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夜風の誓い

「装備も整えたし、情報も手に入れた。準備万端!」


俺たちの行動は……



1.近郊ダンジョンに向かう



よし、今から乗り込むぞ。



「待ちなさい。」



シンシア?



「ノクタ……まさかこのままダンジョンに行こうとしてないわよね?」


「ダメなの!?」


「はあ……私の準備がまだなの。」



シンシアはカバンから一冊の本を取り出す



「グリモワール。魔法理論を詰めた、人類のレガシーよ。」



いや、その本薄いな!?しかもデカいし。


前のアンデッド(あんでっど)とともだちになろうと同じ薄さとサイズだ!


こういう本って何て言うんだっけ……確か、同人誌?そう呼ばれてたか。


あんまり詳しくないんだけど。



「このページ数だと……流石に一晩かかっちゃうかもだから。」


「つまり、宿で一泊が正解と。」


「そういうことね。」



冒険者たち、すまん。間に合わないかもしれん。


俺たちは宿をとった。いつも通り二部屋。



「とはいってもな……」



時刻は昼過ぎ。部屋にいても、やることナシ。


よし、こういうときは軽く昼寝をキメよう。



「完全に裏目った……」



目が覚めたら、とっぷり夜だった。


今から寝ようにも……眠気は完全に吹っ飛んでる。完全に裏目だ。


シンシア……今寝てんのかな?それとも勉強中?


シンシアの顔を思い出す。



「めっちゃかわいい……」



そう、シンシアはかわいいんだ。同時に今までの言動を思い出す。



「めっちゃ頭おかしい……」



そう、シンシアは頭がおかしいんだ。


いや俺がおかしいのか?この世界の一般人の基準がわからん!


そんなかんじで頭の中がシンシアまみれになったあたりで



 コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン



……部屋の扉を連打する音。


もうそれだけで来訪者がシンシアってわかるな。


だってあいつ頭おかしいし。それ含めて好きだよ、本気で。



 ガチャ



「ノクタ!」



あーやっぱりシンシアだったわ。



「あの、えっと、う~……」



なんかもじもじしてる。もじもじシンシアは初めて見るな。



「夜風、浴びに行かない?」



よっしゃ、夜の散歩イベントだ!






「ノクタは眠くない?」


「実は昼寝でぐっすり眠っちゃってさ。」


「だから夕ごはんの時に無反応だったのね。」


「ああごめん。その時間なら完全に寝てた。」


「寝ることはいいことよ。疲れてる?」


「いや全然。」


「……そ。」



俺たちは街の貯水塔に忍び込み、適当な場所に座りしゃべりあっていた。


なんの変哲もない、いつも通りのたわいもない会話だ。



「ねえ、私たち、5年後に結婚するでしょ?」



……いきなりぶっこんできたな!?



「私はノクタが好き。……でもノクタは?」


「……?」


「ノクタから、そういうの聞いたことないから。」


「……俺はシンシアのこと好きだよ。」


「私のどんなところが?」


「ハチャメチャなところ。」


「顔とかスタイルは?」


「顔もスタイルも好きだよ……」


「……そ。」



また沈黙が流れる。



「ねえ、実はグリモワールの話になるんだけど……」


「うん。」


「想像以上に危険な魔法だった。」


「どっかーん!だもんな。」


「ねえノクタ。私、あの魔法覚えたくない。」


「いきなりどうしたの?」


「危険だから。」


「……シンシア。」


「……ん?」


「どんな魔法でも、シンシアなら絶対悪用しないって信じるよ。」


「……ノクタ、やめてよまた好きになっちゃう……」


「……。」



俺はそばの小石を下手投げでパイプに放る。


貯水塔のパイプから渇いた音が鳴る、同時にシンシアが立ち上がる。



「そんなに言うならやりますか!どっかーん!どっかーんよ!」



シンシアが完全にいつもの調子に戻った。


元気を出してくれて何よりです。やっぱりシンシアはこうでなきゃ。



「どれくらいで習得できそう?」


「理論はわかったから、あと3時間あれば!」


「それ終わったら寝るんだよ?」


「わーかってるって、わかってるって。」



シンシアはぴょんと下のパイプに飛び降りる。



「悪用はしません!」



こぶしを俺の方に向けた。俺もコブシをシンシアに向ける。



「じゃあ、部屋に戻るね!ノクタはどうする?」


「俺も部屋に戻るよ。」



眠れないと思うけど、ま、いっか。


俺もシンシアも元気だし、それに越したこと……ないな。

今日中にもう一話出します

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