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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第3章:未知なる川の向こう側へ!Dランクパーティー『魔剣』の初陣

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第38話 守り神クレアルト様と魔術師クレアルト

3人はカカシのクレアルトを迎えに行く。

東の詰所でブロンが首を傾げる。


「そんなの持ってって何に使うんだ?」


クレアが不満げに言う。


「そんなのじゃないよ!村の守り神、クレアルト様だよ!!」


ブロンはすぐに乗っかる。


「ははー、クレアルト様ぁ、とんだ御無礼を!」


モックがさらに乗っかる。


「クレアルト様ぁ、あっしを金持ちにしてくだせぇー」


クレアがモックをたしなめる。


「そんなのできるわけないでしょ!クレアルト様はパラライズビーから守ってくれるだけよ!」


改めて、ブロンが聞く。


「で、クレアルト様を何に使おうってんだ!」


クレアが当然といった表情で答える。


「パラライズビーから守ってもらうのよ!」


アルトは仕方なく、空気玉をカカシの頭に入れる。

カカシが、ふよふよと浮き上がる。


「おおっ!」


「ええっ!」


2人は驚いた。ブロンがクレアに聞く。


「これ、生きてんのか?喋れんのか?」


動かしてるのはアルトだが、ドヤ顔なのはクレアだ。

当然、生きてもいなければ、喋れもしない。

が、これはアルトの心に引っかかった。

生かせたり、喋らせたりできれば面白いのかもしれない、と。

ともかく、今はふよふよと浮き、移動するだけである。

持っていくのも面倒なので、そのままふよふよ浮かんでいてもらうことにする。西の詰所までは村の中の移動だ。浮かぶカカシは目立って仕方がない。

西の詰所に着くと、モックが準備をする。しっかりとした金属製の胸当てと大盾、さらにはバックパックまで担いでいる。

アルトがバックパックを担ぐことを申し出る。

モックはクレアをチラリと見て、困ったような顔をして、それから、気を取り直したように言う。


「大親分に荷物を持たせるなんてそんなこと、できませんよ!あっしに持たせてくだせぇ」


アルトはよく考えて答える。


「モックは僕を戦わせる気なの?戦うのは子分の役目でしょ?」


モックがはっきりと明るい笑顔で答える。


「滅相もねぇ!荷物はお任せします!」


大変面倒だ。前衛2人と後衛1人、どう考えても荷物はアルトの担当なのは確実だった。モックも当然そう思ったはずだ。

親分と子分の演技はどこまで続ければ良いのだろうか。


ともあれ、3人とカカシは西の川を目指す。川から少し南へ移動したところにカルサムスの花畑とパラライズビーの巣の密集地があるのだ。

途中、当然魔物とも遭遇する。

まずはベビートレントだ。アルトが発見し、クレアが先制する。いつも通りだ。

次にフォレストウルフ2体だ。1匹をクレアが仕留め、もう1匹をモックが盾で弾く。弾かれて腹をこちらに向け宙を浮くフォレストウルフはアルトにとって恰好の的である。

心臓の位置をアイスボールで正確に射抜く。すでにアイスボールを無詠唱で完璧に使いこなすアルトをみて、モックは驚いていた。


「大親分ってマジですごいんッスね!いや、これはマジで」


本心だと付け加えてくれた。

当然よ、……とドヤ顔なのはクレアだ。

アルトは平常運転だ。前衛2人が優秀だから、ここまで出番がなかったのだ。無限袋の中でぶっ通しで練習してたんだから、上手くもなる。


意外なことにカカシは役立っていた。クレアは普段から前衛として、一応はアルトを守るように戦ってくれる。けれど、あくまで一応だ。パーティーらしさを演出するためにやっているという感じなのだ。

けれど、カカシは本気で守らねばならなかった。パラライズビーに対しては不死身の強さを誇るクレアルト様だが、ベビートレントやフォレストウルフに対しては防御力ゼロだった。

もし、攻撃を食らったら即死だろう。前衛の役割は重要だ。これがクレアに良い緊張感を与えていた。

問題なく魔物を倒しながら進む中、パラライズビーの巣を見つける。普段だったら、絶対に迂回するところだが、今回はこいつらの巣が目標なのだ。1つでも多く狩るべきだろう。


作戦はこうだ。まず、カカシが蜂をおびき出す。じっくり待って、巣から全部出たと思われる頃、東に向かってカカシを走らせる。なるべく遠くに離れたところで、こっそり蜂の巣を採取し、西に向かって逃げ、パラライズビーの縄張りを抜けたところでカカシもそこに向かわせ、合流するという流れだ。

重要なポイントはその間、ベビートレントともフォレストウルフとも遭遇してはいけないということだ。カカシがやられてしまう。このため、実行前に3人で手分けして少し広めに魔物を排除した。


準備は整った。カカシがパラライズビーの巣に向かって突撃する。そして、カカシはかなり弱めのロックボールを放った。実際に魔術を使ったのはアルトだが、射出位置を調整できるようになったアルトはカカシの目の前から魔術を射出することができるのだ。

前回よりもカカシのリアルさが上がっている。モックは呆気に取られ、クレアは興奮していた。


「クレアルト様、魔術師だったんだ!」


パラライズビーは瞬く間にカカシに襲いかかる。カカシはぐるぐると、巣の周辺を回り、パラライズビーを引きつける。これ以上、巣からは出てこなくなったのを確認し、カカシは東に向かう。しっかりとパラライズビーを引きつけている。

クレアが姿勢を低くしたまま、巣の下に移動する。アルトは巣と木の接合部分を狙って小さい、しかし、十分に威力のあるアイスボールを放つ。

巣が落ち、クレアの手に収まった。

3人で巣をよく観察し、パラライズビーが残っていないことを確認する。巣をバックパックに詰め、西に向かって逃げる。十分な距離を取ることができた。その後カカシをこちらに移動させる。たくさんのパラライズビーを連れて、カカシがどんどん近づいてくる。そろそろ、縄張りを抜ける頃だ。


しかし、パラライズビーは縄張りを抜けても止まらなかった。どんどん近づいてくる。

アルトが叫んだ。


「逃げよう!!」


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