↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第3章:未知なる川の向こう側へ!Dランクパーティー『魔剣』の初陣

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/52

第41話 道具袋の中身と切れたロープ

「うーん……」


なんだか、しっくりこない。

きっと動きが連動しないとなんだか違和感があるのだ。頭に入っている空気玉を言葉の先頭で少しだけ動かすことにした。


「(ふよっ)村の守り神、(ふよっ)クレアルト様だよ!!」


少しだけリアルになった。


「(ふよっ)スゴイ!」


「(ふよっ)私がやる!!」


「(ふよっ)お腹減ったー」


「(ふよーっ)がんばれー!!」


アルトはひたすら練習を繰り返す。ヴォイスボールは奥が深かった。まず、音量調節。


「(ふよ)スゴイ……」


「(ふよっ)スゴイ」


「(ふよーっ)スゴイ!」


「(ふよーっ)スゴイ!!(ふよふよ)」


それから、実際にクレアが言ったことがないことも合成することも可能だ。


「(ふよっ)明日のパンツは(ふよっ)紫だよっ!」


カカシに喋らせるのはやめ、他の練習も始める。ダンの声、モックの声、メリルの声、ヒルダの声、ガラクの声、シアンの声。

バタン、ドカッ、パシュッ。音だって発することができた。これはヴォイスボールというより、音玉だな。

アルトはヴォイスボール改め、これを音玉と名付けることにする。


バタンッ。


音玉を使っていないのに音がする。それは魔術ではなく、実際にドアが開かれた音だった。そして、そこにはダンが立っていた。


「お前、何やってんだ!!」


カカシがダンの方を振り向き、答える。


「魔術の練習だよ!」


ダンはチラリとカカシを見たのち、アルトに向かって言う。


「もう寝ろ!」


「ぁ、はい」


音だけだからといって、無限袋の外で練習するのは危険なようだ。無限袋に手を突っ込み、さらに練習を繰り返しながら、アルトは眠りに落ちる。


翌朝、昨日準備したものを袋に詰め、念のため、カカシも連れて西の詰所に向かう。モックは床で眠っていた。

アルトはダンの声で、音玉を発動する。


「起きろぉ!モック!!」


モックは跳ね起き、気をつけの姿勢をとる。


「はい!アニキィ!!……んあ、アルト?えっと、大親分、おはようございます!」


「おはよー、モック」


モックが準備を始める。アルトはモックが何を準備しているのか、しっかりと観察する。装備品の点検、火打石と木の粉、水の入った革袋、装備の予備パーツ、工具類、綺麗な布などの救急用品、携帯食料の類、装備の下に着る下着類の替えも準備していた。

まだまだアルトに足りないものは多い。アルトが話しかける。


「今日は僕の道具袋もバックパックに入れてね」


そこにクレアが現れた。


「おはよー!!」


クレアが隣に自分の道具袋を下ろす。昨日までは持ってきていなかったものだ。クレアだって、少しずつ冒険者として成長しているのだ。アルトが話しかける。


「クレアも道具袋持ってきたんだね。何、持ってきたの?」


そう言って、アルトはクレアの道具袋を開けてしまった。

一番に目に飛び込んできたのは、薄緑色のパンツだ。


「ぁ」


中身は着替え一式なのだ。チラリとクレアを見ると、鬼の形相であった。

アルトは慌てて取り繕う。


「そっかー、着替え必要だもんね。モックも着替え持ってたもんね。僕は持ってこなかったよー。僕も明日は準備しよっ!さすがクレアだね!!もうベテランの冒険者だね!!」


クレアはとてつもなく複雑な表情を浮かべている。とりあえず、最悪の事態は回避できた気がする。隣では、モックが敢えて反対側を向いて、準備運動をしていた。

モックが装備を着込むのを待って、3人とカカシは出発する。今日こそは川の向こうの攻略だ。


川に到着すると、昨日のロープがそのままになっていた。正直、アルトはこれで十分なのだが、クレアのために低いロープも準備することにする。せっかく魔術も練習したのだ。

少し川下の方にちょうどよい高さの木の枝を見つける。

まずはロックボールを生成、そして、ロープを結び、発射する。

ロックボールはロープにつながったまま向こう岸へ飛んで行き、低めの木の枝にくるくると巻き付く。

クレアとモックの喝采を受ける。


「おおー!なんか昨日よりスゴイ!」


「大親分、おみごとです!」


アルトはグッとロープを引っ張る。ほどけそうにない。こちら側は木の幹に結び付けた。

クレアが早速ロープに飛び乗る。十分な強度だ。


「私、行くねー!」


さっさとロープを渡り始めた。それなりにロープがたわみ、低いところは水面近くになっている。こちらをぶら下がって使うのは無理なようだ。

アルトとモックは昨日のロープのところへ戻る。まずはアルトが昨日のようにぶら下がる。昨日とは違い、バックパックも背負ったままだ。思っていた以上に腕に負担がかかり、ロープがたわむ。横向きに移動して、なんとかロープを渡りきる。クレアが迎えに来ている。


「アルト、とうちゃーく!」


次にモックがロープに逆さにしがみついた。金属の鎧と盾はかなり重いらしく、ロープが想像以上にたわんでいる。そして、そろそろと渡り始める。

川の半分辺りまで来た時、突風が吹く。慌ててモックがロープにしがみつく。その時、背負っていた金属盾の端がロープに触れる。チリチリとロープの繊維が千切れ細くなる。

そして、切れた。


ドボンッ!


今日はモックが落ちた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。