第1話
「うわ、最悪⋯赤点なんだけど⋯」
友達が不機嫌そうな声をあげる。
「ノア、テストどうだった?」
「まぁまぁかな⋯奈緒はまた赤点?」
「そう、また赤点⋯放課後、図書館で勉強するの付き合ってくれない?」
「家でしないの?」
「うちの親、喧嘩ばっかでうるさくて⋯勉強に集中出来ないんだよね⋯」
「そうだったんだ⋯」
「早く一人暮らししたい〜!そういえば、ノアの親は?」
「うちは仲良しだよ!」
「親が仲良しだと、一人暮らししたいとか思わない?」
「一人暮らしかぁ⋯特にしたいと思わないかなぁ⋯」
「羨ましい〜!」
「まぁ、共働きだから一人暮らしみたいなものだけどね⋯」
スマホの通知が鳴り、届いたメッセージを見る。
『今日は彼氏のとこに泊まるから』
返信せず、スマホをしまう。
「あれ⋯返信しないの?」
「スタンプ押したから、返信はいいかなって⋯」
「なるほどね⋯てか、誰からだったの?」
「お母さん、今日はお父さんとデートしてから帰るって⋯」
「何それ、ラブラブじゃん!」
からかうような声に、誇らしくなる。
「そうだ⋯ノア、明日暇?」
「明日は家族でお出かけなんだよね⋯」
「そうなんだ⋯どこ行くの?」
「まだ決まってないけど、そんなに遠出はしないかな⋯」
そんな話をしていると、明日が待ち遠しくなってくる。
平日はデート、休日は家族でお出かけ⋯
私もそんな結婚生活を送りたい。
彼氏がいるわけでもないのに、そんな事をぼんやりと思っていた。




