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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第3章:未知なる川の向こう側へ!Dランクパーティー『魔剣』の初陣

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第42話 ロープの喪失と完璧な連携

クレアと2人、呆気に取られ、数秒間水面を見つめる。

モックは浮き上がってこない。それはそうだ。金属の鎧を身につけているのだ。

咄嗟にアルトは特大の空気玉を水面にぶち込む。モックはいない。空気玉は浮力と水流に邪魔され、すぐに上空へ弾かれる。

別の位置に再度ぶち込む。もう1度、もう1度……。

何度も繰り返し、ついにモックを発見する。次の1発は全力で魔力を注ぎ込み水底にキープすることを目指す。しかし、空気玉はぐんぐん押されていく。足りないのは魔力なのか、集中力なのか、筋力なのか、分からない。

くる。水流がモックを押し倒す。

改めて空気玉を発動し、モックの場所を開く。そして空気玉は押し戻される。徐々に徐々に川下へ流されていく。

ふと、クレアが使ったロープがアルトの目に入る。これしかない。

アルトはロープの真下へロックボールを放つ。

そして、モックへ音玉を飛ばす。


「ロープを掴んで!!」


水面に見え隠れし続けているモックが、辺りを見回した。ロープを目に捉えたことを確認した瞬間、ロープの下に形成されたロックボールまでの経路に立て続けに5発の空気玉を放つ。

モックは走り出し、ロックボールの上へ駆け上がり、ロープに向かって跳び上がった。

一瞬遅れ、完全に空気玉は弾かれた。

一時的にであれ、無理矢理流れを変えた分、もとに戻る時の激流は凄まじい。

モックもろともロープは水流に飲み込まれた。


少しして、ロープに全力でしがみつくモックが確認できる。クレアとともにロープのもとへ走り出す。ロープの端にたどり着いた時、モックの金属盾の端がロープに触れていることに気付く。チリチリとロープの繊維が千切れ細くなっている。

そして、切れた。クレアが叫ぶ。


「またぁっ!?」


しかし、今度は落下したわけではない。モックはロープにしがみついたままである。水流に川下に押されてはいるが、弧を描くように岸に近づき、浅瀬へたどり着いた。

改めてアルトとクレアは迎えに行く。モックはロープにしがみついたまま、青い顔をして、目を見開いてブルブル震えていた。


モックが落ち着くのを待って、アルトは聞くべきことを聞いた。


「モック、ロープってもう1本ある?」


「すまねぇ、大親分、あれしか持ってねぇんだ」


つまり、3人とも帰る手段がなかった。

モックが付け加える。


「でも、テントならありますぜ」


そこで、クレアが割って入る。


「なになに?お泊りするの?」


目をキラキラと輝かせて、期待に満ちた表情だ。

アルトはため息をつきつつ答える。


「そうなるかも……父ちゃんに怒られるかな……」


モックがピクリと反応し、つぶやく。


「どうだろうな……」


表情は引きつっていた。


ともあれ、待っていても何も解決しないのだ。

アルトはこの先に広がる森を見る。最寄りの街まで1週間くらいかかるという話だった。

そして川を振り返る。やはり、何とかして川を渡る方法を考えたい。

とりあえず、モックは着替え始める。水を吸った革紐を解くのに苦労していたが、ようやく鎧を外し、服を脱ぎ始めた時、森の奥で何かの気配を感じる。

すごい勢いで何かが近づいてきている。


「何か来る!」


クレアは剣を構え、アルトはアイスボールを準備した。しかし、モックは全裸だ。

そこに現れたのはフォレストベアだった。昨日倒したやつだ。しかし、対岸のフォレストベアとはわけが違った。

現れた瞬間には、すでにアルトに向かって突進してきていた。その巨体にもかかわらず、近くの森のフォレストウルフよりも遥かに速かった。

すぐにクレアが間に入る。クレアに向かってフォレストベアが爪を振り上げる。確実に剣で受け止めたクレアであったが、アルトの後方にぶっ飛ばされた。

次の一撃の直前、しっかりとアイスボールを額に命中させると同時に後方へ下がる。確実にダメージはあるはずだが、フォレストベアは怯まない。そして下がるアルトよりも確実に速い。一気に間を詰めてくる。

しかし、アルトに届く直前、大盾を持った全裸のモックがフォレストベアの前に立ち塞がる。フォレストベアの爪を盾でいなす。勢いを削がれたフォレストベアはアルトの目の前に転がる。

額にアイスボールを打ち込む。起き上がったところにもう1発。アルトの隣に走り込んできたクレアが飛び上がり、逆手に持った剣をフォレストベアの脳天に突き立てる。剣先はフォレストベアの顎から突き出ていた。

フォレストベアはそこで絶命する。


一瞬の後、クレアは喜びの声を上げる。


「やったー!なんか、今さぁ、私たち冒険者のパーティーみたいじゃなかった?」


いや、一応、冒険者パーティーなんだけど、と突っ込みたいところだ。だが、確かにクレアの言う通りだ。蜂から逃げ回ったり、溺れかけたりするのは冒険者パーティーらしくない。

今のは本当に冒険者パーティーって感じがした。アルトも同意しかける。


「うん、今のすごく冒険者っぽか……」


そこで、傍らで仁王立ちのモックの股間に揺れるモノが目に入る。アルトは口をつぐんだ。


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