill:エイムアップ(6)、ホークアイ(4)、コレクトサーチ(2)、エネミーサーチ(3)、ナイトビジョン(1)、ハイド(1)
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Name:エリザ
BIL:愛と生命の神
JOB/Lv:クレリック(15)
WEP Skill:ヒール(6)、ライトシュート(2)、キュア(3)、ハイヒール(1)
JOB Skill:ガードアップ(1)、ウィッシュ(1)
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Name:フライヤ
BIL:戦と勲功の神
JOB/Lv:ブレイド(31)
WEP Skill:スタンス(6)、スラッシュ(6)、スウィープソード(2)、クリティカルスラッシュ(2)、ユーフォリク(3)、ゾーンクラック(1)、ディスパイト(1)
JOB Skill:アタックアップ(6)、スピードアップ(6)、タイトウェポン(5)、クリティカルアップ(2)、フリーウェポン(1)、ディボーション(1)、ダブルブレイド(1)
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エリザがやっぱりLv15と低いな。【デュッセル】に来てすぐに仲間にできる準ユニークキャラだから仕方ない部分ではある。冒険者ランクもEだしな。
そしてフライヤがBランク冒険者ながらLv31とのこと。俺の想像よりも低く感じる。
この世界のBランク冒険者というのはこの程度なのだろうか。
とすれば俺たちはすでにBランク相応の力を持っているということになるのだが……まぁ違和感はない。
俺たちのレベルが上がりやすくなっているのは、それだけ無茶な連戦をしているというのが理由の一つ。MPポーションを潤沢に使い、スキルを連発するような戦い方だからな。
それと『狩りの勲章』で経験値二倍になっているせいもある。俺が持っているだけでパーティー全体に効果が出るからな。
だから出来るだけ早く【フォーラス村】に訪れるべきなのだ。それが【AG】の常道である。
冒険者ランクをまとめておくと、ジェイル(D)、フゥガ(C)、カリン(C)、ネフィリア(C)、エリザ(E)、フライヤ(B)という現状だな。
とりあえず俺とエリザをCランクにするのが目標となりそうだ。
ただ冒険者ギルドの依頼を熟すというのはもうちょっと先だな。その前にやることが色々とある。
出来れば王都あたりでCランクになっていたいものだが……悩ましいな。さっさとリッツエルデ王国へと行ってしまいたい気持ちもある。そこはまた相談しよう。
聖教会を出た俺たちは日用品を扱っている商会へと向かった。
エリザとフライヤの日用品や衣類などを買っておく必要がある。
それと【青の竜爪】【白雷の虎】から押収した諸々の中から売れそうなものを同時に売る。
これは前日にフゥガ、カリンと選別済みで、小分けにして色々な場所で売るつもりだ。さすがに一気にドーンと売るわけにはいかない。
「テントとか樽とか余計に買っておくか?」
「樽などそれこそ売るほど大量に戦利品があるだろう。テントも今ある分で十分に思えるがな」
「いや、中古じゃなくて新しいのがいいかな、と思っただけなんだが」
「ホントにこのご主人様はどうなってんだよ。やっぱ大富豪じゃねえか。マジックバッグの中から何個マジックバッグが出てくるんだよ」
「こんなことで驚いていたら身が持ちませんよ、フライヤさん。夜に説明があると思いますのでそれまで待ちましょう」
「マジかよ。なんかちょっと気が重くなってきたぞ」
それから適当な食堂で昼食を挟み、まずは魔道具屋へ。
これも【デュッセル】にはいくつかあるようなのだが、とりあえず大通り沿いの大きそうな店を選んだ。
冒険者活動に必要そうなものは買うつもりなのだが、本命はエリザの武器だ。
エリザはタリスマンを使っていたそうなのだが、持ち物は全て【白雷の虎】の手に渡り失っていた。回収した中にもなかったので処分されたのだろう。
ちなみにネフィリアとフライヤも装備品も何もない状態で購入している。だから最初は色々と揃える必要があるのだ。
剣や槍ならば鍛冶のできる武具屋で製作依頼もできるし、鍛冶屋と提携して販売を専門としている武具屋もある。
しかし杖やタリスマンなどは魔道具の扱いとなり大店の商会である武具屋か魔道具屋で買うかたち。
エリザの防具である法衣やローブも商会で買うべきなのだとは思うのだが、とりあえずは武器から揃えようと魔道具屋に来たわけだ。
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信心のタリスマン:INT+20、回復量上昇
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まぁ、【デュッセル】で買えるタリスマンだったらこんなもんが限界か。
あとは二日前に行った武具屋へ行ってみてどれくらい揃えられるか見てから、足りない装備を買う感じかな。
依頼していたインナーと靴、それとネフィリアの防具はあと四日くらいかかるはずだが、追加で頼みたい仕事もあるし、出来合いの装備品などを買い揃えてもいい。
そんなわけで例の武具屋に来てみたわけだが、髭面の店主が開口一番こう言ってきたのだ。
「昨晩のアレってお前の仕業だろ? 色々と噂になってるぜ?」
にやけた顔でそんなことを言う。
奴隷商でも教会でも他の店でも、特に俺が変に見られるようなことはなかった。
だというのにこの親父は、なぜ俺だと分かったのか。気になったので少し探ってみた。
「何のことだか分からないが、なぜ俺の仕業だと?」
「お前らがこの街の新参で、新米冒険者のくせにカイザーウルフなんて狩ってんだ。それで疑われないほうがおかしいってもんだぜ」
「こんな大きな街なら俺くらいのヤツなんてゴロゴロいそうだけどな」
「いるわけねえだろ、こんな常識外が服着て歩いているようなヤツはよ。まぁ口外するつもりはねえから安心しとけ。俺たちだってあいつらには少なからず嫌な思いさせられてたんだからな」
俺としては出来るだけ『この世界の一般人』を意識して行動していたはずなのだが……どうも常識外れと見られていたらしい。
宿に帰ったらみんなに聞いてみよう。どこが常識外れなのか確認しないとこれから先も不安だ。
「んで今日はどうした? 注文の品はまだ出来上がってねえぞ?」
「追加の注文と新入り二人の装備を見繕いにな」
「ほう、何を作るんだ?」
「こいつを彼女用に調整して欲しい」
「ブハッ! てめえ、やっぱり隠す気ねえじゃねえか!」
マジックバッグから出したのは中盾と鎧だ。戦利品を分別した中からフゥガ用にと選んだものでもある。
しかし元は【白雷の虎】の幹部が使っていた装備で、『白い×印』が描かれているのだ。だからそれを消して、尚且つフゥガ用に調整してもらいたい。
本当はこれも適当な理由をつけて手に入れたという体にするはずだったんだけどな。俺が闇組織を潰したのだと分かっているなら話は早い。渡して頼むだけだ。
「まぁいいけどよ。これくらいならすぐ終わるだろうし。先に注文受けていたヤツと一緒に渡せるだろう」
「あと特に理由はないんだが、戦利品の装備が百人分くらいあるんだがいくらか買い取れるか?」
「はぁ……いやもうとやかく言わねえけどよ。買えるっつっても限度があるぞ? それでもいいなら買うわ」
「んじゃあとりあえず出すから見繕ってくれ」
「てめえどれだけマジックバッグ持ってんだよ! どっかにまとめてあるのかと思ってたら持ってきてやがったのか!」
「これも戦利品の一つだよ。便利だから使わせてもらってる」
「はぁ……俺の予想以上に常識外れなヤツだったみたいだな……まぁ上客には違いねえが」
ちなみにフライヤ用の大剣は確保してある。予備の武器や防具もいくつか。
ただほとんどが下っ端構成員の装備だし、職業的に俺たちが装備できないものもあるので、そういったものは処分したいのだ。親父さんが買ってくれるなら儲け物である。
それとエリザ、フライヤの防具だな。
これを一から製作依頼すると四日後の受け取りには間に合わないだろう。だから店に並んでいた既製品から選ぶことにした。
店主の親父さんは鍛冶屋が本業らしく、軽装や衣類などは知り合いの【テーラー】に頼んでいるらしい。その人が作ったものも一緒に店に並べているそうだ。
問題はフライヤの防具なんだよな。【ブレイド】は前衛物理職なのだが鎧が装備できない。軽装オンリーだ。
防御力がとことんない代わりに攻撃力があるという、ピーキーな職業である。使いづらい反面、ロマンのある職業だと言えるだろう。
もちろんシュトローゼル王国に【ブレイド】専用の軽装など売っているはずもなく、これこそ発注して作ってもらいたいところだが、既製品で間に合わせるならば『防御力のある普通の服』で凌ぐしかない。
エリザの法衣も同じようなものだ。回復役用のちゃんとした防具は聖王国のほうが揃っているから、今はありきたりな防具でまとめておく。
ここら辺は今後の課題だな。いい感じの魔物を狩るか、どこかの宝箱を狙うか、考えておく必要がある。
そうして見繕った今の装備がこんな感じだ。
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エリザ:信心のタリスマン、硬白革のドレス、祈念のローブ、革の靴、緋珊瑚のネックレス
フライヤ:破壊者の大剣、黒緋革の服、革の靴、豪傑の腕輪、疾風のイヤリング
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尚、靴に関してはエリザとフライヤの分も追加した。渡してあるウルフ系の素材で二人分から四人分にするだけだからと親父さんが了承してくれた感じだ。
他の装備品は闇組織からの戦利品だが、緋珊瑚のネックレスはフゥガが装備している【緋珊瑚のイヤリング】と同じで状態異常耐性の効果。
破壊者の大剣は【白雷の虎】頭領の【白虎のトラッド】が装備していたものだ。
豪傑の腕輪もフゥガの装備品と同じだな。STR上昇。
疾風のイヤリングはAGI上昇。どちらも【ブレイド】の長所を伸ばすようなアクセサリだ。
とりあえずはこれでいく。また随時更新することになるだろうが。
「ちなみに昨夜の一件はどんな感じで広まっているんだ?」
「謎の四人組が裏町で暴れ回って【青の竜爪】と【白雷の虎】を潰したってだけだな。【朱の怪鳥】が凄腕の刺客を送り込んだんじゃねえかってのがよくある噂だな。まぁ実際は違うんだろうが」
「【朱の怪鳥】が調子に乗るようなことになると面倒なんだがな」
「どうだろうな。衛兵の動きが活発だし今まで以上に【朱の怪鳥】が警戒されているのは間違いねえだろ。何にせよ多少は商売しやすい街になったんじゃねえかな」
「だったら良いな。謎の四人組には全く心当たりがないが、俺も気に掛けておこう」
「ハハッ、そうだな、六人組の兄ちゃんよ」
そんな世間話を交えつつ、武具屋を後にした。また四日後に来ることになるだろう。
それまではサブクエや依頼を熟すかな。




