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四華の側近に誘導され、凜と愛稀はアジトの裏口から外に出た。
目の前に一台の外車が止まっている。見覚えのある車だった。左側の運転席のドアが開く。出てきたのは雷也だった。
「よぉ」
と手を挙げてくる。凜はその姿をちらりと見て、
「愛稀、行くぞ」
とそっぽを向いて歩きだした。
「ちょいちょい……無視すんなって!」
慌てて言ってくる雷也を、凜は再び足を止めて振り返った。
「僕たちをあんな目に遭わせておいて、よくのこのこと顔を出せましたね」
「分かんだろ。あの時はああするのが最善だったんだ」
「四華にそそのかされて、ですか?」
「協力してやったんだよ。奴の話を聞くに、事の解決には奴の計画に乗るのがいちばんだと判断したんだ。コスモライフに寝返ったわけでも、お前を裏切るつもりだったわけでもねえよ」
「どうだか」
「まあ、詳しい話はおいおいだ。とにかく、車に乗れよ」
「…………」
「乗れって!」
凜は黙ってただ雷也を見ていた。傍らの愛稀は彼の袖をくいと引っ張った。
「大丈夫。この人、悪い人じゃないと思う」
「そうか?」
「うん。多分――」
「多分って」
愛稀の曖昧な物言いに凜は突っ込んだが、雷也は彼女に同調してくる。
「ほらな、嬢ちゃんもそう言ってんだしさ。第一、ここから山のふもとまで、歩ける距離でもねえだろうが。こんな山、バスだってなかなか通らねえぞ」
雷也はくいと後ろに親指を突き出し、再度車に乗るように促してきた。確かに、徒歩で戻るのは現実的ではない。山道に出るとくたびれたバス停があるが、運行は数時間に一本という程度だ。仕方ないな――とでも言わんばかりに、凜は軽くため息をついた。
「ひとつ教えてください」
と、雷也に言う。
「何だよ」
「一体、響さんは誰の味方なんですか?」
凜の問いに、雷也は「はん?」と呆れたように言った。
「何言ってんだよ。決まってんだろ」
「というと?」
凜が問い返すと、彼は不敵な笑みを浮かべて言い放った。
「俺は、真実の味方なんだよ」




