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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第4章:冒険者のリアルと、少年の旅立ち

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第53話 クレアルティーと消えた冒険者たち

自分たちの運が悪いのか、そんなものなのか分からないが集まった魔石は8個だけだった。

3人は帰路につく。東の詰所でブロンに魔石を見せる。


「ぇ?1体倒すだけじゃなかったのか?まぁ、いいや。さすがお前らといったところか」


クレアが唐突にブロンに聞く。アルトと話した学校のことを思い出したのだ。


「アルト、来年、学校に行くかもしれないんだって。私も行った方が良いのかな?」


「うちにはそんなカネねぇぞー。ダンはAランクだから、実入りが違ぇんだよ。それに、お前、学校って何しに行くとこか知ってんのか?」


「ぇ?遊ぶとこ?」


「勉強するとこだよ」


「ぇー、じゃ、私、行かなーい。アルト!勉強頑張れ!!」


「まぁ、行くなら、剣術道場くらいがいいんじゃねぇか?一日中、剣振ってりゃいいとこだぞ!それくらいなら、うちでも行かしてやれるよ」


「じゃあそうしようかな」


「でも、別に無理して行かなくていいからな。お前は冒険者でもしっかりやっていけるさ」


「うん、そうだね……」


最後にクレアは少し複雑そうな顔をした。そして、ブロンに言った。


「とりあえず、ギルド行ってくるよー」


3人でまた歩き出す。クレアは無言だった。

ダンとブロンは性格が違う。そして、ブロンは最愛の人を魔物に殺されたのだ。考え方も違って当然だ。

冒険者ギルドで換金すると、魔石は1つで小銀貨1枚にしかならなかった。割に合わない気がした。迷宮で出会ったあのパーティーはあれだけの苦労をして、いくつの魔石を手に入れたのだろうか。

アルトとクレアはそれぞれの家へ帰る。


その日の夜。

アルトはいつものように魔術を練習する。ブリーズステアはやはり上手くいかない。しかし、次のベカスボールが問題だった。魔力が形を作り始めたのだ。魔力がぐにぐにと動き、ちょうどアルトが抱きかかえられるくらいのサイズに膨らみ、掲げた手の先からボトリと落ちる。

その物体は半透明だ。その中心辺りには不透明の核が存在している。ベカスとは似ても似つかない。

アルトはじっくりとその物体を観察する。聞いたことがある魔物の特徴に似ている気がする。

それはスライムだ。もしかすると、魔物を作り出してしまったのかもしれない。さっさと倒して、なかったことにするべきだろうか。

しかし、ソレは襲ってくることもなく、プルプルと震えている。

明日、冒険者ギルドで聞いてみることにして、ソレを道具袋に放り込み、魔術の練習をしてから眠った。


翌日、出かける準備をしようと道具袋を開けてアルトは仰天する。ソレの存在をすっかり忘れていたのだ。

アルトはソレを取り出す。前日から何の変化もなく、ソレはソレのままだった。

道具袋に入れるには大きすぎる。素材運搬用の魔道具のテントにソレを放り込んだ。


いつものように西の詰所に向かい、いつものように依頼を受ける。誰1人として、迷宮に行こうとは言い出さなかった。

いつものように川まで来る。2年前とは違い、川底を歩いて渡るようになっていた。

アルトの空気玉の制御能力が向上したせいだ。作り出した空気玉の中に入り、そのまま空気玉を沈め、その中を歩く。

モックが溺れかけた時にできなかったことが、今はできるようになった。アルトは着実に成長している。

川を渡り切るといつものように狩りを行い、魔道具のテントに素材を入れる。この段階で、モックが半透明のソレに気付いた。


「おおわっ!!なんじゃこりゃ!?なんでこんなところにスライムが!?」


アルトがテントを覗き込んで聞く。


「あーやっぱりそれ、スライムなの?」


クレアも来た。


「わぁー!何コレ?アルトのペット?どこで捕まえたの?」


アルトが小さな声で告げる。


「魔術で作った」


モックとクレアが同時に声を出す。


「ぇ?」


アルトが2人に聞く。


「どうすれば良いかな?」


クレアが即答する。


「とりあえず、名前決めようよ!」


なんの解決策にもならない意見だった。モックは確認する。


「飼うんですかぃ?」


クレアが即答する。


「もちろん!」


クレアに見せる前にダンかモックに相談すべきだったとアルトは後悔する。そして、ため息まじりにつぶやく。


「やっぱり人に見せる前に片付けておくべきだったか……」


クレアがソレを抱きかかえて、アルトを睨む。


「クレアルティーを殺しちゃダメ!!」


名前が決まっていた。モックが案を出す。


「昨日、ちょうど迷宮へ潜ったんで、そこで見つけてテイムしたってことにすれば、そんなに突っ込まれないとは思いますぜ。ただ……それ安全ッスかね?」


クレアが即答する。


「クレアルティーは人なんて襲わないよ!」


最終的に冒険者ギルドに判断を委ねることになった。冒険者ギルドでメリルに相談する。

クレアが嬉々として報告に行く。


「メリルゥ、あのねあのね!昨日、アルトが迷宮でスライムをテイムしたんだけどね!飼ってもいいでしょ!お願い!」


しれっとアルトがテイムしたことになる。

アルトはすぐに訂正する。


「いや、テイムってどうすれば良いか分からなくて……ただ拾ってきただけだよ」


クレアが振り返って睨んでくる。いや、しかし、冒険者ギルドを騙すのはマズイ。


「いいわよー。責任持って飼ってねー」


日頃の行いのせいか、最近メリルの対応が雑だ。散々迷惑をかけたのは間違いないのだから、仕方ない。

こうして、クレアルティーが仲間になった。


その後、数か月は何事も起こらなかった。

魔石紛失事件は忘れ去られ、季節は秋を迎える。

そんな折、街からポルケ村へ向かったバルディア商会の荷物が届かないという事件が起こる。

改めて調査をすると、街からポルケ村へ向かったはずの冒険者が多数行方不明になっていることが発覚する。

原因不明の何かがそこで起こっていた。


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