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 反則である!これは明らかに反則である!

身も心も疲れている時に、可愛くおしゃれしたメイベルがこの場所に迎えに来ているというのは、はっきり言って魅力度を50%以上割り増しするスチュエーションじゃないか!

図ったな!青木社長。後ろでにこにこしているな!ムムム・・・

という内心の葛藤を面に表さず、

「おお!久し振り。元気にしていたか?」と優等生の挨拶。

メイベル青木元少尉はにこやかに笑いながら、

「大将、長旅ご苦労様です。何やら色々アメリカに上陸して一月しか経たないのに随分と凄いご活躍ですね!私、目回っちゃったです。そうそう、後ろに控えているのが私の父でAOCの社長を務めさせていただいている青木幸一です。末永くよろしくお願いします。」

とメイベルが日本にいた時の相変わらず能天気な挨拶をしてくる。

まあ、どんな状態でも平常心が天然のメイベルらしくて心がほっこりする感じは悪くない。しかも、目を一杯に開けてパッチリ見せようとするあざとさが何となく笑えて来る。

 俺はメイベルの後ろに控えていた青木幸一社長に頭を下げて

「色々とAOCについては、お世話になっています。清水健吾と言います。こちらは、AOCの片腕になってもらうべく、日本より来ていただきました松川萬圃さんです。ただ今回はまだロサンゼルス支社の新事業の立ち上げ途上のため今しばらくは、俺と共にロサンゼルスで滞在する予定です。」と挨拶した。

「私の方こそ、弟が日本の代議士になれたことも、娘のメイベルが日本勤務の時に大変お世話になったことも、現在私の一族がアメリカで人がましく出来る事も全て大将のおかげです。ああ、すいません、メイベルがMrシミズのことを大将、大将と話すもので、ついつい私も清水代表を大将と呼んでしまう癖がついてしまったようで。」

と何度も頭を下げながら青木社長が話すため、

「いいですよ。会社の連中だけでなく、皆、俺の事を大将と呼んでますから。」と俺。

「初めまして、私は松川萬圃といいます。企業に勤めることは初めてで、素人ですのでよろしくご指導お願いいたします。」

と松川さんが青木社長に挨拶した。

「あれ!私が日本にいた時にはいなかった人だね。」

とメイベルが相変わらず発言。

「ああ、このアメリカ行きにどうしても付いてきてもらいたかった凄い人なんだよ。松川さんは。と言うか彼がいなければ俺はアメリカに行こうなどと言う気はまだ当分無かっただろうと思う位の人だ。」そう俺が告げると。

「お父さん、大変、大将がそこまで評価する人初めて見た。これは凄い事ですよ!」

とメイベルが青木社長の背中を叩いて興奮している。

青木社長も娘に背中を叩かれることが嬉しいのか、にこにこ顔である。全く仲の良い家族である。

 松川さんは日本ではまず見られない家族の有り様に感心している。

「ところで、今日宿泊するホテルは予約してあるのですか?」

と青木社長が尋ねてきたので、

「マンハッタンのアッパー・ウェスト・サイドにある「ジ・アンソニア」ホテルが自動車労連のカーター氏によって予約されていると聞いてます。」

と俺が言うと

「そりゃ凄い!」青木社長が驚いて、

「ニューヨークにあるホテルで五つ星と言われているホテルが『プラザ』『ウォルドルフ=アストリア』『リッツ・カールトン』の三つがありますが、いずれも白人優越主義で日系人は一切受け付けません。そのホテル程格式は高くないですが、『ジ・アンソニア』ホテルはストラヴィンスキーが暮らした有名なホテルです。」

と続けたのであった。


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