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すみません、ここの話がぬけていました…。
挿入したため、これ以降87話まで1話ずつズレております。
夕食は久しぶりに領主一家といただき、その後またサロンに呼び出されてしまった。今度はガルシアン殿たちではなく、ダブルク様だけれど。
「ごめんね、また呼び出してしまって。
お疲れだろうに」
「いえ、ダブルク殿こそ視察の後に申しわけございません」
入れてもらった食後のお茶と軽い菓子をもらう。まあ、この2人が悪いところは何もないから、ここで謝りあっていても、ね。お茶を置ききったのを確認するとダブルク様が人払いをする。すると、先ほどまでのかしこまった空気が緩まる。
「さて、昼の話は聞いたよ。
本当に災難だったね」
「災難、とは思っていませんけれど……。
まあ、いろんな人がいるのだなとは思いました」
「そうだな」
くくっと面白そうに笑いながら、ダブルク様が返事をする。いや、こっちとしては笑い話ではないんだけれど。何が面白いんですか? と聞くとだって、とすぐに返事が返ってきた。
「君たちがそれを言う?
十分、君たち二人も普通の子息の枠には収まっていないよ」
「え、そんなことないですよ!?」
「いやいや。
立場上いろんな人に会うんだけどさ、君たちみたいに勉強熱心な子あんまりいないよ。
それにすごく思考が大人向き。
今回の話もそうだけれど、いっそガルシアン殿よりも大人なんじゃない?」
うっ、なまじ間違いじゃないのがつらい。一応、僕にはラルヘとして生きた記憶が、シントには陛下として生きた記憶がある。そりゃ単純な子供ではない。気まずげに視線を逸らすと、そらした先のシントもこちらを見ている。あれ、これもしかして否定しないとまずかった? いや、でも意地になって否定するのも違うような? あれ、正解って何だろう。
「まあいいや。
でも何か……、悩みとかあったら聞くよ?」
「悩み、ですか?」
「うん。
無理に話す必要はないけれど、でも、言いたくなったらいつでも聞くよ」
何かあると、確信がある言葉に固まる。でも……。両親を除いて、きっと今の僕らが一番信用できる大人がダブルク様だ。両親は信用はしているけれど、相談するなら父上。僕は父上とはあまり話をすることがないし、シントの父上は国王だ。うん、気軽に相談なんてできない。なら、きっとダブルク様が一番相談しやすいよね。僕らが抱えている秘密は誰かに話していいものなのかわからない。けれど、場合によっては隣国との関係性を変えうる秘密。
「話したくなったら、話させてください」
「うん、それでいいよ」
なんだか不安いっぱいになってしまった視察だけれど、この人と出会えたことは最大の幸運だ。
「それでは長らくお世話になりました」
「いえいえ!
殿下にもカーボ辺境伯子息にも多大なるご迷惑をおかけいたしました。
申し訳ございません」
「その話はもう大丈夫です。
またお会いできる日を楽しみにしております」
「光栄です」
「道中お気をつけてください。
またいらしてくださいね」
「ありがとう、夫人。
では、また会いましょう」
挨拶を終えるとようやく馬車が動き出す。結局ここでは視察に参加できなかったけれど、うん、学べることはあったかな。そして馬車は次の目的地へと向かい始めた。




