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 さて、早いもので今日はリキューシア領滞在最終日。いまだに正式な謝罪がないな、と思っていたらお茶の時間に呼ばれた。ちらりと聞いた話ではフルシア嬢が謝りたくないと駄々をこねたり、ガルシアン殿の学園があったり、僕が体調を崩したりといろいろあってこうして最終日まで伸びてしまったみたい。

 ちなみにこの場に大人はいない。いる大人は使用人だけだ。まあこれもよくある話で僕らだけの話は子供のけんかで済むけれど、大人が入ると家同士の問題になる、と。ただシントとフルシア嬢では身分に差がありすぎて速攻子爵自身が謝ってしまっていたけれど。


サロンに入るといつか見た時と同じように顔色を悪くさせたガルシアン殿、シシティア嬢、そして不機嫌、と思いきや何とも言えない顔をしたフルシア嬢がいた。


「わざわざ足を運んでいただきありがとうございます」


「いえ」


 挨拶を端的に終わらせると、ガルシアン殿が隣に座るフルシア嬢を促す。さて、謝罪が出るか文句が出るか、とじっと言葉を待つ。すると、フルシア嬢はうつむいたまま、小さい声でごめんなさい、とつぶやいた。お、素直に謝った。まだ難ありだけれど。


「フルシア!」


 フルシア嬢をにらんで、ガルシアン殿が叱責する。しかし、そんな二人をシントは止めた。そして、フルシア嬢のことを見る。


「ねえ、フルシア嬢。

 何がごめんなさいなのかな?」


 あああ、王子様スマイル浮かべている。すごくきれいでお手本みたいな笑顔だけど、なんか圧があって怖いんだよね。


「え、あの、その……。

 私が、あなた、殿下方に無礼を働いたから」


「無礼? 

 どんな?」


「ど、どんなって。

 知らないわ!

 皆言っていたわ、私が殿下方に無礼を働いたから怒っているって」


「つまり、理解してないんだね。

 ねえ、口だけの謝罪にどれだけの価値があると思う?」


「っ!

 それは……」


 あ、これは予想外。せっかく謝ったのに、と怒るかと思っていたら、視線をさまよわせている。全く理解できないわけではないのだ、シントが言っていることが。じっと、次の言葉を待つ。シントは別にフルシア嬢をいじめたいわけではないのだ。


「わ、私が、殿下方の会話を、遮った、から。

 それに、急に立ち上がったわ」


「うん、そうだね」


「それに、そのまま部屋に、下がってしまったわ。

 侍女に連れられてとはいえ。

 だから、ごめんなさい、シフォベント殿下、アラミレーテ様」


「うん。

 ほら、君はちゃんと何が良くて、何が悪いのか判断できるだろう?

 謝罪は受け取ろう」


 こくり、とフルシア嬢はうなずいた。よかった、これで一件落着かな。


「ねえ、ガルシアン殿、シシティア嬢。

 確かにフルシア嬢はまだお披露目を終えてすらいないかもしれない。

 けれど、考える力も反省する力もあるんです」


「はい。

 申し訳ございませんでした」


 謝ってほしかったわけではないんだけれど、と困った顔をしたものの特に口にはしない。まあ、うまくまとまったから水も差すのもね、ということで解散ということになりました。



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