喫茶店でのある1日part14
『貴方はまだ何かあるの、残っているということは何かしらあるということではないのかしら?』
その言葉はまだ店内に残っていた少年に向けられていた。白夜は宣言するなり、店員である初瀬に許可を貰うことなく、奥の部屋に入っていった。そして、しばらく静まり返った店内でのことだった。
少年は少し驚いた顔をしていたがすぐに我に返り、先程白夜に告げたことを言う。
「お前が何者か調べるためにここに置かしてくれないか?」
それは初瀬が人間ではないと確信した声音で、隠している訳ではない。だが初瀬からすれば驚くべき事柄だった。その提案は初瀬にとっては考えさせられる事柄であり、答えを言うまでに時間があった。
「あら、困ったことを提案されたわね。何者か調べる……か。白夜、これが原因じゃないの。急に来たからどうしたのかと思いきや……」
初瀬はぼやきつつ考える。それは少年に対して何を求めるのか、リスク等を天秤にかけている様子で、少年のことを見る。少年は無言で初瀬から目を離さずにいる。
『理由を教えて貰えるかしら、流石にそれくらいはあるはずよ』
「偶然で済ませてはいけないと思ってしまったからだ。ついでで関わるのに最も良さそうな理由がお前が何者かだったんだ」
『あら、それを言って良かったのかしら』
初瀬の質問に対して、当然の様に少年は後付けであると言う。口元に手を当てているがその目は興味を含んだ色をして初瀬は話の続きを求める。
「自分の属性を否定する必要があるとは思ってなくてな」
少年が言うその言葉だけは今までと同一人物とは思えない様な自信に満ちていた。その言葉に初瀬が何を思ったのか、すっと瞳に浮かんでいた感情が消え去る。
「属性ね。あれ、面白いのだけれど不確定要素が多いから遊ぶには困る領域なのよねえ」
『その理由だとするなら、まあいいわ。条件として今回の属性が革命の者、この人物を殺害してもらうわ。あと平常時にこの喫茶店の手伝いをしてもらうということで、どうかしら?』
口では別のことを言っているが、信託を利用した言葉では少年の提案に条件を出している。瞳に感情は映っていなくてどこか不穏な雰囲気を纏っているが、信託を介した言葉の雰囲気は明るい。そのアンバランスな表情を浮かべた提案は少年を困惑させる。
「はっ? ………………その条件を飲めばいいのか?」
『ええ。やってくれるなら置いてあげるわ』
少年は一時の感情と言っていいのか分からない様な思いに突き動かされ、頷く。
「やらせてくれ。革命だとするなら取れる手段を思いついてる。あとは運次第でしかない」
『あのもう一人の男は私が受け持ってあげるわ。一度殺されたのだもの、仕返し程度はしておかないといけないじゃない』




