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「特に左派傾向の強い電気労連や鉄鋼労連の強硬派がかたくなに自身の主張を通そうと、ストライキ主導で全てを解決して行こうと思って、行動をすることでの成功の旨味を覚えてしまって、何も考えられなくなってしまっている現状を変えるために、自動車労連のカーター代表が、大将の考える新しい労働組合の手法で企業や政府に対する行動指針とすることを目指している現在です。」と松川さん。
「日本にいる時から大将はそんな事考えていたよね。ストライキでは何も解決できないって。ただし、労働組合の行動範囲に対する環境が整備されなければそこでしか勝負出来なかった時代もあった事と、共産主義の思想そのものの欠陥を理解せずに労働運動に取り入れてしまったところに誤った政治的意味合いが生じてしまったなんて難しい事を言っていたもンね。」
とメイベルが何となくディスっているのか?俺に意味ありげな視線を向けて来る。
「労働組合に必要なのは、暴力的組織行動によって企業から無理やり資金を出させて賃金や労働環境を改善させようとする力の論理ではなく、企業経営そのものを理解して内実を分かったうえで、企業労働者に対する賃金を含めた合理的費用割合を認めさせる総合力の養成が今最も資金的余裕が出来た状態ながら先行きが見えなくなっている労働組合の問題点です。その力を得るための方策を教える為とAOCの成長の一助としてニューヨークに来たのです。」と俺。
「うちのカミさん驚いていたンですよ!清水代表がアメリカに着いて、早々に『ジ・アンソニアホテル』に招待されるほどの人物だってね。メイベルから色々聞いていたはずなのに、それまでの感想は『ちょっとイタリア人ぽいっ!』てだけですから。」
青木社長があごを擦りながら、ディスってない?
「メイベルさんや、あなたは俺の事をどう家族に紹介していたのかな?」と俺。
「えっ!普通に『女の人なら誰でも優しくて、直ぐに惚れさせてしまう危険な男だよ!』って言っていただけだよ。変かな?」
と能天気に答えるメイベル。
「この時代の一般の男と女性に対する言葉遣いや、態度が優しいことは間違いない。でもそれは惚れさせるためでは無く、今までの時代が女性を蔑ろにしてきたことが問題だったから。力仕事は脳みそが筋肉で出来ているような男の分野かも知れないが、知的仕事ならば男を蹴散らしていける女性もいる。現に『お嬢』なんかは両方いけるからね。」と俺。
「こんなところでノロケないでね。ここは、私の『しま』なンだからね。」
とスキヤキコースで出される最後のシャーベットを食べながらメイベル。
その時、俺は久しぶりの漬物とお茶漬けを口の中にかきこみながら、行儀の悪い食べ方なンだろうなと思っていた。
お会計は想像通り、チップを入れると30ドル近くになっていた。なるほどダイナー10回分の料金くらいはかかったンだ。
タクシーを呼んで、「ジ・アンソニア」ホテルに一行は向かった。




