第3話 兄を待つ弟 ②手掛かり
配達先はすぐに見つかった。
あまりにもすぐだった。
ルナが首を傾げる。
「近かったんですね」
「ええ」
メルトは頷く。
「強い想いは見つけやすいんです」
そこは夕暮れの河川敷の星だった。
少年が一人、土手に腰掛けている。
年齢は十六歳ほど。
制服姿のまま空を見ていた。
「タクミさんですね」
少年は振り返る。
「あれ?」
そしてメルトの持つ星を見る。
「もしかして、ユウジ?」
「はい」
その瞬間だった。
タクミの顔がぱっと明るくなる。
「ユウジは元気か?」
「ちゃんと飯食ってるか?」
「泣いてないか?」
「母さん仕事で帰り遅いだろ?」
「一人で大丈夫なのか?」
言葉が止まらない。
ルナは少し驚いた。
自分のことを一度も聞かない。
死んだことも。
ここがどこなのかも。
何ひとつ。
ただ弟のことばかり。
タクミは苦笑した。
「あいつ、俺がいないと駄目なんだよ」
そう言いながら、
誰よりも心配そうな顔をしていた。
「宿題も忘れるし」
「朝も起きないし」
「牛乳の賞味期限も見ないし」
小さく笑う。
けれどその笑顔はすぐに崩れた。
「……大丈夫かな」
夕焼けの空を見上げる。
「怖かっただろうな」
ぽつりと漏れた声。
「俺も怖かったから」
初めて。
弟ではなく自分の話をした。
「だからさ」
タクミは星を見つめる。
「ちゃんと泣けてるならいいんだ」
「我慢してなきゃいい」
「それだけでいい」




