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 カーター代表の篤い労いを受けて、別室にて今後のスケジュールを詰めていく間に、メリルリンチの法人格販売パートナーとしての契約締結後、GEやGMを中心とした定額買取による株式集積によって将来的なリターンは数十倍になる可能性があると示唆した時のカーター代表の表情は見ものであった。一定以上の利益の集積は必ず掃き出すように株主からの圧力が掛かり、経営陣が押さえることが出来ない仕組みが資本主義なのだから。労働組合が株主利益と共に適正な労働者への利益還元しなければ、経営陣の瑕疵を株主総会で糾弾することで追い詰める材料とすることもあることが理解できれば、合理的な利益還元は経営陣も認めることになる。

 かくして話し合いによる冷静な賃上げや労働改善に繋がる。但し常勝を続けていれば必ず人間は驕る。それに対する策を予め施しておくことも必要なのは世の常の事である。規約の中にそっと忍び込ませておく事も了承して貰った。考え付く問題点に対する対策を相談した上で、今後の歩みを共にするという約束をして、今回のニューヨークに招待された目的を果たしたことにほっと胸をなで下ろしたのであった。

 雨はさっと降っただけでとてもニューヨークの街を冷やしたと言う感じも無く無情にも上がってしまった。

 夕方もミッドタウンは混雑していた。40分ほどかけて旧マーカンタイルビルからアンソニアホテルにビュイックが帰り着いて、ロビーに入るとそこにはメイベルと青木社長と奥さんであるマリア・青木・トーレスさんが待ち受けていた。

「大将!ご苦労様です。」と元気よくメイベルが挨拶してくる。

全く人の目を気にしない、天真爛漫さは計算されたものか、天然なのか?ただ今日は気持ち良く感じる。大きな仕事をこなしてきた緊張感からの解放が気持ちいい。

「今日はこの後ささやかながら我が家主催の食事会を立てて見ました。もっとも、場所はアッパー・ウェスト・サイドまたの名は「梅干し地区」と呼ばれている一角の懇意にしている食堂を借り受け、気楽にお過ごしいただけるようしています。

今日恐らく代表のされたことはAOCに取って未来を左右するほどの仕事であったと私は思っています。代表の様子から全て上手くいったものと察せられます。しばしの御寛ぎとAOCの代表社長である妻のマリアを紹介させて頂きます。」

青木社長の横に並んでいた、少し色の濃いラテン系である肌合いに目鼻のはっきりした黒髪の女性が手を差し伸べて、

「マリア・青木・トーレスです。代表であるMrシミズのご活躍は主人からも、娘からもたくさん聞かされていましたので、お目に掛かれることを本当に楽しみにしておりました。私はスペイン人の末裔で一族はこの国に長く暮らしてきました。立派な盾となってAOCを守っていきます。今後ともよろしくお願いします。」

とメイベルの母親のマリアさんから力強い発言があったので

「こちらこそ、マリアさんのおかげでアメリカで安心して事業を起こすことが出来ました。今ここで出発点以上の業績を上げていく事が出来ているのも、マリアさんと青木社長のおかげです。」

そういって差し出された手をしっかり握ったのであった。


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