第4話「魚群」
「逃げろ!」
俺は反射的に叫んだ。
もちろん。
「ギョッ!」
としか聞こえない。
小魚たちは俺を無視して逃げていく。
その直後。
巨大な魚が現れた。
口を大きく開く。
魚群が飲み込まれていく。
「……!」
俺は岩陰へ逃げた。
怖い。
戦える相手じゃない。
でも。
一匹。
また一匹。
小魚が食われていく。
俺は歯を食いしばった。
「……助けたい」
そう思った。
人間だった頃なら。
何もできなかった。
だけど今は。
俺にも力がある。
俺は魚群の前へ出た。
そして。
「ギョオオオオオッ!」
微弱電撃を放った。
バチッ!
巨大魚が一瞬怯む。
その隙に魚群が逃げた。
俺も逃げる。
しかし巨大魚が追ってくる。
「やっぱ無理!」
海底を駆けるように泳ぐ。
その途中。
一匹の小魚が俺の横についた。
さらに一匹。
また一匹。
気づけば。
数十匹の小魚が俺についてきていた。
「……お前ら」
彼らは俺の後ろを泳いでいる。
まるで。
俺を先頭だと思っているようだった。
【称号を獲得しました】
【《魚群の先導者》】
【効果:同種族の生物があなたの行動に追従しやすくなる】
「…………」
俺は笑った。
「なんだよ、それ」
「意味ある…?」
「あっっやっべ」
巨大魚がすぐに迫ってくる。
俺(魚)たちは一斉に方向転換した。
岩場。
海藻。
狭い洞窟。
俺は地形を利用して逃げ続ける。
やがて巨大魚は追跡を諦めた。
魚群が俺の周囲に集まる。
「……生き残ったな」
初めて。
一人じゃなかった。
「くぅぅ〜」
「1人じゃないっていいねぇ〜」
やっぱりみんなでいる方が好きだな。
次回もぜひ読んでくださいね!




