第28話 狙われた灯り
その夜。
と言っても、深海には昼も夜もほとんど関係ない。
アンコウは一匹で少し離れた場所を泳いでいた。
光を点ける。
消す。
また点ける。
何度も繰り返している。
「何してるんだ?」
俺が聞く。
「試している」
「何を?」
「光の使い方だ」
アンコウは答えた。
「今まで俺は、光を使って獲物を誘っていた」
「うん」
「だが、それだけではないらしい」
アンコウが光を点ける。
小さな魚が近づく。
消す。
魚が離れる。
再び点ける。
魚がまた近づく。
「光があれば、相手はこちらを見る」
「そうだな」
「なら、その習性を利用できる」
アンコウの考えは単純だった。
だが、強い。
幻を見せるわけじゃない。
相手を操るわけでもない。
ただ相手が光を見るという性質を利用する。
そこに自分自身の動きを組み合わせる。
俺たちは再び狩りへ出た。
昨日より大きな敵が現れた。
「来るぞ」
カジキが構える。
俺も牙を剥く。
アンコウが前に出た。
光。
敵がこちらへ向かう。
消灯。
アンコウが移動する。
敵が見失う。
再点灯。
今度は別の場所。
敵が方向を変える。
カジキがその横を通り過ぎる。
敵がカジキを追う。
その瞬間。
アンコウが光を点けた。
敵の意識がそちらへ向く。
カジキが一気に距離を取る。
俺が敵の死角から飛び込んだ。
噛みつく。
敵が暴れる。
だが、アンコウの光がまた点く。
敵がそちらへ向く。
カジキの突進。
俺の追撃。
そして敵は沈んだ。
「……勝った」
俺が呟く。
アンコウは自分の身体を見る。
よく見ると、
光を発する器官が、以前よりわずかに大きくなっている。
「アンコウ」
「分かっている」
アンコウが言った。
「少しずつだが、変わっている」
まだ進化ではない。
けれど
進化へ向かっている。
そんな変化だった。
その横で。
カジキが泳ぎ出す。
まるで何かを思いついたように。
次回からアンコウ進化編が始まります!今現在考えている予定としては、結構シリーズが長くなる予定です!
楽しみにしていてください!




