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二
「中継ぎ、とは、誰を」
達安が問うと、次郎兵衛は、静かに答えた。
「近衛家にございます」
「近衛家……確か、太閤殿下が関白になられた際、養子に入られた先の家柄」
「左様にございます。近衛前久様は、既に亡くなられておりますが、その御子・信尹様は、太閤殿下とも浅からぬ縁がございます。近衛家であれば、いずれ秀頼様に関白位をお返しいただく、という話も、通しやすいのではないかと」
次郎兵衛は、頭の中で、史実の知識をかき集めていた。近衛信尹という人物が、この後の時代でどのような動きを見せたか、記憶は断片的にしかない。だが、少なくとも、九条家に完全に位が固定されてしまうよりは、まだ交渉の余地があるように思われた。
「秀家様。これは、我らだけで動ける話ではございませぬ。大坂の淀の方様、そして秀頼様御自身の御名代として、朝廷への働きかけをしていただく必要がございます」
秀家は、しばし黙考した後、重々しく頷いた。
「分かった。すぐに大坂へ、使者を立てよう」




