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受付カウンターで松川さんがコンシェルジュから明後日の8月15日の午前10時に迎えがあるとのことを聞いていていた為、本日8月14日は骨休み日となったのだが、松川さんは何故か知り合いと連絡を取って見るとのことで朝早くから出かけてしまった。
松川さんはこのニューヨークは初めてとのことだったが、外交官時代の人脈はこのアメリカにも広がっていたらしい。
とはいえ、ただ寝て過ごすのも余りにも勿体ないという貧乏性が出て、メイベルとニューヨーク見物することにした。もっとも見物途中でガーデナの庭師の加藤さんを訪ねる電車の中で出会ったリチャード・ゴールドバーグ君にも会う予定にはしているのだが。
メイベルはシンプルだがニューヨークで流行って来たAラインを意識したワンピースを着てアンソニアホテルのロビーに入って来た。
「ピュー!」とへたくそな口笛を鳴らしながらメイベルを歓迎すると、
「大将、似合わない事をやっている自覚はあるんでしょ?」と早速の突っ込み。関西でだいぶ仕込まれたらしい。
「今日はニューヨークを案内してもらうつもりだけど、随分おしゃれして来たンじゃない?」と聞くと、
「メイベルさんはこれでも結構モテるんだよ。身だしなみには気を使ってます。昨日大将が泡食っていた理由も分かっているンだからね。」とメイベル。
やばっ!体が意識してなくても?反応するのは若い男の生理的特権です。と主張するとお嬢に報告された場合生きた気がしない。
何とか有耶無耶にしよう。
「今日の案内は何処からになるンだろか?出来れば午前中に行きたいところもあるから、予定を聞きたいのだが?」
「最初はこのアンソニアホテルから近い五番街を見に行く予定です。ゆっくりとセントラルパークを横切って歩いていく事も出来ますし、目の前の72丁目の地下鉄に乗れば一駅で着けます。時間的には10分も掛からないかと。」
とメイベルは熟練した旅行案内人のように話していく。
「その五番街には何があるのかな?」
「現在アメリカの持つ最新の生活情報です。これらの情報から流行のトレンドを知りいち早く日本で生産できる商品を見つけ出すことを目的とします。」とメイベル。
「悪くない発想です。日本における総合技術力はアメリカに20年ほどの遅れがあります。並大抵の努力では追いつけない格差だと感じます。但し、いち早く身に着ける方法も無いではない。それが相手の製品に真似ようとする方法であり、技術力を飛躍させる為に相手の下請け企業として総合的な技術吸収を図っていく方針が必要となる。」と俺が戦略的企業の指針を語り始めたら、
「大将!今は頭と体を一休みさせる時間です。そう言った話は、パパや松川さんがいる時に話してください。今は、メイベル可愛いね!と言って腕を組んで、五番街のデパートの探検に向かうべき時なんです。」と発言するなり、腕を組んでアンソニアホテルの回転ドアからにこやかにドアボーイに挨拶して出て行くメイベルであった。
外は8月14日の今日も気温30度を超えて35度に届こうとする
猛暑がニューヨークを襲っている時期。早々に地下に潜って5セントで五番街に乗り込んだのであった。




