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星を運ぶ郵便屋  作者: 2番目のインク


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第2話 病気の母 ②優しい嘘

赤い車が空から走ってきた。


「幻想的…」


地は、静かな花畑だった。


風もなく花は、揺れていた。


ミユの思いが導いた場所であり、そこに女性が一人立ち、車を見上げていた。


「いらっしゃい。待ってたわ」


母は言ってから、ふっと笑った。


「……違うわね」


小さく首を振る。


「こんな所で娘を待ってちゃいけない」


そして少しだけ目を伏せた。


「ダメな母親ね」


それでも。


「会えると思うと、嬉しくて」


穏やかな笑み。


「あれ……?」


ルナが首を傾げる。


「どうしました?」


「いえ……なんだか」


それはミユが記憶の奥に大切にしまっていた安心そのものだった。


手の中の星が、そっと受け取られる。


母はそれを胸に抱き、目を閉じた。


そして。


「ちゃんと持ってきてくれたのね」


ゆっくりと歩き出すその姿を、ルナが見つめる。


「……元気そう、ですね」


だがメルトは答えない。


ただ視線だけを動かしていた。


やがて、静かに言う。


「差し出がましいですが」


母の足が止まる。


「なにかしら」


「その笑顔は」


メルトは少しだけ目を細めた。


「娘さんのための笑顔ですね」


母は困ったように微笑んだ。


「あら……やっぱり、分かってしまうのね」


視線が遠くへ落ちる。


母は少しだけ眉を下げた。


「困ったわね」


「最後まで、平気なふりをしていたかったのだけれど」


「この姿はねあの子が覚えている私なの」


「怖くならないように」


「泣かないで済むように」


「そういう形で、ここにいるの」


花が、風に撫でられたように一斉に揺れた。


「もうすぐ彼女がここにくるわ」


母は小さく息を吐いた。


「後悔ってね」


母は星を胸に抱く。


「言葉にしなくても分かるの」


「だって私は、あの子の母親だから」


ユミはそう言って微笑んだ。

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