↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/35

第21話 強者の条件

 新しく仲間になったカジキ。

 その存在によって、俺たちの戦力は大きく上がった。

 でも……問題も増えた。

「そっちは敵じゃない!」

 俺が叫ぶ。

 ギリギリでカジキが止まる。

「今のは危なかったぞ!」

 カジキは何も気にしていない。

「グルル」

「反省してる?」

 体を傾げる。

「してないな、これ」

 アンコウが横で笑っている。

「フッ……血気盛んな若魚よ」

「お前も魚だろ」

「我は堕天魚だ」

「はいはい」

 オウムガイが割って入る。

「カジキの扱いについて、一つ、提案があります」

「何?」

「単独で行動させないことです」

「それは分かってる」

「敵を発見すると、即座に突撃します」

「分かってる」

「味方の存在も考慮しません」

「それも分かってる」

「そして――」

「まだあるの?」

「勝てない相手にも突撃します」

 俺はカジキを見る。

「……」

 カジキは堂々としている。

「お前、自分より強い相手でも戦うのか?」

 頷く。

「怖くないの?」

 頷く。

「……馬鹿なの?」

 頷いた。

「そこは否定しろよ」

 だが。

 カジキの強さは本物だった。

 身体能力。

 速度。

 突進力。

 どれを取っても、今の俺たちの中ではトップクラスだ。

 ただし。

 制御できない。

 だから俺は考えた。

「だったら」

 俺はカジキを見る。

「俺と戦ってみるか?」

 カジキの目が輝いた。

「グルルル……!」

 嬉しそうだ。

 明らかに嬉しそうだ。

「ただし」

 俺は続ける。

「俺に勝てなかったら、俺の命令を聞け」

 カジキが止まる。

 そして――。

 頷いた。

 オウムガイが静かに言う。

「合理的ですね」

 アンコウは興奮している。

「盟友と狂戦士の決闘……!」

「この戦いは後世に――」

「お前、実況するなよ」

「なん…だと…?」

 俺とカジキは距離を取る。

 深海の海底。

 周囲には誰もいない。

 魚群も遠ざけた。

「……始めるぞ」

 カジキが構える。

 次の瞬間。

 消えた。

「速っ!」

 俺は反射的に身体を捻る。

 カジキが横を通過。

 すぐに反転。

 また来る。

 今度は真正面。

 俺は逃げる。

 だが、カジキは追ってくる。

「くそっ!」

 正面から受ければ負ける。

 だから、俺は考える。

 オウムガイの言葉を思い出す。

 ――直線的な攻撃しかできない。

 だったら。

 俺は海底へ向かって泳ぐ。

 カジキが追う。

 さらに深く。

 さらに深く。

 そして――。

 急停止。

 カジキも急停止しようとする。

 だが遅い。

 そのまま俺の横を通り過ぎる。

 俺は身体を反転。

 カジキの背後へ回り込む。

「ここだ!」

 攻撃。

 カジキが吹き飛ぶ。

 だが、すぐに戻ってくる。

「まだやるのかよ!」

 再び突撃。

 今度は俺も真正面から迎え撃つ。

 速度。

 タイミング。

 身体の角度。

 すべてを合わせる。

 そして――。

 真正面から攻撃を叩き込んだ。

 カジキの突進が止まる。

 俺も弾き飛ばされる。

 しばらく、二匹とも動かなかった。

「……」

「……」

 カジキが起き上がる。

 俺も起き上がる。

 そして、もう一度向き合う。

 カジキは俺を見る。

 やがて。

 頭を下げた。

「……終わりか?」

 頷く。

「俺の勝ち?」

 頷く。

 俺は大きく息を吐いた。

「……よかった」

 カジキが俺の横に来る。

「これからは、俺の命令を聞いてくれ」

 カジキが頷く。

「敵がいたら、勝手に突っ込むな」

 頷く。

「味方を攻撃するな」

 頷く。

「俺が『止まれ』って言ったら止まれ」

 少し間があった。

 そして――。

 頷いた。

「……本当に分かった?」

 頷く。

 俺は安心した。

 しかしその数秒後、遠くに何かが見えた。

 カジキがそちらを見る。

「おい」

 俺は嫌な予感がした。

「まさか――」

 カジキの身体が低くなる。

「待て」

 尾びれが動く。

「待てって」

 水流が変わる。

「カジキ」

 カジキが俺を見る。

 そして――。

「グルル!」

「お前、今の約束忘れたのか!?」

 カジキが飛び出した。

「止まれぇぇぇぇぇ!」

 海底に俺の叫び声が響き渡る。

 オウムガイが静かに呟いた。

「……先ほどの約束は、三十秒ほどしか持ちませんでしたね」

 アンコウが笑う。

「ククク……愉快な仲間が増えたな」

「笑ってないで止めてくれぇぇぇ!」

 こうして俺たちは。

 最強クラスの突撃力を持つ、最悪の問題児を仲間にしたのだった。

カジキ

分類: 海洋性・大型肉食魚

生息域: 外洋、比較的深い海域

特徴: 流線型の身体と槍のように伸びた吻を持つ高速遊泳型の捕食者。圧倒的な遊泳速度と突進力を武器とする。

能力・性質

《高速遊泳》:非常に高い遊泳速度を持つ。

《瞬発加速》:短時間で一気に加速し、獲物との距離を詰める。

《鋭槍》:鋭い吻によって獲物を貫く。

《突進》:高速で突進し、速度を乗せた強烈な一撃を放つ。

攻撃後はすぐに距離を取る、一撃離脱を得意とする。

総評: 防御力や持久力はそれほど高くないが、速度と瞬間的な攻撃力に優れた戦闘型の魚。

阿部が捕食した場合

カジキを捕食することで、主に速度・加速力・貫通力の性質を取り込む。

《高速遊泳》

阿部の遊泳速度が大幅に上昇する。

単純に最高速度が上がるだけでなく、水の抵抗を抑えて効率よく泳げるようになるため、長距離の移動にも役立つ。


《瞬発加速》

カジキの持つ爆発的な加速力を得る。

低速状態から一気に加速できるため、敵の攻撃を回避した直後の反撃や、不意打ちに適している。


また、阿部の捕食に必要な接近能力そのものが大きく向上する。


《鋭槍》

カジキの吻による貫通能力を取り込む。

必ずしも阿部の身体にカジキの吻が生えるわけではなく、身体の一部を利用した突進攻撃に、硬いものを貫く性質が加わる。


これにより、硬い鱗や甲殻を持つ相手にも有効な攻撃手段となる。


《突進》

高速で移動する力を、そのまま攻撃へ転換する能力。

《瞬発加速》と組み合わせることで、短距離を一瞬で詰め、速度を乗せた一撃を叩き込める。


さらに《硬殻》と組み合わせれば、


硬化 → 加速 → 突進 → 貫通


という戦法が可能になる。


これまでの阿部が得意としていた「接近して噛みつき、捕食する」という戦い方に、高速突進による先制攻撃という新たな選択肢が加わる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。