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 そして、さらにその翌日本当に市場に行けることになりました! 本当に早い……。だって話が出てからたった2日だよ? まあ確かにもう領都に帰らないといけないから助かったのだけれど。

 服装もなじめるように少し荒いものを着て、眼帯も最初のシンプルなものを身に着ける。お小遣いもちゃっかりもらってしまいました。こういう服、なんだかとても懐かしい。『ラルヘ』は平民とは言え、将軍という地位についてからは着るものはよくなったからね。


「ああ、僕もついていきたかったな」


 兄上はいまだにそんなことを言っているけれど仕方ないじゃないか。さすがに殿下と一緒に行くのにいきなり兄上も、とはいかない。何よりも……。


「兄上はエキソバート殿下のところへ行くのでしょう?」


「まあ……」


 ちなみに僕がシフォベント殿下をシントと呼ぶことで、兄上もエキソバート殿下をエリトと呼ぶことになったようだ。もともと人付き合いで忙しそうにしていたけれど、殿下のところにもいかないといけなくなって大変そうだったんだよね。


「王宮までは一緒に行きましょう?」


「そうだね」


 待ち合わせは王宮。うん、楽しみ。ちなみにサイガも一緒に行ってくれるみたいです。


「やあ、アラン!

 今日はよろしくね」


「シント殿下!

 はい、とても楽しみです」


 王宮の入り口、そこにはすでにシントとエキソバート殿下が待っていた。王子自らお出迎えってすごいよね……。


「なぜ、エリト殿下もこちらに?」


「ヘーリを迎えに来たんだよ」


 なぜ、とつぶやくも兄上はそのままエキソバート殿下について中へと入っていきました。残った僕たちは行こうか、というとシンプルな馬車に乗り込む。市場の傍まではこれで移動するのだ。そこにお互いの執事も乗り込み、4人で移動する。近衛騎士の人たちは馬車から降りるところで合流みたいです。


「賑やかな声が聞こえてきましたね」


 外から聞こえてくる声が増えてきて、本当に市場に近づいてきたんだ、と実感する。どんなものがどんな値段で売っているのか、すごい楽しみ。


「我々は少し離れたところを歩いておりますので、ご用がありましたらお呼びください」


 馬車が停車すると、そんなことをゾーゼルが言い出した。一緒に回るのかと思ったけれど、どうやら少し離れたところで見守っているみたい。なんでも、近衛騎士と2人が一緒にいるとどうしても目立ってしまうからだそう。なるほど。


「お待ちしておりました。

 本日はよろしくお願いします」


 馬車を降りると、さっそく二人の騎士が待っていた。一人はこの前シントが呼んでいた男性だ。この場になじめるように鎧とかではなく、普通の服を着ている。でも、その腰には長いコートに隠れて剣があった。


「よろしくお願いします」


「申し訳ございませんが、本日は親せきの子、ということでお二人のことは愛称で呼ばせていただきます。

 お許しください」


 丁寧に謝られてしまった。全然気にしないのに。でも、きっとこの方たちとは身分に差があるんだろうな。大丈夫です、と了承すると、さっそく市場を歩くことにした。


「さあ、ここの焼き鳥は一番うまいよ~!」


「とりたてフルーツのカット!

 歩きながらおひとつどうだい?」


 す、すごい。活気にあふれている。なんだかすごく懐かしい。


「ねえ、シント。

 何か食べない?」


「何がいいかな?」


「ねえ、何かおすすめはある?」


 市場に来たことがあるっぽい二人に話を振ってみる。いろいろありすぎて何から手を付ければいいのか全く分からないのだ。


「おすすめ、ですか?」


 あ、もしかして困ることを言っちゃったかな。お互いに顔を見合わせて、何がいいんだと悩んでいる。


「そ、そうだ。

 我が国の伝統料理はどうでしょう?」


 そういって示されたのは、とてもいい香りが漂ってきている。


「あまり上位貴族の方は口にしないのですが、なかなかおいしいですよ。 

 手が汚れてしまうのが難点ですが……」


 伝統料理とか食べてみたい! シントも同じことを考えていたみたいで、行こう、と言ってくれた。すぐにその屋台に並ぶと、あまり待たずに料理を渡された。お金を払おうとすると、こちらがお金を出す前に騎士の方に払われてしまいました。このくらいおごらせてください、とのことです。


 受け取ったのは何かの葉に包まれたてかてかとしたもの。これごと煮込まれているのかな。どう食べるんだろう、と困っていると騎士の方がひょい、とそれを取った。


「あちらでいただきましょう」


 ちょうど近くに設置されているベンチが空いたようで、そこに移動する。座ると、さっそく食べ方を教えてくれた。つるつるとしていて大分取りにくくなっている紐を何とかほどく。そして葉の包みを開けると、薄く切られたパン数枚の上によく煮込まれた肉が乗せられていた。パンにもよくたれがしみている。


「お肉、大きい!」


「ど、どうやって食べればいいの?」


 そのいい香りと大きさに感動しつつも、どう食べたらいいのかわからなくてあわててしまう。そんな僕たちに二人は面白そうに笑っている。


「そのままかぶりついてください。

 肉はとても柔らかいので、すぐにかみ切れますよ」


 本当にいいのだろうか、と戸惑いながらもひとまず言われたとおりにしてみる。かぶりつくとすぐにたれの香ばしい味とか、肉のうまみとかいろいろなものが口の中に広がった。噛むたびにパンからかじゅわりとうまみが広がっていく。


「お、おいしい!」


 つい言葉に出すと、シントもこくこくとうなずいている。すっごくおいしいよね! 確かにこれは手を汚さずに食べるのは無理だね。この汁をちゃんと味わおうとすると、切り分けてとかはちょっと……。


 パクパクと食べきってしまう。結構なボリュームだったけれど、ぺろりと食べてしまった。


「こちらをどうぞ」


 食べ終わるとすぐに濡らしたタオルを渡してくれる。それで手や口をきれいにして一息ついた。ふう、満足。


「気に入っていただけたようで何よりです」


 なんだかとてもうれしそうな二人。なんでだろう。それにしても、結構濃いめの味付けだったからなんだか喉が渇いたな。


「アラン、これをどうぞ」


 差し出されたのは皮袋に入った飲み物。ありがたくいただくとよく冷えていた。それに何かすっとする?


「何か入れているの?」


「ミラの果汁を少し入れております。

 後味がすっきりするでしょう?」


「うん。

 おいしいね」


 こくこくと飲んでいると、シントももらったようだ。おいしい、と飲んでいる。準備がいいことで。



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