表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/169

71


 おいしいご飯を頂き、お風呂も済ませる。大人たちは接待を受けているようだけれど、まあ子供には関係ない話だよね。さっさかその場を離れましたとも。そして部屋に戻ってきてようやく一息付けた。


「ふふふ、それにしても誰かと一緒に寝るなんて初めてだ」


「そうなの?

 僕はいつぶりだろう……」


 アランとして生まれてからはおそらくずっと一人で寝ている。貴族ってたぶんそんなものだ。前世から貴族、どころか王族なシントは初めて……。あれ、夫婦って一緒に寝るものじゃ?


「シント、というか陛下には皇妃がいらっしゃったのでは?」


 そう口にすると明らかに困った様子のシント。一体何があったんだろう。


「まあ、その話はいづれで……」


 あ、逃げたな。そう思ったけれど、話しづらいなら特に追及する理由もない。それよりももともと気になっていたことがあったんだよね。


「ずっと気になっていたことがあるんだけれど……」


 話題が変わったことを感じたのか、すぐにシントが何? と乗ってきた。そんなに皇妃の話されたくなかったの? そんなに反応されると、逆に調べたくなってくる。と、まあそれは置いておいて。


「シントの執事のゾーゼル・ツェベル、彼はツーラルク皇国の血筋の人なの?」


「え?

 いや、そんなことは聞いてないな。

 確か彼は……。

 身寄りがないって言っていたかな」


「身寄りがない?

 それきちんと確かめられていることなの?」


 ツェベルの両親が誰で、本当に亡くなっているのか、その人たちの親戚付き合いがどうなっていたか等は調べられているの? そう聞くとシントは首をかしげる。え、王族の執事を務めている人がそれでいいの? だってバックグラウンドが一切わからないってことじゃないか。もちろん、ツェベルが本当に親戚がいなくて天涯孤独ならば大丈夫だろう。むしろ家族という弱みがないという点において王族の側にいるのにいいかもしれない。

 けれど、もしも生きていた場合、意図していないとしてもシントとという第二王子とのつながりを手に入れたということだ。今更何かしかの権利を主張してくる可能性すらあるのだ。わかっている? といってもいまいちピンと来ていないみたい。あれか、こういった問題には前世から守られるだけで終わっているのか。本当に大丈夫か……?


「どうしてアランはツェベルがツーラルク皇国の血筋と思ったの?」


「気づかない?

 顔立ちがどことなくツーラルク皇国の人だよ」


 そんなに目立つものではないけれど、確かにわかる。なにせ、ずっと皇国に住んできたし。それに、僕の、というかラルヘの血筋は皇国とは実は違うから違いが余計に分かるんだろう。わからない? といってもやはりわからないみたい。シントはうーん、といっている。これ本当に大丈夫なのかな……。まあ、きっと大人たちがしっかりしているよね! ね!


「それにしてもずいぶんと急に聞いてきたね。

 僕らが再会して、アランが初めてツェベルと会ってずいぶんと立つだろう?

 どうしてツェベルの名前だけ気にしたのか不思議ではあったけれど」


「ああ、だって……。

 僕はさ、今までツーラルク皇国に関する話を自分からしたことがないんだ。

 どう思われているのか不安で。

 争っていたのは150年前のことかもしれないけれど、僕にとっては」


 自分でこの国の人を殺した、確かな現実だから。昔話にして終わらせられることじゃないから。その言葉を口にすることはできなかった。思わずうつむいた僕の様子をシントは察してくれたようで、アラン、と心配げに呼んでいる。


「大丈夫。

 まあ、だから皇国の血筋の人がどう思われているのかわからなくて。

誰かいるところでは口にできなかったし、二人きりの時は聞ける時間がなかったからさ」


「そっか」


 ああ、なんだか重い空気になってしまった。何か、何か明るい話題!




誤字報告ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ