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第32話 灯火の修行

お久しぶりです!色々あってこんな遅くなってしまいました。最後まで是非読んで行ってください!

 翌日。

 俺たちは昨日と同じ場所に集まっていた。

 海底に転がる巨大な岩。

 その周囲を覆う深い闇。

 そして、その中央で堂々と浮かぶアンコウ。

「さあ、始めようではないか!」

「朝から元気だな」

「当然だ!」

 アンコウは自信満々に提灯を掲げた。

「昨日までの我は、己の灯火を理解していなかった。だが、今の我は違う!」

「具体的には?」

「……」

「おい」

「細かいことは気にするな!」

 やっぱり何も考えていなかったらしい。

 俺はため息をついた。

「じゃあ昨日の続きだ。まずは俺だけを照らす」

「任せろ!」

 アンコウの提灯が光る。

 淡い光が俺の身体を照らした。

「もう少し弱く」

「了解!」

 光が弱くなる。

「今度は俺が動くぞ」

「来い!」

 俺は右へ泳ぐ。

 光が追ってくる。

 左へ。

 今度も追ってくる。

 少し下へ。

 光が下を照らす。

「いい感じだ」

「当然だ!」

 アンコウが得意げに胸を張る。

「では次は――」

「カジキ」

「グルル?」

「お前が泳いでみてくれ」

 カジキが頷くように身体を揺らした。

 そして、一気に泳ぎ出す。

 速い。

 さすがカジキだ。

 あっという間に俺たちから離れていく。

「アンコウ、追えるか?」

「無論!」

 光が動く。

 カジキを追う。

 しかし。

 カジキが速度を上げた瞬間、光が遅れた。

「グルル!?」

「アンコウ!」

「分かっている!」

 アンコウが必死に光を動かす。

 だが、速すぎる。

 カジキの姿が闇に消える。

「……!」

 アンコウが固まった。

「カジキ!」

 俺が叫ぶ。

 返事はない。

「グルル!」

 少し離れた場所から声がした。

 無事らしい。

 俺はほっと息を吐く。

「アンコウ。今のは失敗だ」

「……ああ」

 アンコウは珍しく反論しなかった。

「光を速く動かすことばかり考えていた」

「そうだな」

「カジキが速いことは、最初から分かっていたのに」

 アンコウは提灯を見る。

「我が光で、全てを追いかけようとしてしまった」

「なら、追わなければいい」

「何?」

「カジキを直接照らすんじゃなくて、進む方向を照らすんだ」

 オウムガイが触手を動かした。

「なるほど。対象を追跡するのではなく、対象が向かう先を照らすということですね」

「そういうこと」

 アンコウは考え込んだ。

「……我が全てをする必要はない」

「そうだ」

「我は仲間の代わりに泳ぐこともできぬ」

「ああ」

「敵を倒すこともできぬ」

「まあ、まだな」

「……そこは否定しろ!」

「事実だろ」

「ぐぬぬ……!」

 アンコウが悔しそうに唸る。

 それでも。

 しばらくすると、その目が変わった。

「ならば」

 アンコウはカジキのいる方向を見る。

「我は、道を示す」

 提灯が光った。

 今度の光は、カジキを直接照らさない。

 カジキが向かう先。

 その少し前を照らしている。

「グルル……」

 カジキが泳ぐ。

 光を目印にするように、そのまま前へ進んだ。

「成功だ」

「……!」

 アンコウが嬉しそうに笑った。

「我は、仲間を照らすのではない」

 小さな光が暗闇に浮かぶ。

「仲間が進む場所を照らすのだ」

「それが、お前の役割なのかもしれないな」

 俺がそう言うと、アンコウは少し照れたように顔を背けた。

「……ふん。当然だ」

「顔、嬉しそうだぞ」

「嬉しくなどない!」

「グルル」

「カジキまで!」

 いつもの騒がしさが戻る。

 だが、その時。

 オウムガイが突然動きを止めた。

「……皆さん」

「どうした?」

「前方に何かあります」

 俺たちは一斉に前を見る。

 遠くの暗闇。

 そこに、何かがいた。

 姿はほとんど見えない。

 だが、確かにいる。

「……動いています」

 オウムガイが呟く。

 アンコウの光が揺れた。

 その光に反応するように。

 暗闇の中の何かが、ゆっくりとこちらを向いた。

面白かったでしょうか?次回も是非読んでください!

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