vsナラザス③
「ノクタァ!よく来た、よく来たァ!」
気が付くと前に見た景色だ。確か……狭間と言ってたな。
目の前のしゃべる鳥の頭を指の腹で撫でる。
しゃべる鳥は満足そうだ。
あ、右腕。どうやらあるみたいだ。
「ようこそ、ここに来るのは何回目だい?」
空間の奥から声がして、声の主が近づいてくる。
「ええと、2回目だと思います。」
「よろしい。」
なんか黒いからという理由でこの人はブラックさんと呼んでる。
「手ごわい敵と戦ったようだね。」
「そ、そうなんです。負けてしまいました。ごめんなさい。」
「いやアレに勝てたらバケモノだからね?バケモノは帰って欲しい。」
「ブラックさんは観てたんですか?」
「うん。」
ブラックさんはお菓子を持っていて、はむはむと食べている。
しゃべる鳥にもそのお菓子を渡し、鳥はそれをついばむ。
「ああ、そうそう。このアップルパイ。大好物なんだ。」
そう言えば前回アレを持って来いって言われていたけど……
アップルパイを持って来いってことだったのか。
「今後もアップルパイを生贄に捧げてくれると助かる。」
「はあ……よくわかりませんが……」
「そうそう。アップルパイのお礼をしなきゃいけないんだよ。」
「お礼?」
「なにか、望みはあるかい?」
望み……望みか……
「特にないです。」
「いやそれはダメだ。これはルールだからね。」
「はあ……じゃあ俺たちが無事に帰れるように祈ってください。」
神様的な存在といってもあんまり無茶な要求するのも悪いしな。
これくらいの願いでいいだろう。
「了解。君たちが無事に帰れるように祝福を授ける。」
そして……空間が天井の方から崩れ始める。
「……じゃあまたいつか。」
「……はい。」
「あ、そうそう。」
「?」
「……まだ戦いは終わってない。」
その言葉と同時に空間は完全に崩壊。何かの流れの中に……
「"肉体修復"」
肉体修復を受けた体がみるみると再生していく……
失った腕すら生えてくるレベルの肉体修復だ。
「ありがとう。」
「どういたしま。」
何か夢?を見ていたような気がするけど、忘れた。
ナラザスの体が転がっている。
「そういえば、一体何が起こったん?」
「ノクタの食べられちゃった腕に、死体爆破を使ったわ。」
「死体……爆破。」
「どっかーんの魔法よ。」
「はは、そりゃ危険な魔法だな。」
まさか俺の体を触媒にする魔法があるとは……
どうりでシンシアが覚えたくないって言ってたわけだな!?
「覚えてなかったら危なかったな……」
「ホントよ!」
「じゃあ、帰ろうか。たったの4人だけどしっかり保護したし。」
「そうね、帰りましょう。」
ゆらり……
異形の気配がする。
恐る恐るナラザスがいた方を見ると……
なんとナラザスが起き上がっていた!
「るああああ……」
「シンシア。」
「るああああ……」
「ノクタ。」
「るああああ……」
「逃げるぞ!」
「逃げるわよ!」
「うるああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「バケモノ!バケモノよ!」
「一体どうなって!?」
「いくつかの臓器を破壊したはずよ!」
「まだ動いてるんだが!?」
「気合とか根性で動いてるのよ!」
「ウソだろお!?」
T字路に差し掛かる。右か!?左か!?
なんとなく右がいいような気がする!
「うるああああああああああああああああああああ!!!!!!」
ナラザスはT字路の壁に激突した!
そしてきょろきょろと見回して……
あ、やばい。目が合った。
「うるああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「ですよねー!!!」
「壁にぶつかるってことは、見えてないか、わかってないわね!」
「思いっきり目が合ったんだが!?」
「気配はわかるみたいだけど、壁とか地形は見えてないってこと!」
「じゃあまっすぐ逃げなければ振り切れるか!」
「そうね!まっすぐ逃げるのはダメね!」
俺たちはダンジョン内をジグザグに走り回った。
「階段!階段よ!」
「よしきた!」
ドガン!
バラバラバラバラ!
ナラザスは体当たりでダンジョンの壁を破壊した。
「そういうショートカットはずるいって!」
「とにかく上るわよ!」
俺たちは慌てながら地下4階への階段を上る。
「シンシア!まだ走れるか!?」
「ぜんぜんへーき!自分の体力の心配なさい!」
「アンデッドは疲れを感じないんだよ!」
「あ!そうだったわね!」
「いざとなったらお姫様抱っこで運ぶからな!?」
「あ~もう疲れちゃった~走れない~歩きもできない~」
「ただしお姫様抱っこをすると、速度は半分以下になるものとする!」
「元気満タンよ!かかってらっしゃい!」
「うるああああああああああああああああああああ!!!!!!」
まだ追ってくるか!しつこい野郎は嫌われるぞ!?




