第5話「群れの王」
あれから一週間。
俺の周囲には、常に魚がいるようになった。
俺が食べ物を見つける。
魚たちが集まる。
危険を察知すると、一斉に逃げる。
俺は魚群を連れて海底を移動するようになった。
「意外とこのスキルって有能なのか…?」
そして。
【Lv.10】
【HP:31】【攻撃力:9】【防御力:8】【魔力:2】
「……二桁」
ついにレベル10。
俺は少し期待した。
進化。
きっと進化できる。
だが。
【進化条件を満たしていません】
「……ん?」
何度見ても同じ。
「嘘だろぉ〜」
最後にもう一度見る
「嘘だよぉ〜」
ミナミコイワシ。
レベル10。
それでも進化できない。
「理由は…やっぱこれなのかぁ〜」
【進化条件:特定の上位種を捕食すること】
「……つまり」
俺は強い生物を食べなければならない。
魚群を見る。
数十匹の仲間たち。
「じゃあ探すか」
もっと強い獲物を。
その日。
俺たちは未知の海域へ向かった。
そこには巨大な珊瑚礁が広がっていた。
色とりどりの魚。
奇妙な植物。
そして。
巨大な蟹。
「……でか」
体長二メートル。
鋭いハサミ。
甲羅は岩のように硬い。
【種族:岩甲蟹】【Lv.18】
「…………名前からもう硬いな。」
勝てる気がしない。
だが。
進化するには必要だ。
俺は魚群に指示した。
「正面から行くな」
もちろん。
「ギョッ」
としか伝わらない。
それでも。
魚たちは動いた。
岩甲蟹の周囲を取り囲む。
俺は隙を狙う。
蟹がハサミを振るう。
魚群が逃げる。
そして。
俺が突っ込んだ。
電撃。
噛みつく。
「痛っっっ」
「歯がぁぁ〜〜」
顎が外れそうだった。
逃げる。
また電撃。
何度も繰り返した。
岩甲蟹の動きが止まった。
【捕食しました】
【《岩甲》を獲得】
【進化条件を一部達成】
俺は笑った。
「……あと少しだ」




