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Fランク魔術師がゆく~才能無くても世界最強~  作者: キズキ
ポルケ村編 第2章:テント爆散から始まる魔法DIYと、領主様の夕食会

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第31話 丸太運びの進化とメリルの気苦労

アルトの恐怖をよそに、クレアが勝鬨を上げる。


「魔人ブロン、討ち取ったりー!!」


アルトは慌てる。


「あ、ちょっ、ブロンさん、大丈夫!?」


おろおろと岩の周りでブロンを探すも、完全に岩の下敷きである。押しても動きそうにない。壊すしかなさそうだ。


「どうしたら、この岩壊せるかな……」


少し考え、クレアが答える。


「もう1発、上から岩を落とせばいいんじゃない?」


えげつない答えが返ってきた。


そこにヒルダが来る。アルトはヒルダにすがる。


「ブロンさんを岩の下敷きにしちゃって……。助けて……」


ヒルダの対応は冷たかった。


「助けてもいいけど、気絶してるだけだろ?そのうち自分で出てくるさ。たまには静かな朝飯もいいだろ?」


ドン引きのアルトをよそに、ヒルダとクレアは歩き出す。仕方なく、アルトも続いた。そして、3人で朝食を囲む。


ブロンがいないと、クレアがひたすら話し始めた。やはり親子だ。


「アルトの必殺技すごかったなー!」


「最後の一撃、気持ちよかったなぁ!」


「今度、アルトと戦ってみたい。アルトは魔王ね」


この家の朝食が静かになることはなさそうだ。そんなことを考えていると、傷だらけのブロンが現れた。


「いやー、アルト、すげぇなぁ」


「クレアは最後のとこ、反省な。あそこは自分への剣を避けてから、アルトへの剣を叩き落とさないと」


「でも、最後の一撃、良かったぜ!」


「しかし、クレアの芝居はひでぇなぁ」


「これなら、本物にも挑めるかもしれねぇなぁ。ぁ、でも、迷宮はやめとけ、な」


ブロンほどの実力者でも迷宮探索を良しとしないようだ。

考えてみれば、ダンと森へ入るのは日常であったが、迷宮に入るのに同行したことはなかった。そもそも迷宮に行くこと自体、ほとんどなかった。しかし、ダン自身は冒険者の救出依頼とかで、ごく稀に迷宮に行くこともあった。その時は決まって、アルトは冒険者ギルドに預けられた。

この村最強と言われる2人でも、迷宮は恐ろしいのだ。


朝食を終え、アルトとクレアは冒険者ギルドへ向かう。

アルトは改めて、自分の所持金を確認する。小銅貨40枚、ほとんどFランク依頼ばかりを受け続け、この成果だ。かなりがんばったと言える。しかし、目標の小銀貨1枚までは、あと60枚だ。

そろそろダンが帰ってくる。確実に間に合わないだろう。朝の大勝利から一転、暗い気持ちだった。

冒険者ギルドに入り、まず、Eランク依頼を探す。しかし、Fランクの依頼とDランク以上の依頼しかない。

次にFランクの依頼を吟味する。なるべく短時間で終わりそうなものを探すのだ。そうすれば、1日に複数の依頼をこなすことができる。そう考えながら、依頼書を見て回っていると、後ろから声がかかる。


「アルト君、ちょっと受けてほしい依頼があるんだけど……」


振り返ると、メリルがいた。20日ぶりくらいだろうか、奥から立て看板を持ってきた。なんだか懐かしい。


Eランク依頼、北地区での150本の木を伐採、ギルドへの運搬


依頼内容も懐かしいものだった。しかし、以前のFランク依頼の30本とは違い、Eランク依頼で150本だ。


「本当はFランクの依頼として、30本ずつやってもらう予定だったんだけどね。依頼料も高くないけど、この話、領主様案件で予算が限られてるのよ。今度、良い仕事回すから。ね、お願い!」


依頼料は大銅貨1枚だ。最低料金ではあったが、それでもFランク依頼よりは割が良い。

お手伝い系の依頼と違い、斧や剣を使える。クレアも乗り気だ。迷うことなく受ける。

2人で北地区へ向かう。もちろん、道の凹みをアースボールで埋めるのを忘れない。道が綺麗であれば綺麗であるほど、圧縮空気玉での丸太の運搬が楽になるのだ。


この3週間、クレアの剣の腕は上がり、アルトの魔術も上達した。以前よりもはるかに簡単に作業が進む。瞬く間に150本の丸太を準備し、運搬を始める。

今回は同時に30本の丸太を120個の圧縮空気玉で運ぶことにする。異様な光景に周囲の目は釘付けであった。冒険者たちが30本の丸太のために道を開けてくれる。順調に往復を繰り返す。もちろん、道の凹みを埋めることも忘れない。最後の帰り道、道は完璧な平面になっていた。

依頼は完了だ。そう思っていたら、丸太置き場のテントの前で、メリルが仁王立ちで待ち構えていた。


「これはあなたたちの仕業だったのね?」


何のことだろうか。思い当たるものがない。アルトは咄嗟に謝る。


「ごめんなさい」


メリルは驚く。


「いいえ、あなたたちが悪いわけじゃないのよ……。ただ……ね。東西の道ばかりが綺麗になって、南北の冒険者たちから苦情が出てるのよ……ああ、もう!あいつらムカつく!!」


メリルの気苦労は絶えないようだ。

それでも、気を取り直して、アルトとクレアに言う。


「というわけで、あなたたち、名指しの依頼よ!」


Dランク依頼、村の道の補修作業


「D」のところにはバツが書かれ、その下に「E」と書かれている。

Dランクの依頼はちゃんと見ていなかったが、数日前から出ている依頼のようだった。

報酬は訂正されることなく、Dランク依頼の最低料金、小銀貨1枚のままだった。


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