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会議終了後、別室でいくつかの組合に集まってもらって、西海岸の組合事業の参加を要請することになった。驚くべきことは、過激である電気労連の副代表で会議には参加していなかった、ウィリアム・ジョンソン氏が参加していた事であった。
もともと知性穏健派として電気労連の過激な組合運動に冷静な経営側との対応を求めて来た同氏にとって、「タフトハーレー法」は組合が変化するための良きタイミングとして捉えていたが、タウンゼント・ドット代表は更に過激な手法を標榜して電気労連を駆り立てていることに危惧を覚え、組合の資金部を抑え経営側とも協議して第2組合を作ることを根回ししていたのだ。
その上で第2組合の実績を上げる為の取り組みとして、俺の構想した事業への参加を決めたのであった。ここにおいて俺の事業構想は想像していなかったほどの大成功を約束する一歩を踏み出すチャンスを捕まえることになったのだ。
「ここにいる皆さんには、現在西海岸のロサンゼルス地区で試験的に始める住宅事業と金融事業の手始めとしての我が自動車労連の金融部門に創設した新しい労働組合中枢金融機関が手掛ける年金や資産形成部門においてメリルリンチの中で証券業務を執り行える契約を先日私が交わしたことによって、格安の手数料にて株式取得が可能になったことを、ここに集まった有志に報告する。
これは、Mrシミズの提言に基づく新しい労働組合の力の源泉として大変重要な事だ。諸君はあの大恐慌の恐怖を皆身につまされる思いで感じていると思う。一夜で何千万ドルにも及ぶ有価証券が無価値同然になったことを。
現在もその幻影に怯えてほとんどのアメリカ国民は株式を取得することに及び腰になっている。一方でアメリカは全世界で唯一の先進工業国としてマーシャルプランのもとヨーロッパの再建だけでなく世界への製品輸出を長く続けていく地位に就いた。これはこの国の産業が未曽有の発展の礎を今まさに築き始めたことを意味する。
であるならば、組合員の将来的資産形成や経営側に対する圧力昂進を目指す我々組合に取って歴史的に最も有利な状況であることを断言できる。と、まぁMrシミズが明確に状況を分析して話してくれたことによって、ようやく私は渾身の勇気を持って突き進む決意をすることができた。Mrシミズはあのマックバーガー大将から神の目を持つ人間として恐れられている人間なのだ。その為マックバーガー大将から大尉待遇でこのアメリカに渡ることを許可された、稀有の人物であることを皆には伝える。但し、この話は皆の胸の中に仕舞っておいて欲しい。宝物を見せびらかせばいつ盗まれるか分からないからな。
これから始める組合事業によって、労働組合の存在意義が根本から変化していくことになる。それを皆と共に全ての労働組合員に分け与えていける社会に我々は努力しよう。是非とも新世紀の労働組合を皆で目指していく決断の一歩を踏み出して欲しい。」
とカーター代表にしては何とも熱いメッセージを集まった各労働組合代表に伝えたのだった。




