守備シャッフル
高校野球の地方大会、その試合中の出来事だ。
片方のチームの監督は、名将との呼び声が高い。これまでに幾度となく、戦力の劣るチームで格上相手に勝ってきた。予想もしない作戦によって。
あとで種明かしをされれば、「なるほど」となることが多い。だが、その試合を現地で見ていても、監督の真意に気づくのは難しかった。さすが名将である。
そんな監督が、この試合でも動いたのだ。
場内アナウンスが流れる。守備の交代だ。
ライトを守っていた選手をレフトに(ライト→レフト)。
レフトを守っていた選手をライトに(レフト→ライト)。
さらに次の打者でも、守備の交代を行った。
またもや場内アナウンスが流れる。
レフトを守っていた選手をライトに(レフト→ライト)。
ライトを守っていた選手をレフトに(ライト→レフト)。
二人の選手を元の守備位置に戻しただけ。
これにどんな意図があるのだろうか。首を傾げる観客たち。名将の狙いがわからない。
が、何か意味があるのだろう。なにせ、この監督は名将なのだ。
謎に思える行動をすることで、相手チームの動揺を誘っているとか?
さらに同様のことが続く。
またしても守備の変更だ。相手打者が変わるたびに、守備を細かく入れ替えている。
それを知らせるアナウンスが、球場内に流れた。
この時、監督はベンチでにやにやしていた。
実は、こんなことを考えていた。
(今日の場内アナウンス、かわいい声だな♪ 俺の好み♪)
この声をもっともっと聞きたいので、
(今日は積極的に、守備の変更を行っちゃうぞ♪)
これも監督の特権である。
次回は「オーストラリア」のお話です。




