その62
ブラック企業とか新しい職場とか色々忙しかったので本当にお久しぶりです。
これで大丈夫でしょ。シュティレは息を吐き出し、向き直った。
「俺と来て。まずは隠れ家に、あんたとあんたの奥さんたちを連れてくから」
「……どこで、シュメルのことを?」
「来たら教えてあげる。ほら、早く行こう」
カーテンを少し開け、窓の外を確認する。人通りが少なく、それが逆に恐ろしい。
「……あの人は言葉足らずだけどさ、あんたのこと好きなのは間違いないよ」
「……子供の頃は仲が良かったんだ。マイとも、一緒に遊んでいた。でも結婚式を挙げたあの日から、拒絶されるようになったんだ」
頭を抱え、壁にもたれかかるウィンチェスター。この人のこんな弱い所見たことない、てかあんたも言葉足らずじゃん。シュティレはため息を吐いた。
「……これは俺の勝手な憶測だけどさ。グレーゼさん、多分あんたのこと好きだったんだと思うよ」
ウィンチェスターが顔を上げた。その顔には驚きと、困惑が浮かんでいる。
「シュメルが、私を?」
そんな気もはなからない相手に思われていたこと、聞かされ理解した瞬間は動揺で受け入れられないだろう。
「そう。まあでも、あくまで俺の推測だから、話半分でいてほしいけど」
装填数を確認し、ウィンチェスターの腕を引いて店を出る。
「俺は奥さんたちのところに行く。あんたは先に行ってて」
場所を教え、ウィンチェスターと別れた。シュメルはウィンチェスターの妻子がいる家へと向かった。




