第2話
巨大な水槽の前で、足を止める。
ゆったりと泳ぐ魚たちを見て、思わず微笑みがこぼれる。
「⋯気持ち良さそう⋯」
ポツリと呟く。
その声は誰に届くこともなく、自分の耳へと返ってくる。
「ね、凄く気持ち良さそう!」
「あっ!イルカショー始まるよ!」
誰も居ない空間に微笑み、小走りでイルカショーの会場へ向かう。
「凄い!今のジャンプ見た!?」
「バイバイしてる!可愛い〜!」
視線はイルカの方を向いたまま、笑顔がこぼれる。
「そろそろお腹空かない?」
「カフェ行こうか!」
メニューを見ながら、小さく呟く。
「パンケーキ⋯チョコバナナとストロベリー、どっちにしようかな⋯」
「両方頼んでシェアしない?」
テーブルに並ぶパンケーキ2つに、ドリンク1つ。
「美味しい〜!」
「こっちも美味しいね!」
誰も座っていない椅子に微笑みかける。
「帰る前にお土産見ていい?」
「そんなにたくさん買わないよ!」
笑いながら、ショップへと足を踏み入れる。
「このイルカのぬいぐるみ可愛い〜!」
「こっちのストラップ、友達に買って帰ろうかな⋯」
「クッキー美味しそうだよ!」
店内を見て回りながら、カゴに商品を入れていく。
両手いっぱいに袋を抱えて、家に帰る。
「ただいま〜!」
「今日のお出かけも楽しかったね!」
満たされた気持ちで微笑む。
『今日も彼氏のとこに泊まるから』
テーブルの上に置かれたメモを、レシートと一緒に捨てながら⋯




