Let's悪口バトル!
「差別です!なんでこの店は黒魔法の本がないんですか!?」
「ですから、うちでは置いてないんですよ……黒魔法の本は。」
シンシアが本屋の店員に食って掛かっている。
毎度思う事だけど、俺たちってつくづくカスハラ客の素質あるな。
「こんな店、二度ときませんから!」
「だから黒魔法専門の本屋はちゃんとあるんですって!」
「それなら場所を教えなさい!?」
「いえ場所までは……とにかく、黒魔法はうちでは扱ってないんです。」
「ふざけないで、差別よ差別!黒魔法差別よ!」
「シンシア。らちが明かないから黒魔法の本屋を探そう。」
「待って、この店を殺人未遂で訴えるわ……」
「シンシア。なんかイライラしてないか……?」
「してるわよ!」
「俺も一緒に本屋探すからさ。肉屋に魚は売ってないんだよ。」
「そんなの当たり前じゃない!」
「あー、じゃあ店員さん。僕らこの辺でおいとましますね……」
シンシアを引きずって店の外へ出た。
「はあ、想像以上に堪えるわね……」
「やっぱりあの手紙?」
「噂によると、ラリッタは黒魔法のエキスパートなのよ。」
「まあただのネクロマンサーじゃなさそうだな。」
「だから私の使える魔法だけで相手になるの?って話だし。」
「……歴が違うもんな。流石にそれは仕方なくないか?」
「正直言うと、怖い……謝ったら許してくれるかしら?」
「それで解決すれば軍隊は要らないんだよな……」
「そうね。」
「ナラザスの時はシンシアも戦ってくれただろ?」
「うん。」
「だから俺もしっかりフォローするからさ。」
「フォローってどうやって?」
「……その場その場で最適な行動を……」
「はー、それって白紙ってことよね?アテにしていいのかしら?」
「決意だけは負けない!」
「ま、ここに来ればわかりますよっと。」
俺たちは小さな本屋を見つけた
<黒魔法の本屋>
「あったわね……」
「あったな……」
それは特に苦もなく見つかった。
「お邪魔しまーす。」
本棚がいくつか並び、一番奥には店主とおぼしき黒い三角帽子の女の子。
「男連れたあ、いいご身分ですね……やる気がまるで感じられない……」
その女の子が苦言を呈す。
「あなたには関係ないじゃない!」
シンシアは反論する。
「くっくっく……」
「ノクタ、この子がひどいことを言うのよー!」
シンシアは半べそをかいている。
「うわーん!」
ついには泣き出してしまった。
「……呪言での挨拶もできないようじゃ、黒魔法使い失格です。」
「呪言での挨拶?」
ちょっと興味があったので聞いてみた。
「そうそう、黒魔法使い同士の挨拶。言うなれば悪口バトルです。」
「悪口……バトル。」
「黒魔法は全て呪言を基にしているんです。
だから優れた悪口は優秀な黒魔法使いの証なんですよ。」
「……黒魔法使いが嫌われてるのってそれが原因じゃないんですか?」
俺はついツッコんでしまった。
「……」
店主の女の子はしばらく黙る。
「いい呪言です。あなた方を客として認めます。」
「ほら、シンシア。泣くのはやめて本を探そう。」
「うん……ありがと。」
「黒魔法使いの呪言……悪口には、しっかり魔法が乗ってるんです。」
女の子店主は一冊の本を取り出した。
「だから呪言を使うのはもちろん、防御することも大事ですよ。」
本のタイトルは……"とんでもない馬鹿と上手に付き合う方法"とある。
「黒魔法をたしなむなら必携の本です。特別に差し上げますよ。」
「いいんですか?」
「これは商品じゃないので。私のおさがりで良ければ。」
「例えば……黒魔法使いと戦うなんて事があれば……」
「必ず役に立ちます。イキり散らした先輩はボコってやるといいです。」
「なんで相手が先輩ってわかるの。」
「だって挨拶すら知らないってヤバいですよ。私ですら先輩ですよ。」
本の裏には銀1と書かれていたので銀貨を1枚支払う。
「いやいいんですって、お金は!」
「情報に対する対価を支払ったまでです。」
「まあ商売人なら受け取りますがね?こんな初歩的な本……」
「まあタダでもらうって訳にもいかないんですよ。」
そう言いながらシンシアに受け取った本を渡す。
「あ、そうそう。」
「?」
店を出ようとしたところ女の子店主に呼び止められる。
「差別じゃないんですよ……区別なんです。」
「区別?」
「はい……全ての魔法は黒魔法から生まれたんですよ。」
「そうなんですか?」
「恨み、憎しみ、悲しみ、そして呪い。これこそが魔法なんです。」
店を出る頃には日も傾きかけていた。
「宿、どうしようか。あとメシ。」
「適当でいいわよ。最悪屋根があればいいから。」
「メシは?」
「……魚がいい。」
サバみたいな青魚を一緒に食べた。おいしかったです。
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今なら最古参を名乗れますよ!!!
ぼちぼちシンシアとラリッタの「ネクロマンサー同士の魔法戦」がはじまります。
外道には外法。黒魔法だいすき。




