告白と計画
第12話
「す、す、凄いじゃないか!!!」
「えっ・・?」
「凄すぎるよ!!!有栖さんって、こんなに凄い人だったの!?」
「え、あの、えっと・・」
「正直、ものすごく驚いて、今でもまだ頭がついてきてないけど、本当はすごい人だったんだね!!もしかして筋肉痛ってのは嘘で、凄まじいトレーニングをしてたとか!?そりゃそれだけのプレーが出来ちゃうんだから、実は強化選手とかに選ばれてたり!?いや、これだけずば抜けてたらもっとそれ以上・・」
「あ、あの・・!」
「あ・・、ごめん、一人で興奮しちゃった・・」
「あの・・・東雲君に見て欲しいのがあるの」
「僕に、見て欲しいもの・・?」
有栖が着ていたジャージを脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっ、有栖さん・・!」
いきなり目の前で服を脱がれ、慌てる東雲にはお構いなしに上下ともジャージを脱ぎ、ユニフォーム姿になった。
「え、それは・・?どこかのチームのユニフォーム?やっぱりどこかのチームに入ってるん・・」
「私・・!」
東雲の話を遮るように、大きな声を出した。
「ごめんなさい・・」
「え、どうして謝るの?僕なんかを練習相手にしちゃったことなら全然・・」
「そうじゃないの!私・・運動神経全然良くない・・」
「え、でも、今凄いプレーしてたよ!」
「信じてもらえないかもしれないけど、このユニフォームを着ると、人が変わったように体が勝手に動くの・・。さっきのも、これのおかげで・・」
「ユニフォーム・・勝手に・・?」
「信じられないよね・・。私もなんでかわからないの。このユニフォームの場合、リストバンドをつけると完成で、外すと元に戻るみたいで・・」
「え、えっと・・。まだ状況を飲み込めてないけど、それを着ると今みたいになるの・・?」
「うん・・」
「それを着なかったら、普通の運動神経に戻るの・・?」
「うん・・。普通っていうか、全然良くない方に戻っちゃう・・」
「えっと、つまり、最初の空振りしてたのが本当の有栖さんで、後のがそのユニフォームの力ってこと・・」
「うん・・・」
「で、でも、それでも凄いじゃないか!!!」
「え・・?」
「理由はどうでも、あんな凄いプレーできるなんて、凄すぎだよ!!」
「東雲君は、驚かないの・・?」
「驚いたよ!!そりゃ驚いたけど、それよりも凄いってことの方が勝ってるよ!!」
「ほ、本当に・・?」
「本当さ!テレビでオリンピックを見るより、遙かに興奮したよ!」
「あ、ありがとう・・」
「このユニフォーム、どうしたの!?まさか、自分で作ったとか?」
「う、ううん」
「どこかに売ってるの?でもこんなに凄いもの、聞いたこと無いなぁ!」
「そこの研修室で見つけたの・・」
「え、研究室で?」
「うん。たぶん、お父さんとお母さんが作ったんだと思う・・」
「お父さんとお母さんが!?すごいね!有栖さんのお父さんとお母さんって凄い人なんだ!!」
「うん。でもよくわからないの。箱に私宛てのメッセージと一緒に入ってて、それで着てみたら体が勝手に動いて・・」
「有栖さん宛てのメッセージと?それだったらお父さんとお母さんが作ったのに間違いないよ!二人とも研究者なんだもんね!あ、もしかして他にもあったとか・・?」
「うん。掃除用のエプロンとかがあって、それを着たら同じように体が勝手に動いた」
「そうなんだ!あ、筋肉痛って、もしかして・・」
「そう、今までしたことないくらい激しく動いたせいで、筋肉痛になっちゃったの・・」
「そういうことかぁ!ようやく納得したよ・・!
「だから、皆に本当のこと言えなくて・・。信じてもらえないだろうし、気味悪がられるんじゃないかって思って・・」
「そうだったんだ・・。でも、話してくれてありがとう!すごく勇気がいることだったと思う。それなのに、話してくれてありがとう」
「う、ううん、私の方こそ、受け入れてくれてありがとう・・。嫌われるんじゃないかって思って、すごく不安だった・・」
「嫌いになんかならないよ!そんな心配してたんだ!でも、みんなの前でいきなり今みたいなプレー見せたら、大騒ぎになるかもね」
「え、や、やっぱり・・!?」
「いや、悪い意味じゃ無くて!いろんな部活から誘いが来て大変って意味!有栖さんがいたら、全国も夢じゃない!って感じで」
「え、そんな・・」
「いや、そのくらい凄かったよ!でも、なんで僕に打ち明けてくれたの?」
「それは・・。なんで・・かな、初めは、これはもう着ないようにしようって思ったんだけど、少しでも運動できるようになりたいって気持ちが強くて、そうしたら東雲君には、ちゃんと全部話そうって思ったの」
「そう・・なんだ。ありがとう。うん、有栖さんなら、きっと大丈夫だよ!」
「ありがとう・・。でも、やっぱり学校でこれ着たらまずいかな?」
「えっ!?着ちゃうの!?」
「うん、ダメ・・かな?」
「でも、それ着たら授業で浮いちゃうよね・・」
「そうだよね・・」
「何かいい方法ないかなぁ・・」
「東雲君、私、出来るかわからないけど、試してみたいことがあるの」
「試してみたいこと?」
「うん。実は・・・」
有栖は、試してみたいという考えを東雲へ伝えた。
有栖が考えているのは、次の3つのことだった。
1.ユニフォームの小型化
2.パワーセーブ
3.空間モニターによる仮想試合
目立つユニフォームではなく、もっと目立たない物に変え、動きを抑えてコントロールできるようにしようという考えらしい。
東雲は、1と2を聞いた時には、言っていることを理解できたが、3つ目を聞いた時には何を言っているのかよくわからない様子だった。
つまりこういうことだ。
何らかの方法で空間上に映像を映し出し、本当の試合をしているような感覚で練習をしよう、というのだ。
テレビやスクリーンのような物理的なモニターを用意するのではなく、あくまで何も無いところに映像を映し出す、なんとも未来感があり、夢のある考えだ。
「そういうのできるといいよね!できたらまるでドラ○もんの世界だなぁ!」
東雲は、目をキラキラと輝かせた。
「できたらすごいけど、でもそんなことできる人いるのかなぁ。」
「わ、私が・・・」
「え?」
「私が、やりま・・」
「・・・え?」
「できるかわかんないけど、私がやります」
「えっ、ちょっ、有栖さんが?できるかわかんないって、有栖さんがやるの?」
「うん・・。ちょっと思いつきだから、出来るかわかんないんだけど、やれるだけやってみようと思う!手伝って!!」
「えっ、ちょっ、えぇ!?」
自分にやる気を起こさせるように言った後、二人は早速3つの目標に向かって作業に取りかかった。
東雲は状況が飲み込めないまま作業を手伝うことになった。




