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前任者ゼンニール

「はあ……そういうことを言う人って結構いるんですよね。」



冒険者ギルド、ハロークエストの受付に冷たくあしらわれる



「だってだって本当にナラザスを倒したんだもん!」



信じてもらえないので俺はゴネていた



「そうよ!ナラザスを倒したのよ私たちは!」



シンシアもゴネていた



「本当に倒したんです!信じてください!」


「見てました!死ぬところを!」


「これ、ナラザスの冒険者タグです!」


「……」(必死の表情)



「はあ、確かにこのタグはナラザスの物ですが……」



「だから倒したんです!」



「それでは死体は?」



「いやそれ残しちゃったらラリッタに使われちゃうじゃないですか!」


「ネクロマンサーが控えているので完全に消滅させました!」



「話になりません。」



くそ、ダメか……


ナラザスの手配書を見たがとてつもない賞金が懸けられていた


だからお金目的で倒したとウソをいう者が後を絶たないらしいぞ。



「それにつきましては、私が対応させていただきます。」



吹き抜けロビーの2階から聞き覚えのある声が。


ミルク=ラッテさんだ。カツカツと階段を下りてくる。



「あなた方が生きて帰ってきたことが証明になるかもしれません。」



そのあたりで、ハロークエストの扉が開く。


一人の男性が入ってきた。


受付の職員が大慌てで


「ゼンニール様!」


と大声を出す。



「ゼンニール様だ……」


「ゼンニール様が戻ってきた!」


「お久しぶりです!ゼンニール様!」



ハロークエストの職員がざわつく



「ゼンニール?って何者なんですか?」



俺は質問を投げる



「ゼンニール様は前任のギルドマスター秘書です!」



職員のはきはきした物言いから、前任者は人望が厚かったらしい。



「ゼンニール様が戻ってきたってことは……」


「終わりよ、ミルク=ラッテ(27)……!あんたの天下は……!」



なるほど、前任者がいなくなったから穴埋めで採用されてたのか。



「……」



ゼンニールさんは無言で階段を上がる。


ギルドマスターに用があるのか?何か様子がおかしい……


だって階段の上り方が慎重すぎるし。


まるでリモコンで操作されているみたいな階段の上がり方だ。



「では丸ごと6名、2階の応接室まで……」



いやなんか2階は危なさそうな気がする!よくわからないけど!



「酒場でご飯でも食べながらお話したいなあ、腹減ったし。」


「そうそう。私たち朝ごはんのあと何も食べてないんです!」



どうやらシンシアも何かを察知しているみたいだ。



「いやー、応接室か。興味ありますね。」


「冒険者はめったに入れないスゴイ部屋って聞いたことある。」


「調度品とか見たい。」


「……」(興味津々)



「……酒場に行きましょう。人数も多いことですし。」



ミルクさんとハロークエストから出ると……


2階のある部屋の窓が勢いよく開き、そこから一人の男性が降ってきた。


その同時



 ドグワアアアアアアアアア!!!!!!!



轟音(ごうおん)(ひび)



地面が揺れる。



耳の鼓膜(こまく)が悲鳴をあげる。



一体何が起こったんだ!?



地面の揺れが収まり、ハロークエストの建物を見ると……



強力な爆発物が作動したかのように、


建物の2階から火の手が上がり、


あちこちがひしゃげる壊滅的な状況になっていた。



降ってきた男性がミルクさんに近寄る



「君は無事か!?他の者は!?」



「私は無事です。ギルマスおじさんも無事で何よりです。」



ギルマスおじさん?変な呼び名だけどこの目の前の男性が……


ギルドマスターで間違いなさそうだ。貫禄(かんろく)あるし。


目つきの鋭さは歴戦の戦士を彷彿(ほうふつ)とさせる。判断も早い。



「一体何が起きたんです?」



ミルクさんは冷静だな。



「ゼンニールを爆弾にされた。おそらくネクロマンサーの仕業だ。」



死体爆破か……なんて非道な使い方をするもんだ


いやこれが正式な使い方なのかも知れないけど!



「……近くにラリッタがいるわ!」



口火を切ったのがシンシアだ



「確かに!これは逆にチャンスかも知れません!」


「探すんだ!草の根分けてでも!」



ミルクさんとギルドマスターも同調する



「どういうことですか!?」



俺は状況が飲みこめていない。



「死体爆破を行うには……対象の近くにいる必要があるの。」



なるほど、つまりラリッタは……



「ハロークエストの建物の裏に確実にいたハズよ!」



全員でハロークエストの裏に急ぐ。


……8人って結構多いな。



「やはり、逃げた後か……」


「逃げるには充分な時間がありました。」



「待って!あそこに……」



真新しい封筒?がタルの上に置いてあった。



「手紙ですね……」



ミルクさんは封筒を開けると、手紙が出てきた。



「ええと、コレ。シンシアちゃん宛てですね。」



「……差出人は?」



「不明です。」



ミルクさんはシンシアに手紙を渡す。



「ええと、新月の夜。最も(けが)れた場所で()いましょう。」



ラリッタからの手紙で間違いないだろうか?



「P.S.生意気な黒魔法使いの後輩は〆る。」



本音ダダ洩れじゃねえか!


どうやらラリッタからのメッセージで間違いなさそうだな。

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