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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第2章:テント爆散から始まる魔法DIYと、領主様の夕食会

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第36話 新たな仲間?

2人の衝撃的な登場から、笑い声を上げるシアン以外に声を発するものはいなかった。シアンが笑いを堪えるのに成功し、皆、領主の言葉を待つ。


「君たちが鳥を捕まえてくれたのかな?」


領主からの質問だ。どんな言葉で答えれば良いのだろう。


「ソウデ……ゴザ……ル……マス……」


アルトが言い淀んでいると、さっさとクレアが答えた。


「そうだよっ!!」


領主はにっこりと微笑み、話を続ける。


「それじゃあ、何か君たちに……」


そう言いかけたところで、領主の言葉を遮るようにクレアのお腹がグーッと大きな音を立てる。

仕方のないことだ。朝から何も食べていない。しかも、目の前にはご馳走が並んでいるのだ。

クレアはお腹を押さえ、少し恥ずかしそうにした。ノーマンはまた頭を抱える。

気を取り直して、領主が話し始める。


「君たちに何かほう……」


今度はアルトのお腹が鳴る。びっくりしてお腹を押さえる。ちなみに法律に則るならば、2人とも死罪だ。領主が今度こそと話し始めて、やめた。


「褒美を……えっと、君たちも食べる?」


クレアが即答する。


「うん!!」


食卓に向かい、2人は戸惑う。それは、今日、自分たちが取ってきた鳥なのだ。あの血なまぐさい味が口の中によみがえり、お腹がキュッと縮んだような気がする。

しかし、何しろお腹が減っている。空腹の方が勝り、クレアが先に鳥にかぶりつく。


「おいっっしいっ!!」


クレアの様子を見て、アルトもおそるおそる鳥を口にする。


「うん、美味しい!」


料理を担当したのはガラクだという話だった。やはりガラクは魔術師みたいだとアルトは思う。


食事中の話題は、アルトによる魔術の実演も交えた鳥の捕まえ方に始まり、冒険者ギルドのFランク依頼の内容、クレアによるFランク冒険者の間で流行する露店の商品の話などに移る。

領主もより具体的な状況を知ることができ、満足そうにしていた。

話題も尽きた頃、領主がふと言う。


「この村はこれからもっと発展するだろう」


ダンは少し疑問を持つ。


「何もない村ですよ」


領主は続ける。


「子供たちが元気だ。2人だけではない。ここに来るまでに多くの子供たちを見かけた。みんな希望に満ちている。10年、20年後、彼らが大人になる頃が楽しみだ。それから、何もないというのは悪いことではない。何もないからこそ、作る必要もあれば、手に入れるための努力も必要だ。すでに何でもありふれた街で生きる者には理解できない達成感を得て、彼らは育っていくだろう」


いつしか、夕食会はお開きとなり、アルトとダンは連れ立って、帰路につく。

結局、ダンから根掘り葉掘り聞かれ、この3週間の出来事を洗いざらい吐くことになる。

ダンからは叱られた。けれど、それは森は危ないからとか、冒険者はいつ死んでもおかしくないくらい危険だからというような理由ではなかった。


「麻痺解毒剤も持たずにパラライズビーがいる森に入るやつがいるか!」


「魔術師でも、刃物くらいは持ってるだろ、普通!」


「塩くらいは、普段から持っとけ!それだけで鳥は食える!!」


冒険者としての心得不足を隅々まで叱られた。

そして、最後にダンはこう締めくくる。


「お前は運が良かった。もし、今言ったものを全部準備していたとしても、冒険者はいつ死んでもおかしくない仕事だ。覚悟しておけよ」


2人は自宅に帰り着く。アルトはレンガの小屋に初めて入る。テントと違い、中は静かだ。

アルトはいつものようにライトボールを浮かせ、魔術の練習を始める。今日からはブリーズステアの練習も再開できる。無限袋に手を突っ込み、横になる。


ブリーズステアの練習。

生成速度の訓練。

射出速度の訓練。

射出位置を遠くする訓練。

サイズを大きくする訓練。


アルトは袋に手を突っ込んだまま微動だにしない。地味な練習だ。そして、訓練の内容も地道なものだ。延々と繰り返しながら、アルトは眠りに落ちる。

アルトの長い1日が終わった。


翌朝、希望に満ちた1日が始まる。今日からついにDランク冒険者なのだ。この村でDランクの依頼が尽きることはほとんどない。そして報酬も小銀貨1枚からだ。

アルトは特に欲しいものがあるわけではない。けれど、解毒剤、刃物、塩など買わなければいけないものはいくつかある。

それから、これまでの苦い経験から、お金は持っておいた方が良いことを知っている。

すぐにクレアのもとを目指して出掛ける。


いつもは遠くからでも剣を打ち合う音が聞こえるのだが、この日は聞こえてこない。代わりに何だか話し声が聞こえていた。

近づくと、ブロンは何だかニヤニヤしている。その隣で誰かがクレアと話している。木に隠れて誰か分からない。けれど、聞き覚えのある声だ。


「たった3週間でFランクから、Dランクまで上がるなんてさすがです!親分と呼ばせてくだせぇ!!」


クレアはニタニタしている。嬉しそうだ。

そこで、クレアはアルトに気付く。


「あっ!ねぇ、アルト!この人、パーティーに入れてもいい?」


「あっしを仲間に入れてくだせぇ!」


一体誰だろうか。アルトは木の向こうを覗き込み、声を上げる。


「ええっ!?」


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