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 翌日、珍しいことに僕は父上に呼び出されることとなった。僕からもほとんど行かないけれど、父上から呼び出されることも実はそんなにないのだ。緊張する……。一度深呼吸をして、ノックをする。すると父上の執事が出てきて、中へと通してくれた。


「よく来たな」


「いえ、何かご用でしょうか?」


「ああ、アレクフレッド殿から聞いたのだが、市場に行きたいのか?」


 アルクフレッド殿……。話のつながり的にシベフェルラ公爵かな? ひとまず事実なのでうなずいておく。


「そうか。

 殿下もともにということで近衛騎士がともに行ってくれるようだし、好きにしていい。

 それと、お披露目が終わった後からこちらで暮らすという案があるのは聞いているか?」


「少しだけ聞いています」


 あっさりと許可されたことに驚いていると、話は次のものに進んでいたみたいだ。そしてその案はやっぱりあったのですね。


「こちらもそなたの好きにすればいいと思う。

 領都にいてもいいが……。

 もし、視察についていくのであれば、こちらで殿下とともに魔法を学んだ方がよいだろう」


 領都にいてもいいが、その言葉の続きがとても気になったけれど、結局濁されて終わってしまった。それと視察についていく件についても話が通ってあったのか。それよりも……。


「魔法、ですか?」


「ああ、宝石眼については聞いているだろう?

 殿下もそなたも同じだからな。

 魔法を学ぶのはヘーリ達同様領都でもできるが、殿下とともに学ぶのもいいのではないか?」


 殿下と何かを学ぶ。それはなんて魅力的な案だろう。本当に、今なら対等に仲良くなってもいいのだと、友人として傍にいてもいいのだと、そういわれているようで……。


「王都に、行きたいです」

 

 気づけばそう口にしていた。そんな僕に父上はただわかった、とだけ答えた。


「それならばこちらもそれなりの準備をしておこう。

 一部うるさいものもいるかもしれないが、自分の意見を曲げるなよ」


 うるさいもの……。一体誰だろう? そう考えるも、父上の視線はまっすぐにこちらに向けられている。冗談でもなんでもなく、ただ一度決めたことを撤回するなと言っているのだ。僕はそんな父上に応えようとしっかりとうなずいた。


 そのまま父上の執務室を出る。ずっと緊張しっぱなしだったけれど、ようやく力を抜くことができた。でも、本当にシントと学ぶことができるんだ……。

 それよりも前に市場に行ける! アランは全然外に出ないから、この国の人々がどう暮らしているのかずっと気になっていたんだよね。


「あれ、アランがここにいるのは珍しいね」


 一気にいろいろありすぎて父上の部屋の前で立っていると、そこに兄上が通りがかった。確かに珍しいよね。


「兄上も父上にご用ですか?」


「うん、少しね。

 アランの用事は終わったのかい?」


「はい!」


「なんだかうれしそうだね。

 あとで話を聞かせてよ」


 ついつい前面に喜びを出してしまっていると、兄上に笑われてしまった……。慌てて平常心、平常心、と唱えながら僕はひとまず自分の部屋に戻ることにした。


「え、アラン、次の銀月から王都にいるのかい?」


「そうなると思います」


 部屋にいるとさっそく兄上が訪ねに来てくれた。本当に理由を聞きに来たらしい。初めに市場に行くという話をしたら、少し驚いてはいたけれどよかったね、と頭をなでてくれていました。けれど、そのあとにこちらで魔法などを学ぶという話をすると、今度は固まってしまいました。そんなにありえないこと?


「そっか……。

 僕としてはうれしいけれど、マリーやイシュン兄上がうるさそうだな……」


 うれしいけど、の後何を言ったのだろう? 声が妙に小さかったので聞こえなかった。もう一度聞いても答えてくれないし。


「ふふ、でもこれで次の学園が楽しみだ!」


 そういうと、ギュッと抱きしめてくれる。本当に喜んでくれているのがわかって、ひとまず抱きしめ返しておく。こんなに喜んでもらえると、僕の方までなんだかうれしくなってくる。


「そういえば、兄上は誰に魔法を学んだんですか?」


 僕が今度から習うということは、兄上はもう学んでいるということだ。魔法自体は知っていたからいつ誰に魔法を学ぶのかずっと楽しみにしていたのだ。


「うん?

 僕もマリーもユズレアに教えてもらったよ」


「ユズレア?」


「辺境騎士団の第5隊隊長、ユズレア・スタンタ。

 魔法の扱いにたけている人なんだ」


 そんな人がいたのですね! 隊長はキャベルト隊長しか知らないんだよね。


「でも、王都で学ぶのならきっと違う人が付いてくれるよ」


 僕の先生は誰になるんだろう?

 



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