第2話「最初の獲物」
巨大魚が迫ってくる。
俺は海底を泳いだ。
いや、泳ぐというより逃げた。
「ギョギョギョギョギョッ!」
情けない声が出る。
後ろから巨大魚の口が迫ってくる。
さっきエビを食べたことで、俺はレベル2になった。
【種族:ミナミコイワシ】【Lv.2】【HP:5】【攻撃力:2】【防御力:2】【スキル:《硬殻》】
強くなった。
……ほんの少しだけ。
「これでどうしろってんだよ!」
巨大魚が尾を振る。
水流が発生した。
身体が吹き飛ばされる。
「うわっ!」
岩に叩きつけられた。
【HP:3/5】
「痛っ……!」
魚なのに痛い。
というか、普通に死ぬ。
巨大魚が再び迫ってくる。
俺は必死に周囲を見る。
逃げ道。
どこかに逃げ道はないのか。
すると、海底に細い穴を見つけた。
「これだ!」
俺は穴へ突っ込んだ。
巨大魚の頭が岩にぶつかる。
ゴンッ!
巨大魚が暴れる。
穴の中には入れないらしい。
「……助かった」
俺は息を整えた。
そして考える。
俺は弱い。
この世界では、本当に弱い。
なら。
「強くなるしかない」
穴の奥には、小さなエビや貝、虫のような生物が大量にいた。
俺は片っ端から食べた。
【捕食しました】
【経験値を獲得しました】
【《硬殻》の熟練度が上昇しました】
【Lv.2 → Lv.3】
【HP:5 → 8】
【防御力:2 → 3】
「……!」
成長している。
少しずつだ。
でも確実に。
俺は笑った。
「食えば強くなる」
なら、簡単だ。
この海にいる奴を――
全部食えばいい。
その瞬間。
穴の外から巨大魚の影が消えた。
「……?」
嫌な予感がした。
外へ出る。
巨大魚はいない。
だが、海底には大量の血が漂っていた。
「…………」
巨大魚よりさらに大きな何かが、そこを通ったのだ。
俺は震えた。
この世界の海は。
俺が思っていた以上に――
広くて、恐ろしい。
面白かったでしょうか?次回もみてください!




