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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第1章:Fランク冒険者誕生!幼馴染とのお手伝いクエスト

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第7話 クレアの襲撃とFランク依頼

まだ、寝ぼけているアルトの上で、クレアは大はしゃぎだ。


「アルト!起きて!!冒険者しよっ!!アルト!!!」


時刻は普段起きる時間よりずいぶん早い。そして魔力も回復しきっていない。さすがに起きるのは無理だ……。


「そうだ!これ見て。パパとママが買ってくれたの!!」


クレアは剣を掲げた。子供用のサイズではある。しかし、それは紛れもない剣である。

アルトに馬乗りになったまま、クレアは剣を振る。その瞬間、アルトの頭上あたりでテントが大きく裂け、日が差し込む。クレアの剣が光を反射し、きらりと光る。

アルトはクレアを跳ね飛ばして起きながら叫ぶ。


「危なっ!死ぬ!!殺される!!!」


「アルト!起きたぁ〜」


諦めて、アルトも出かけることにした。朝ごはん用にパンを1つだけ持ち出す。

パンをかじりながら、ギルドへ向かうと、道すがら、村の人たちから、声をかけられる。どのテントも朝食の準備中だ。


「おお!アルト珍しいなぁ、火ぃつけてくれよ」


両手をかざし、朝食のスープの下の薪に火をつける。


「こっちにも火をくれよ」


今度はタバコだ。人差し指の先にファイアーボールを浮かせる。


そんなやり取りが何度かあった。

ふと、クレアが言う。


「アルトって人気者だよね〜」


アルトは興味なく答える。


「みんな火が欲しいだけだよ」


そうこうするうちにギルドに辿り着く。

テントは閉まっている。そりゃそうだ。時間が早すぎる。クレアが勝手に開けて中に入る。

アルトは驚く。


「ええ!ダメじゃない!?」


「別に悪いことするわけじゃないし、いいでしょ?」


仕方なくアルトも後に続く。


ダンにEランクを目指すように言われたことを思い出し、壁の依頼書を一つ一つ見ていく。


Dランク依頼、魔石の採取

Dランク依頼、フォレストウルフの毛皮収集

Dランク依頼、パラライズビーの巣の採取

Cランク依頼、町までの護衛


Dランク、Dランク、Dランク、Dランク……。

そもそもここは迷宮探索者が集まってできた村、Dランク以上の冒険者しかいないのだ。正確にはアルトとクレアの2人を除き、すべての冒険者がDランク以上であった。

それに伴い、依頼もほぼDランク以上のものしかない。Eランクにすると、報酬が少なく設定できてしまうため、依頼を受ける人がいないのだ。


すべての依頼を見て、わずかに2つだけ、Eランクのものを見つけた。


Eランク依頼、ベビートレント素材の採取

Eランク依頼、薬草採集


それでもFランクの2人には受けることができない。

クレアは固まっていた。すると、入口から、受付のメリルが顔を出した。


「あら?アルト君、クレアちゃん、早いわねぇ」


アルトは身をこわばらせたが、ギルドに忍び込んだことは一切お咎めなしだった。


「2人とも、ちょっとこっちに来て」


メリルがロープの奥から、立て看板を取り出す。真新しい2枚の紙が貼られている。


Fランク依頼、木材の運搬

Fランク依頼、ギルド南地区10世帯の立ち退き依頼


クレアが歓喜する。


「これなら私たちでも受けられる!!」


これに対して、アルトはすぐに気付く。これは冒険者の依頼というより、ただのお手伝いだ。特に木材の運搬、これは昨日、シアンがウインドカッターで倒した木だ。アルトは昨日のダンのずるい顔とシアンのウインクを思い出していた。


多分、Eランクには上がれない。Eランクに上がると、ベビートレントや薬草など、森でこなす依頼が発生する。Eランクに上がるためにはFランクの依頼を10個連続で成功しなければならない。

おそらく、Fランクの依頼は9個程度で打ち止め、もしくは失敗するような依頼を受けることになるのだろう。


乗り気なクレアは木材の運搬を受けてしまい、2人で来た道を引き返し、アルトの自宅のテントの方へ向かった。

村人たちは食事を終え、それぞれ仕事の準備に取り掛かっていた。迷宮探索へ行くもの、素材を売りに行くもの、魔物解体を生業にするもの、鍛冶屋だっている。

先ほど、クレアはアルトを人気者と表現した。実際に人気者かどうかは定かではない。しかし、この道で出会う人は全てアルトを知っている人である。話したことがない人はいなかった。



歩きながら、アルトはある妙案を思いつく。しかし、達成するためにはダンに気付かれないようにしなければならない。

自宅に帰りつくと、ダンとシアンが待ち受けていた。すぐにクレアが叫ぶ。


「木材どこー?」


シアンが対応し、木材のところまで案内する。昨日倒れた木は横に2つに切られた後、縦向きに4等分されていた。薪かと思っていたが、これは確かに木材だ。


ダンがアルトに話しかける。


「明後日から、シアンと町に行くことになった。3週間くらいで帰ってくる。留守の間のことはモックに頼んであるから、言うことをちゃんと聞けよ」


「うん……ところで、父ちゃん。Eランクの冒険者になれたら、Eランクの依頼を受けてもいいの?」


「そうだな。Eランクになれたらな」


しれっと、アルトはダンから言質をとった。


「そっかー、がんばろーっと」


屈託のない受け答えを装いつつ、アルトは心に決めていた。


父ちゃんがいない間にEランク冒険者になる!

Eランクの依頼をいくつかこなす!

期限は3週間だ!


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