有事に派遣される部隊
「ええと、近郊のダンジョンに取り残された冒険者の保護。」
クエスト用紙にはそう書いてあった。
俺たちのとる行動は……
1.近郊ダンジョンに向かう
2.街で準備や情報収集をする
何が待ち受けてるかわからないけど、ダンジョンに向かおうか……
「待ちなさい。」
シンシア?
「ノクタ、まさかこのままダンジョンに行こうとしてないわよね?」
「いや今すぐって言われたじゃん?」
「そのまま額面通りに受け取ってどうするの!?」
「いやだって冒険者の保護だろ?急がないとヤバくね?」
「大丈夫よ、相手もプロなんだから。」
「そういうもんか……?」
「むしろ今の私たちが行ったら、確実に足手まといだから。」
「確かに。装備を整えたり、情報収集したり。準備は必要か。」
「わかればよろしい。まずは装備ね。」
「お金はあるん?」
「ミルクさんから前金をいっぱいもらってるわ。」
「うわ、すごい金額!」
「冒険者の街ですもの!きっといい武器があるわ!」
俺たちはとりあえず武器屋に向かった。
「いらっしゃい!」
「武器くださいなー。」
「タダじゃやらねえよ!金払え!」
「そういう意味で言ったんじゃないもん!」
武器がいっぱい置いてある。
「じゃあこのブロードソードを頂きます。」
「タダじゃやらねえよ!金払え!」
「いやそういう意味で言ったわけじゃ……おいくら?」
「銀貨10枚。」
「あー!術士の杖の最新モデル、ヌマハンタ56号だ!」
「タダじゃやらねえよ!金払え!」
「お金は払うって何度も言ってるじゃないですか!」
「銀貨10枚。」
店主のセリフ、さっきから3種類しかないぞ……?
まあ通じてるし、いっか。
ブロードソードと術士の杖、ヌマ……ハンタ?を購入した。
「このヌマハンタはね、どっちかというと殴り性能が高いのよ!」
「そうなんだ。」
「フライフィッツ社のヌマハンタシリーズの……最新モデル!」
「すごいね。」
「ヌマハンタ56号……軽さと頑丈さ、殴ったときのダメージが……」
「いいじゃん。」
「製作者であるヌマハンタ=フライフィッツの意匠がほらここにも……」
シンシアの杖の説明が長い……俺は相槌マシーンと化していた。
しかし……この街。静かすぎないか。
「戒厳令が敷かれてるだけあって、通りに人が少ない。」
「やっぱり戒厳令の影響?この街には初めて来たから。」
「普段はどうなんだろうな?」
俺たちはとりあえず近くのパン屋に入った。
「いらっしゃいませ!美味しいパンはいかがですか?」
「あの、この街っていつもこんな感じなんですか?」
「いらっしゃいませ!美味しいパンはいかがですか?」
さっきも思ったけどNPCかよ!
「自由に喋っていいんですよ?では質問しますね。」
「質問いらっしゃいませ!回答者は私でいかがですか?」
お、セリフがちょっと変わった……なんか変だけど。
「この街、いつも通りですか?」
「もっと人がいらっしゃいます!私の状況説明はいかがでしたか?」
テンプレは崩さないのか……普段どんな会話してるんだろう……
「じゃあこのおやつパンください!」
「銅貨1枚です。」
「ノクタ、さっきも思ったけどこの街の店の人、変じゃない?」
「俺もそう思ってる。変だよな。」
「まあ私としては、武器が本物でパンが美味しければいいんだけど。」
「ちょっと無味乾燥だよな。」
「そういう、マニュアル?みたいなのあるのかしらね?」
「その通りです。」
パン屋さんが普通にしゃべった。
「冒険者さまの中には、悪質な言動や態度をとる方が多くって……」
……冒険者、最低だな!まあ荒くれもののイメージあるしな。
「なるほど、それで最低限のやり取りで済ますようにしていると。」
「はい。……あなた方は恐らく大丈夫だと思ったので。」
「……ありがとうございます。今この街が静かなのって……」
「はい。戒厳令が敷かれた以降、お客様が激減しました。」
「ウワサのレベルでいいですが、何か動きはありましたか?」
「はい……聖律十字軍がこの街に派遣されるそうです。」
「ウソ……聖律十字軍が……?そのレベルなんですか……?」
「シンシア、知ってるのか?」
「ノクタ、忘れたの!?この国最大規模の軍隊よ。」
「それを派遣するレベルの危機って事!?大袈裟じゃない?」
「よくわからないけど……もぐもぐ。おいしい!」
シンシアは買ったパンを食べ始めた。
「……どれくらい強いの?」
「誰も近寄れないわ。もぐもぐ。」
よくわからないが……とても強い軍隊が派遣されたことがわかった。
まあ軍隊でかかれば血だまり☆えぼりゅーしょんもイチコロだろ。
「その聖律十字軍はいつ来るんですか?」
「地理的に……かなり時間はかかると思います。」
「ノクタ、普通に進軍したら、三か月はかかると思うわ。もぐもぐ。」
「遠いな!?」
アテにしない方が良さそうだ。
何故ならこの軍隊はなんか負けそうな気がするから。




